2011年5月24日火曜日

津波は怖い

こんにちは

3/11に起こった東日本大震災。
地震そのものの被害はあまりなかったようですが、津波の被害がすごかった。
想定外ですもんね。
ぼくの神戸の職場も海に近いので、震災後いろいろな人から「津波は大丈夫か」と聞かれました。

建物自体免震構造で造りましたが、過去の東南海地震のデータを駆使して設計してあります。
過去の地震と同規模であれば、完全に安全です。
ただし免震構造は横揺れしか防げなく、阪神淡路大震災のような直下型地震で縦揺れを抑えることはできません。
縦揺れを抑える免震技術というのは、今のところ存在しないのです。
直下型地震で大きく揺れれば建物内の棚や設備類は転倒してしまうと思いますが、それでも建物自体が倒壊することはありません。

津波に対しては、神戸市の津波警戒区域外の敷地であること、過去の歴史的地震データを見ても3mを超える津波は来ないだろうし、その範囲であればポートアイランドの岸壁高さを津波は乗り越えられないということで、特段の対処はしていません。

津波も波ですから、波の高さよりも高い岸壁や防波堤は乗り越えられません。
逆に言えば、防波堤の高さより高い波がきたら、防波堤なんかまるでそこに存在しないがごとく、やすやすと津波は乗り越えてきてしまうのです。
乗り越えられない場合でも、岸壁や堤防の壁で反射した波が元の波と合わさって、波の高さは2倍の大きさになって砕け散ります。
だから津波自体はぼくらの建物までやってこないでしょうが、岸壁で砕けた波しぶきが建物にザバザバ降ってくることは想定していて、塩害に対しての対処はしてあります。

過去の地震の記録( http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_19/23-Yamamoto.pdf )を見ると、瀬戸内海では過去にも大きな津波が発生していないようです。
津波というのは海水の盛り上がりです。
盛り上がるためには広範囲から海水を集めてこなくちゃならない。
瀬戸内海は内海ですので、高く盛り上がるだけの水量がないのだと思います。
盛り上がりたくても海水が十分なければ盛り上がれません。
それに瀬戸内海には小さな島がたくさん点在しているため、それが津波のエネルギーを拡散、吸収してくれることも、高い津波が発生しない要因になっている。

ところで津波注意報が発せられるときの津波高さは、たった0.5mです。
なーんだ、膝上くらいの波か、ちょろいちょろい。
そんな風に思ってしまいますよね。
でも、0.5mの津波でもかなり危険なのです。

津波と普通の波(波浪)とどこが違うのか。
それは「波長」。
普通の波は、波長数mからせいぜい数百m程度です。
それに対して津波の波長は、数kmから数百kmにもなります。

波とは海水の盛り上がりです。
波長が短ければ、その盛り上がりにある海水の量はたいしたことはありません。
高さ0.5mくらいの普通の波なら、波が足にザブンと当たってもそれは短時間で終わります。
短時間なら踏ん張り続けることができ、転倒することもないでしょう。
ところが波長が長い津波の場合、すごく長い時間ぐいぐいと足を押し続けるんです。
短時間なら踏ん張れるでしょうが、長時間ぐいぐいぐいぐいと押し続けられると立っていられなくなって転んでしまいます。
転んでしまうと水の動きに抗えなくなり、ごろごろと流されてしまうのです。

さらに波は寄せては返すものですから、寄せた波はまた海へと戻っていきます。
津波で押し寄せた大量の海水は、再び海へと戻っていきます。
津波で転んでしまった人は、沖へ沖へと流されていってしまいます。

このように津波は波長が長く、一つの波がもっているエネルギー量がとてつもなく大きいのです。
ですから、わずか数十cm高さの津波でもあなどってはいけません。
海岸にいることは危険です。
すぐに高台に逃げる必要があるのです。


参考; http://www.jma-net.go.jp/ishigaki/tmanual/1syou.htm

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