2011年4月10日日曜日
日本の技術力を伝えたい!
こんにちは
サイエンスカフェでの話の中で、必ず「日本の技術力のすごさ」や「日本人の独創性」についても話します。
http://kobeuscienceshop.blog.so-net.ne.jp/2011-03-27
XFELもアンジュレータにネオジム磁石を使えるから、レーザー発振が可能になったのです。
http://www-xfel.spring8.or.jp/undulator.htm
ネオジム磁石は世界一強力な永久磁石。
カフェでもネオジム磁石を持っていき、参加者のみなさんにどれだけ強力な永久磁石なのか触ってもらいます。
子どもなんか顔を真っ赤にして引っぱっても、二つの磁石を引き離すことができません。
手のひらをはさんで、二つの磁石がくっつくところなんかも見せたりします。
で、このネオジム磁石は日本の発明品だ、ってお話しします。
ネオジム磁石は、住友特殊金属の佐川眞人博士が1984年に発明したものなんです。
この磁石のおかげで、携帯電話のコンパクト化と普及、電気自動車の実現、iPodで長時間いい音で音楽を楽しめるのです。
携帯電話のマナーモードで、着信時にブルブルと強烈に振動させているのは、内部に仕組まれた超小型モータ。
このモータもネオジム磁石を使っています。
磁力が強いのでごくわずかな電流でも、強いトルクで回転することができるのです。
だからあんなに強烈にブルブル震えるのです。
電気自動車のモータにもネオジム磁石が使われています。
これも磁力が強力なので、少ない電流でも車を動かすほどのパワーが出るのです。
車に乗せられる程度のバッテリーで、長時間、長距離運転が可能になったのです。
iPodのイヤホンにもネオジム磁石が使われている。
磁力が強力なので、微弱な電流でもイヤホンを振動させることができます。
使う電流が少ないので、バッテリーが小さくても長時間音楽を楽しむことができる。
いい音のためにはダイナミックレンジの大きさが重要です。
ダイナミックレンジとは、小さい音から大きな音まできちんと再現できること。
ネオジム磁石の磁力が強いため、大きい音を出すためにもそれほど大電流が必要ありません。
電流が大きくなければ、電線の電気抵抗によってロスも大きくなり、それがダイナミックレンジを悪化させる原因になります。
でも、大電流を必要とせずに大きな音を出すことができるのですから、ロスもなくなり、音の再現性もよくなるのです。
携帯電話、電気自動車、iPodの中には、同じく優れたバッテリーも使われています。
リチウムイオン電池です。
これも日本の発明品で、旭化成の吉野彰博士が開発したものです。
リチウムイオン電池のおかげで、コンパクトで大容量、しかも何回も充電可能な電池が使えるようになったのです。
このようにぼくらが日常的に便利に使っている機器には、日本の発明品、日本人が開発したものがたくさん使われているのです。
それを意外と知らないんですよ。
日本人は独創性がない、日本は他国の真似で儲けている、なんて悪口ばかり聞かされています。
そしてそれを信じている人が多い。
まったくそんなことはないんです!
もうちょっと言うと、アップルのiPhone。
誰もがアメリカ製だと思っているでしょう。
iPhoneを持っている人は、ご自分のものをよく見てみてください。
「made in china」って書いてあるはず。
だからって、全部中国製ってわけじゃないんです。
なんと、iPhoneの販売価格の約1/3は日本製部品代なんだそうです。
ウォールストリートジャーナル2010.12.15に、実際にあるロットのiPhoneを分解してみて、各部品を調査した結果が掲載されていました。
たしかに完成品を出荷しているのは中国なんですが、部品はいろいろな国から集められている。
完成品の出荷価格178.96ドルのうち、34%が日本製部品の価格にあたり、ついでドイツ製部品が17%、韓国製部品が13%だったのだそうです。
中国はそれらの部品を組み立てて、最終的な製品として輸出している。
その中国が受け取る組み立て費は、出荷価格のわずか3.6%にすぎないのだとか。
貿易統計上「made in china」とあっても、実体は上記のようになっているのだそうです。
で、iPhoneに使われている日本製部品は何か。
先ずはフラッシュメモリ。
これも東芝の増岡富士雄博士が開発したものです。
だから東芝製フラッシュメモリの品質とシェアはダントツです。
電子機器は一般的にCPUが重要だと思われていますが、メモリも重要なんですよ。
演算器だけでは継続した計算はできないのです。
演算結果をメモリに貯めることができてはじめて、継続した計算を続けることができる。
量子コンピュータというものが研究されていますが、演算器はもうすぐできそうなんですが、メモリがまだまるでめどが立っていない。
メモリがなければ役に立つコンピュータはできないんです。
話を戻して、iPhoneに限らず携帯電話には必ず表面弾性波フィルタが使われています。
超高性能のバンドパスフィルタで、送受信時に不要な周波数のシグナルをカットする役目をしています。
これが村田製作所製。
村田製作所は電子部品のトップメーカーで、特に超小型積層セラミックコンデンサでは世界一のシェアを誇っています。
さらにGPS機能のための三軸電子コンパスは旭化成エレクトロニクス製。
液晶タッチパネルもシャープ製でした。
そもそも液晶ディスプレイ、タッチパネルが実現できたのは、ノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士が導電性プラスチックを開発してくれたからです。
液晶ディスプレイを光らせるLEDバックライトだって、日亜化学の中村修二博士が開発してものですしね。
どうです?意外と知らないことばかりでしょう。
日本の技術の素晴らしさが分かってきましたか。
こんな風に日本の技術はすごいんだ、日本人の技術力はスバラシイ、と言ったことを子どもたちに伝えていきたいんです。
震災の影響で、直接的に被災しなかった工場も、輪番停電の影響で十分稼働できていないようです。
そのため世界中で日本からの部品が途絶えてしまって困っているんです。
(iPhoneに使われている部品については、新潮社PR誌『波』'11.04阿部和重「幼少の帝国」を参照しました)。
XFELプロジェクトは3月末にファーストビーム成功しました!
http://www.riken.jp/r-world/info/info/2011/110329/index.html
XFEL棟空調設備について、設計した日建設計さん、施工した三機工業さんとともに、空調衛生工学会の技術賞に応募したところ、みごと受賞決定!
電気設備学会にも、日建設計さん、きんでんさんと応募し、こちらも受賞確定!
ぼくも子どもたちに誇れる技術者でありたいと思っています!
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