2011年5月22日日曜日

現場に行こう、自分の目で見よう


こんにちは

神戸での一人暮らしもだんだんと慣れてきて、ほぼ毎朝「ごみメール」を書くくらいの余裕が出てきました。
ただし、神戸に持って行っているモバイルPCへアドレスデータをうまく移植できないでいますので、神戸で書いたものはメールでの配信はできないでいます。
神戸発のごみメールはブログにupしますので、お時間のあるときにでも、時々見に行っていただければ嬉しいです。
http://rikenyoshi.blogspot.com/

せっかく一人暮らしの寂しさを味わうのですから、朝晩のヒマを活かして単身赴任中に大形資格でもGetしたいなーって思っています。
まだコンスタントに勉強時間を確保するまでには至っていません。
仕事帰りに三ノ宮そばの図書館で1時間くらい勉強して帰る。
朝もごみメールを書いたあと30分くらい勉強してから出勤する。
その位できるようになるといいですねー。

さてさて、先週は神戸研と計算機構の会計検査でした。
久しぶりにぼくの担当した工事がたくさん検査対象になり、合計5つの検査について説明することになりました。
計算機構での検査日は、午後4時間出ずっぱり状態で、とても楽しかった。
ぼくは会計検査が好きなんですよ。
だって自分が造ったご自慢の施設を検査員に見ていただき、予算執行上の問題もないことのお墨付きをもらえるんですからね。
もちろん準備万端整えて、張り切って説明しちゃいます。

会計検査は書面による検査が主ですが、現場の確認も随時行われます。
その時大切なのは、現場の設備一つ一つについて十分把握しておくこと。
現場に行って検査員から「あれは何ですか」と聞かれたとき、スパッとその名前と役割を言える。
それができれば、検査員に安心感を持ってもらえます。
すぐに答えられなかったり、説明があいまいだったりすると、疑義を持たれますよ。
会計検査の目的は、予算が適切に執行されているかどうか、なんです。
自分が担当した工事で設置したものの名前と機能を把握していない、すなわち予算執行が適切に行われていない疑義があるってことになりますから。
だって、それが何だかわからないでお金を支払っているってことですからね。
モノとお金はリンクしているのです。
高度な機能があるモノであれば高額なのは当然ですし、低機能であるモノは低額であるのが普通です。
それを理解して契約し、施工、取り付けを監督し、契約通りのモノであることを確認して支払いしているかどうか。
だから現場に精通していることが必要なんです。

ぼくの観察したところによれば、検査員の質問に的確に答えられない人は、施工中からあまり現場に行っていない。
現場に行かず、施工者任せ、設計者任せにしている。
書類や図面だけで打合せをしている。
金額についても現物を見ないで、高いだの安いだの印象で言っている。
そのモノをよく見ていないんですよ。

イヴォン・シュイナード『社員をサーフィンに行かせよう』東洋経済新報社¥1800-にこうありました。

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日本でもそうかも知れないが、机に座っていても、実は仕事をしていないビジネスマンは多い。
彼らは、どこにも出かけない代わりに、仕事もあまりしない。
仕事をしているふりをしているだけだ。
そこに生産性はない。(2p)
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現場に行かない人は、現場が嫌いなんです。
なぜって実力がないから。
現場に行っても何をやっているのか分からない。
分からないから面白くない。
その上実力がないことがバレちゃうので恥をかく。
ますます現場に行かなくなる、という負のスパイラルに落ち込みます。

もちろんただ現場に行けばいいってもんじゃありませんよ。
書類や図面を読むのも大切です。
書類や図面に書いてあるものを、現場でも確認する。
現場で見てよく理解できないことがあれば、書類や図面をよく読み込んでみる。
現場とデスクワークを相互にリンクさせることが大切。
そうやって実力を上げていくわけです。
実力が上がると楽しくなります。ゴキゲンになれます。
ポジティブフィードバックが働き、現場に足を運ぶことも苦ではなくなるんです。

先週の検査では、神戸研に造ったiPS研究棟電気工事設計変更契約も検査対象になりました。
勤勉実直なスタッフたちのおかげで、資料は完全に調っています。
ぼくももちろん施工中から現場をよく見て把握している。
だから検査対象になってもあわてることはありませんでした。
検査当日、半年前に入社した新人君も後学のために神戸に出張してくることになりました。
じゃあ君がメインで説明してみますか、と言いました。
せっかく公費を使って出張してくるんだから、実践で鍛えた方が有意義だからね。
ぼくは隣に座ってきちんとフォローするからさ。
新人君も「やってみる!」と言いましたよ。エライ、エライ。

検査1週間前、検査資料を全部彼に預けました。
まずは書類を読み込んで、何がどこに書いてあるか把握すること。
それとともに、書類に出てくる部材、用語について、自分が知らないことは調べておき、頭にたたき込むこと。
そして検査前日早めに神戸入りして、現地を歩き回ってよく見ること。
書類にあるモノがどこにあって、どんな働きをしているか、自分の目で見ること。
そう新人君に指示しました。

そして、検査当日。
ぼくらの出番は2番目です。
新人君も緊張した顔つきでした。
ところが、1番目の検査が躓き、予定していた検査時間を大幅に超過。
とうとう時間切れで、ぼくらの検査まで回ってきませんでしたよ。
残念無念。
で、1番目の検査が躓いた原因はというと、上に書いたとおりだったんだなー。

事件は現場で起こっている。
そしてその解決も現場でしかできない。
そんなことが、新人君にも伝わったら嬉しいなーと思いました。



写真は、和光に建設した脳センター神経回路遺伝学棟のラボ。
研究者の机と実験台をガラスの扉を隔ててすぐ隣に配置しました。
実験中、調べたいことを思いついたらすぐ机に行って文献検索ができる。
論文執筆中、追加実験の必要が出てきたらすぐ実験台に行ってデータを取る。
研究者の動線を最短で結んだのです。
つまり、現場とすぐ行き来できるってこと。
このあたりも日本のラボとしては新しいデザインかなーと思っています。

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