2011年3月23日水曜日

福島第一原発事故を理解する

こんにちは

福島原発事故も仮設電源がつながり、収束に向かいつつあるようです。
福島第一原発は地震動には十分耐えたようですが、津波が設計上の想定を超える大きさだったようです。
設計上想定した津波の波高値は5m程度なのに対して、今回の津波は14mにも及んだそうです。

現代の建築物・構築物は、科学技術の進歩によって構造など正確に計算して造られています。
なので、想定内であれば確実にその事象に耐えます。
が、裏を返せば想定外にはとても弱い。
想定を超える事象に遭遇すると、たいてい壊れてしまうのです。
なぜなら想定内で健全に機能する最小限、つまり経済合理的に造るからです。
多少の安全率を見込んで造りますが、予算には限りがありますから、過大、過剰には造れません。
過大、過剰に造って、<無駄>と批判されることだってあり得ることだからです。
「そんな事象、本当に起こるのか?」という質問に対抗することはできないのです。
なので想定とはこれまでに実際に起こった、経験した最大の事象とするしかない。
実際に経験したことなら、「これまであったことだ」と言えるからです。

たしかに津波波高値の想定5mは過小であった感はありますが、福島原発は日本の原発が造られはじめて初期のものであり、造られた時代(昭和40年代)の判断からすると仕方がなかったのかとも思えます。
今現在の判断基準で、それを過小評価だったと断罪するのは、後知恵にしかすぎないとも言えるのです。

これまでの福島原発事故への対応を見るに、東電も行政も、想定外のことに対して非常によく対応していると思っています。
想定外のことにはマニュアルがありません。
マニュアルがなければ、多少の試行錯誤は避けられないことだと思います。
外野から見て、不十分なところがないとは言えないかもしれません。
でもその中で、ベストとは言えなくても、セカンドベスト、ベターな対応を続けているとぼくは思います。
現場を預かる東電のエンジニアたちの気概も伝わってきます。
この難局を乗り切れるのは具体的な技術を持つエンジニアがいるからこそです。
早く事態が収束することを願っています。

カリフォルニア大学サンタバーバラ校で行われたセミナー「福島原発の放射能を理解する」のスライドを、理研仁科センター橋本さんらが邦訳してくれました。
科学的にきちんとした資料だと思いますので、紹介しますね。
http://ribf.riken.jp/~koji/jishin/zhen_zai.html

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