2010年12月6日月曜日

学力の要は小学校にあり


こんにちは

最近、暴走族がいなくなったとおもいませんか。
もちろんいないに超したことはないんですが、ホント静かになっちゃいましたよね。
道路交通法が改正され、取り締まりが厳しくなったからということもあります。
でもそれだけじゃないんです。
最近の不良は、免許も取れないぐらい勉強ができないんですよ。
だからバイクに乗れないんです。
暴走族も、やり方は間違っていますが、ある意味社会への反抗、レジスタンスです。
レジスタンスするにも学力、知性は必要なんです。

旧ソ連や独裁国家で国民を粛正させるために、まず最初に知識階級を暗殺したり、強制労働所に送ったりします。
それは為政者にとって知識のある人が恐いからなんでしょう。
知識のない人々は革命なんか考えず、為政者の言うがままに働く。
従順でおとなしいわけです。
運命を受け容れ、流されるままに生きていくしかない。
でもそれでは国の発展もなくなってしまいますよね。

上田渉『勉強革命』マガジンハウス¥1400-を読みました。
上田さんは高校生の時、偏差値30から奮起して東大に合格した。
政治家になって人々の役に立ちたい、そのためには東大に行くのが近道だ、と考えてね。
で、上田さんはどういう方法で勉強したのかに、ぼくは興味があったんですよ。

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覚えるものをすべて文章にまとめて、それを音読するという基本的なテクニックはどの教科もすべて同じです。
読んで問題を頭に入れること。他人に説明するつもりで読むこと。
他人に説明できないということは自分も理解していないことになるので、それが一番簡単なチェック法になります。(34p)
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ひたすら基本事項を繰り返し音読することによって、理解し、脳に定着させていった。
オーソドクスでいい方法だと思います。
が、ぼくは気づきました。
「覚えるものをすべて文章にまとめて」というところです。
ここに至るまでに二つの段階を経ているのです。

1.何が重要か分かる
2.重要事項を要約する

これってすでに知性が備わっていないとできないことです。
だから上田さんは偏差値こそ30だったかもしれませんが、それは中高校の勉強をきちんとしていなかっただけ、覚えるべきことを覚えていなかっただけで、勉強の基礎は持っていたってことです。
そうじゃないと、何が重要かがわかり、それを要約することはできないからです。

この本を読み進めていくと分かりました。
上田さんはいわゆる中高一貫進学校に在籍していたんです。
つまり中学受験はしっかりやっていたのです。
小学校までで修得すべき事項は、十二分に身に付いていたのです。
ただ、中学に入って何のために勉強するのかがわからなくなり、親や学校への反抗、反動として勉強しなくなり、高校生になるときには偏差値30になってしまっていただけなんです。
なので、何のために勉強するかがわかったとき、今までの遅れを取り戻すことができたんです。
偏差値30から東大受験できるレベルまで強引に学力をつけなければならないからです。

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そこで、中学生用の参考書を買ってきて、授業中もひたすら自習することにしたのです。
何も分からないから、そのレベルからやり直したわけです。(43p)
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小学校までの基礎がある。
その上で情熱さえ持てば、こういうがむしゃらなやり方でも挽回できるのです。
でも小学校までの基礎がないと、あとからの挽回はとても厳しいですよ。
情熱を持っても、そのモチベーションを維持できないんです。
だって基礎がないから先に進めないからです。
中学の参考書からやり直しても、1日に何ページも読破していけるから、モチベーションも続くのです。
1日に1ページも進めない状況で、情熱を維持なんかできるものではありません。

陰山英男『百ます計算の真実』学研新書¥740-にもこう書いてありました。

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生徒指導において、もっとも重要なのは心の教育であるとか、あるいは子どもへの関わりであるとか言われていますが、実は違います。
まず必要なのは、小学校でやっておかなければならない学力をしっかり身につけさせることなのです。
そして、もう一人、大阪府教育委員会特別顧問として活躍していただいている藤原和博さんも、同じ思いをもたれています。
民間人校長として東京都杉並区立和田中学校に赴任され、「よのなか科」という、いわゆる総合的な学習を実践していながらも、やはりもっとも重要なのは小学校3~4年生までの基礎的な計算力などの、基礎基本の力だということをおっしゃっていました。(169p)
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中学では手遅れ。
藤原さんもそう言っていたんですね。
「よのなか科」という総合的な授業を楽しみ、自分の実にするためにも小学校で習う基礎基本は絶対に必要なんだって。
最近の子どもたち、若者、特に男子がおとなしい理由のひとつは、きちんとした基礎学力が身に付いていないからなんじゃないかって、ぼくは思います。
引きこもり、ニート問題の原因にも、基礎学力不足があるんじゃないかって。
基礎学力がないために、たとえ何かをやろうと思っても情熱を燃やし続けることが出来ず、すぐ挫折してしまう。
なので自分に自信が持てない。
自尊心のない若者が増えてしまったのではないか。

蔭山さんの師匠である100ます計算の生みの親、岸本裕史さんは「最低限の学力」をこう定義しています。

 ・運転免許が取れるか
 ・住民票を自分で書けるか

運転免許が取れれば、まず間違いなく仕事に就くことができます。
給料を得ることが出来、自活していくことができます。
住民票が自分で書ければ、すむ場所を自分で決めることもできるのです。
自分の能力を生かせる場所に、自分の意志で動いていける。
ならば自分の人生を自分で切り拓いていけるってわけです。
どちらも小学校で習う基礎学力が身に付いていれば可能なんです。

我が子たちに暴走族や革命家になってほしいとは思いません。
でも世の中を良くしていく変革者にはなってほしい。
そこまで行かないとしても、自分の人生を自分で作り出していける人間、自ら幸福を追い求めることができる人物になってほしいのです。
そのためには心身の健康とともに、きちんとした学力も必要ですね。
だからぼくは小学校が一番大切だと思っています。
親が手をかけれられるのは小学校まで、と思っています。
中学以上になったら、子ども自らがどうしたいのか、どうすればいいのかを決めなくちゃいけない。
小学校さえきちんと学び終えておけば、中学高校、はたまた大学、成人になっても、偏差値30からだって十分やり直すことができるんですから。

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