2013年5月9日木曜日
海水から真水を作る
学校で習うことは、意外と最先端にもつながっています。
糸川英夫先生は「教養を身につけたければ、中学校の教科書を読み直せ」と言っています。ぼくは<ある分野の専門家になりたければ、高校のその分野の教科書を読み直せ>と言いたい。
教科書が手に入りにくかったら、学習用参考書でもいいけどね。
エンジニアとしての基礎は、高校理科と数学。
基礎知識として、高校理科の内容を知っていれば、たいていの先端科学技術も理解できます。
基礎技能として、高校数学の問題を解く技術があれば、たいていの先端科学技術に必要な数式操作ができます。
たとえば海水から淡水を作る技術。
原理は簡単、高校化学or生物で習います。
その原理は「浸透圧」です。
塩水をポリエチレンの袋に入れ、口を縛る。
この袋を真水の中に入れると、真水が勝手に袋にしみこんできます。
逆に、真水をポリエチレンの袋に入れ、これを塩水の中に入れる。
すると、真水が勝手に袋の中からしみだしてくるのです。
この、水だけを通すポリエチレンなどの膜を「半透膜」と言います。
半透膜を通して、水が勝手にしみこんでくる、しみだしてくるということは、そこに「圧力」がかかっている、ということです。
この圧力を「浸透圧」と言います。
真水と海水の場合、浸透圧は20気圧以上にもなります。
半透膜を挟んで真水と海水を接すると、真水の側に20気圧以上の圧力がかかっているのです。
ということは、逆に海水の側に圧力を加えていけば、しみこんでくる真水が減ってくるということです。
海水の側の圧力を高くしていき、浸透圧と同じ20気圧以上かければ、真水はもうしみこんでこなくなります。
さらに海水側の圧力を上げていくとどうなるでしょう。
今度は海水側から真水側に、海水中の水分子だけがしみだしてくるのです。
物理法則には可逆性があるんですね。
「膜法」による海水淡水化の原理は以上の通りなのです。
これからの時代、水資源は重要です。
食料(植物)の生産には淡水は欠かせません。
海水はそのままでは、植物の灌水にはできません。
海水を真水に変える技術が、安定に安価に省資源でできれば、水問題は解決です。
いかに安定で丈夫な半透膜を作るか。
いかに安価に省資源でポンプなどで加圧できるか。
ここからは技術の問題なのです。
写真は今週月曜日に加古川の図書館でやったサイエンスカフェの様子。
みんな楽しそうです。もちろんぼくも楽しかった-。
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