「いざ尋常に勝負せよ!」昔の剣豪は言ったそうな。
ところで「尋常」って何でしょうか。
辞書を引いてみると、
[名・形動]《1尋と1常(1尋の2倍)で、普通の長さの意から》
1 特別でなく、普通であること。また、そのさま。あたりまえ。
2 見苦しくないこと。目立たず上品なこと。また、そのさま。しとやか。
3 態度がいさぎよいこと。すなおなこと。また、そのさま。
4 「尋常小学校」の略。
5 りっぱなこと。すぐれていること。また、そのさま。
だそうです。
いざ尋常に勝負せよ、とは「ずるいこと,せこいことなどせず、立派に戦え」という意味なんですね。
あるいは「感情的にならず,平常心で戦え」という意味でもあるかもしれません。
ぼくの職場の研究所には、日本のトップブライティストがたくさん勤務しています。
世界的に活躍している研究者たちと、もう20年も一緒に仕事をしてきました。
彼らをよく観察し、自分でもできることは真似をし、ぼくも少しでも彼らに近づけるようにがんばってきたつもりです。
聡明な人たちを長年観察してきて分かったことは、基礎基本がしっかり身についている、ということ。
小学校、中学校で学ぶことについて、穴がほとんどない。
つまり、小中でしっかり勉強してきているということです。
もちろんぼくの職場にもダメダメ君はいますよ。
ダメダメ君の特徴は、何かというとすぐ感情的になってしまうということ。
平常心が保てず、理屈が通らなくなる。
それで失敗しているんです。
優秀な人は感情に流されません。
どんなときでも落ち着いて、論理的に考え、手順を間違えない。
だからうまくいく。
昔、小学校は「尋常小学校」と言いました。
尋常とは、ふつうのこと、あたりまえのことです。
人としてふつうのこと、あたりまえのことを学ぶ場が、尋常小学校な訳です。
そしてそこでしっかりと基礎基本を習得すると、どんなときでも平常心を保てるようになるんです。
いざというときにもあたふたしなくていい。
落ち着いて、現実をよく観察し、準備をし、段取りを組み、段取り通りに進め、常にフィードバックをし、軌道修正をしながら、確実にゴールに向かう。
これが「尋常」なんです。
要するに、ダメダメ君は「尋常」じゃないんです。
尋常でいられないので、感情に走ってしまうのです。
尋常でいるためには、小学校で学ぶような基礎基本をしっかり身につける。
これが身についていないから,尋常でいられないんだと思うのです。
ぼくは大学5年の時に、中学校で非常勤講師をしていました。
その時に思ったのは、いくらわかりやすく楽しい授業をしても、小学校で習う基礎基本がない生徒は教えたことが定着しないんです。
授業を受けて「あー、面白かった」と言うのですが、テストはぼろぼろ。
テストでいい点数を取れないから,やる気をなくす。
悪循環から逃れられません。
中学は教科担任制ですから、そういう生徒をすくい上げようと思っても、週3時間程度ではまったく無理です。
先生個人の力では、基礎基本のない生徒をすくい上げることは不可能なんです。
(学校ぐるみで取り組めばできそうなんですが、中学校は教科王国なのでなかなか難しいのです)。
ぼくはそういう中学生をたくさん見てしまったので、我が子たちはそうならないようにしたい。
小学校こそ、一番大事な時期なんです。
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