2010年6月7日月曜日

トロはとろける

こんにちは

夕べは子どもと妻にせがまれて、ちょっと奮発してお寿司を食べに行きました。
お寿司屋さんに行くと、中トロは必ず注文しますね。お値段が高いので、せいぜい2貫だけですが。
あの口に入れた瞬間の「とろり」とした食感はたまりません。

とろりとした食感を味わうには、温度も大事ですね。
時々、冷凍庫から出してきたばかりの冷たいネタを握ってくる三流寿司屋がいて、高い値段取ってこれかよ!って頭に来ます。
あんまり冷たいと、とろりとした食感が味わえません。
やはり室温20℃くらいのネタが美味いですね。
なぜなんでしょうか。

ところで脂(あぶら)と油(あぶら)の違いを知っていますか。
常温(20℃くらい)で固体状になるものを脂、液体状のものを油と区別しています。
一般的に動物性の脂肪は脂、植物性の脂肪は油です。
ラードは豚の脂ですが、常温では白いかたまりになっています。

動物性の脂が常温で固体状だからといって、生きている体の中でも固体状というわけではありません。
生きている体の中では液体状になっているのです。
それは、代謝をするためには液体状の方が便利だからです。
エネルギーが必要なときはすぐ血液中に溶かし込めます。
つまり、生きているときの体温では脂肪は溶けて液体状になっているのです。

マグロのトロには脂肪がたくさんのっています。
マグロの体温は、冷血動物だと言っても常に回遊していますから、筋肉が発熱して27℃にもなっています。
冬の寒い時期にマグロを釣り上げると、湯気が出るくらいです。
ですからマグロの脂肪は、27℃くらいでは液体状になっているのです。

お寿司屋さんで切り身で出されるとき、切り身の温度は20℃くらいです。
マグロの体温より低いですから、固体状になっています。
これを口に入れる。
口の中は人間の体温37℃です。
トロは口の中で温められます。
液体状になる27℃まで、すぐ温まることでしょう。
すなわち、口の中でマグロの脂肪は溶けることになります。
これが、とろりとした食感の原因です。

寿司ネタが冷たすぎると、口の中で温まるまでに時間がかかります。
すると、口に入れてすぐのとろり感が味わえず、美味しく感じないというわけです。

駅弁などに牛の焼き肉が入っていることがあります。
食べても何となくざらざらした食感がありませんか。
牛の体温は人よりちょっと高くて39℃くらいあります。
それは、牛の脂肪は39℃にならないと溶けないということを意味します。
冷めた牛肉を口に入れても、脂肪は口の中で溶けずに固体状のまま残ります。
これがあのざらざら感なのです。

牛肉に比べて豚肉は冷めても美味しいです。
冷しゃぶと言えば豚肉を使うのが当然です。
これも体温と関係があります。
豚の体温は37℃であり、人間とほぼ同じです。
そのために豚の脂肪も口の中で溶けるのです。
ただし、すぐには溶けずに噛んでいるうちにだんだん温度が上がって溶けてくる。
これが豚肉の美味しさでもあるのです。


脂肪が溶ける温度についてサイボクハムのメールマガジンで知りました。
サイボクの豚肉やハムは美味いですよ~。
http://www.rakuten.co.jp/saiboku/

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