2013年5月22日水曜日

システムとしての「鉄は熱いうちに打て!」

就職難だそうです。
大学を卒業しても正規社員として採用されるのは6割。
そのくらい厳しい。
その原因は、不況だから、というわけでもないようです。

ほしい人材、使える人材がいないから、というのも企業の側の論理。
もちろん学校を卒業したばかりの社員に、即戦力を求めるのは間違っています。
でも、OJT(オンジョブトレーニング)、先輩や上司が仕事をしながら教えるという、日本の伝統的な、また強みであった教育法も通用しない新入社員。
教えても覚えられない、覚えようとしない新入社員。
いくら学歴があっても、こういう人材はどんな会社でも採用したくないのは当然でしょう。

ぼくは「一番の就職対策は、大学でしっかり勉強すること」だと思っています。
確かに学校で教えてくれる勉強は、社会に出ても直接役に立たないものが多い。
でも大事なのは内容よりも「学び方」なんです。
少々負荷のかかる内容を、理解し習得しようと努める。
どうやったら習得できるかあれこれ試す。
図書館で調べたり、人に聞いたり、現地を見に行ったり。
それが大事なんだね。

ところが一流大学でさえ、しっかり勉強する学生は少ない。
生活のためならまだしも、遊ぶ金ほしさに講義をさぼってまでバイトをする。
バイトとサークル活動や飲み会に貴重な若い年代の時間を消費する。
高い学費を安いバイト代に変えてしまう。
何とももったいない話だ。

学生の側の問題だけじゃない。
日本の大学はぬるい。大学の側にも問題はある。
日本の大学がぬるいのは、宿題がないからだ。
たいていの人はノルマがないとそのことに励まない。
凡人は誰かに強制されてようやく身につくことが多いのだ。

なぜ日本の大学は宿題を出さないのか。
宿題を出してもチェックできないからだな。
アメリカの大学は1時間講義をしたら、3時間分の宿題を出す。
そしてその宿題をきっちりと採点する。
厳しいでしょ。

講義1時間につき3時間分の宿題を出したら、1日にたくさんの講義を履修することはできない。
1日せいぜい2コマ程度だろう。
あとは図書館で自習だ。
勉強は自習で身につくのだ。
このくらいやれば、大学の勉強も身につくし、ダメなヤツは脱落する。

それに比べて日本の大学は、勉強は身につかないし、ダメでも卒業できる。
日本の大学だって、建前上は1単位時間の講義に対して3単位時間の予習復習をすることになっている。
だから1単位時間の講義を年間履修すると、4単位もらえることになるわけだ。

アメリカの場合、宿題のチェックは大学院生がティーチングアシスタント(TA)として採点する。
TAにはそれなりの報酬も出る。
学費免除になることも多い。
採点により基礎学力の再学習もできる。
TAになる学生にもメリットが大きいのだ。

TAをやる大学院生、そんなことやってて研究する時間が減って損じゃないか。
いやいや、研究する上で一番役に立つのは最先端ではなく基礎。
基礎をみっちりやっておいた方が将来役に立つ。
最先端はすぐ最先端ではなくなる。
新たな最先端を作り出すのは基礎。
基礎が不十分のまま最先端だけやっていると、シフトチェンジができなくなる。
それにTAも、週10時間程度の負担らしい。
この程度なら、大学院生としての研究の支障にはならない。

鉄は熱いうちに打て、だ。
日本の学生だってポテンシャルは高い。
高校まできちんと勉強した学生が多いからね。
あとはシステムだ。
大学のシステムとして、学生を鍛えるやり方をするべきだ。
日本の大学の再生は、TA制度の確立にありと思うのだが、どうだろうか。

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