先週は足利先生に呼んでもらって、鳥取環境大へ。
目的は、1,2年生のプロジェクト研究という授業でお話しさせてもらうこと。
教職科目、教員志望の学生さんが多いと言うことで、お題は「教育技術」。
技術者は「夢を実現する仕事」。
教師は「子どもに夢を与える仕事」。
夢を見て、それを実現するには技術を持っていなくちゃいけない。
つまり、徒手空拳じゃダメなんだよ。
だから、子どもに技術を身につけさせるのが教師の仕事なんだ。
技術を持てない子どもは、未来に夢を持つことができなくなっちゃう。
だって、それを実現する術がないんだから。
夢を実現する術を持たない子どもは、夢も持たなくなっちゃうんだ。
技術を伝えるのも技術。
だから教師は技術を持たなくちゃいけないんだ。
技術を持たない教師はクズだ。
技術に対して自覚的になれ。
子どもにどうやったら上手く伝わるのか。
どうやったら子どもに身につくのか。
それはすべて技術があるからできることなんだ。
で、こんな構成にした。
まず、前半はスパコン「京」の話。
いつもサイエンスカフェなどでやっているものを40分くらいに縮めたもの。
いつもの調子で面白おかしく先端技術の話を聞いてもらった。
でもちゃんとこれが伏線になっていて、技術の重要性を理解してもらいたいからこの話を聞いてもらったわけだ。
「京」の話が終わって、最初の発問。
「ぼくがこれまで皆さんにお話してきた中で、
たくさんの教育技術を使いました。
どんな教育技術を使っていたか、ノートに書きなさい。
時間は1分です。」
1分後、何人かに発表してもらいました。
ほとんどの学生はひとつ書けていましたが、どれも底が浅く、似通ったもの。
「実はぼくは42個の教育技術を使ったんです。
今度は机の前後に座っている者同士3,4人で一緒に考えてみましょう。
時間を5分間とりますから、10個以上見つけて、ノートに書いてください。 さあどうぞ!」。
学生さんたち、以外と仲良く熱心に話し合いに入っていた。
この指示自体が教育技術だね。
5分後、全員起立。
10個見つからなかったグループ、座りましょう。コラッ(笑)。
ちょうど10個見つかったグループ、座りましょう。合格です。
残りは10個以上見つかったってことですね。素晴らしい!
11個のグループ座ってください。
まだ残ってますね。すごいです。
12個のグループ座ってください。
で、最後に残ったグループが13個でした。みんなで拍手!おーーー!!
じゃ、そのグループ、見つけた教育技術をホワイトボードに手分けして書いてください。
3分間でお願いします。
他の人は、書かれたものを見て「これはいい」とか「これは変だ」というものを見つけていてくださいね。
3分後、書き終わった各項目を指し、
「この中で、これは違うんじゃないか、と思うものを見つけてください」。
書かれた中に「ルックス」というのがあって、大笑い。
これって技術?
学生さんの中から「ルックスは真似できないから技術じゃない」なんて意見が。面白いねー。
もうちょっと議論したかったけど、もうすぐ授業終了時刻。
発問にも技術があることを説明した。
最初に「拡散的発問」をするといい。
とにかくたくさん見つけなさいというの。
アタマから無理やり絞り出すようなことをさせる。
発想を広げてやるんだね。
それを個人でやらせたり、グループでやらせたりする。
さっきぼくは、使った教育技術は42個と言ったけど、実は嘘八百(笑)。
でも数を言ってたくさんあるんだと思うと、あれこれ考えるでしょ子どもは。
それも技術だよ。
嘘は絶対に言っちゃいけない、と思っている人もいるかもしれない。
絶対に言っちゃいけない嘘は、自分の利益のため他人を犠牲にするような嘘。
子どもたちをかしこくするためなら、技術として用いていいとぼくは思う。
ただし、最後にバラしてしまう。
それなら生徒も悪い気はしないものだよ。
で、たくさん無理に絞り出すと変なのも混じる。
どれが変で、それはなぜか。
それを問うのが「収束的発問」。
「拡散的発問」と「収束的発問」を組み合わせて授業する。
そうすると生徒は楽しんでアタマを使い、文字を書き、発言をするようになるんだ。
結果的にたくさん勉強する。
すなわちアタマがよくなる。
技術があるから、面白くて身になる授業ができるようになるんだよ。
だから技術は大事。
これからみなさんも、大学での授業でも技術という視点を持って、講義を受けてみてください。
先生は私たちに何を伝えようとして、どんな技術を使っているのか、想像してみる。
大学の先生にも技術が無い人もいるんだけどね。
それもまた観察してみるといいよ。
で、技術を身につけるには、見つけた技術を言語化してみること。
文字として書いてみる。
言語化できることは、真似ができるんだよ。
技術とは、
正しい知識の確実な行為化、
だって、ぼくの尊敬する小学校教師野口芳宏先生は言っている。
技術は正しい知識がないとだめなんだよ。
知識があって初めて技術も身につく。
もちろん知識だけじゃダメ。
それを行為化、つまり実際に自分でやってみることだ。
やってみて結果を出す。
結果が出るまでやり通す。
それが正しい実践だ。
だからね、大学でしっかり学んで欲しい。
それは真面目に授業に出席しろってことじゃないよ。
この大学にも面白くない講義もあるかもしれない。
そういう講義は聴かなくてもいい。
出席もしなくてもいい。
落第しない程度にだけど。
でも勉強はする。自分でやる。
講義をさぼって遊んだりバイトしている場合じゃないんだ。
一つでいいから、自分の専門はこれ、というものを身につけて卒業する。
よく、専門バカってバカにする人いるけど、専門バカでいいんだよ。
専門の無い人はただのバカなんだから。
専門があれば、それが自信になる。
教壇に立ったとき、あるいは社会に出たとき、オドオドしなくて済むんだ。
みんなが中学、高校のときのことを思い出してみてよ。
嫌な先生って、無教養で怒ってばかりいたでしょ。
それでいてどこかオドオドしている。
そういう人にはなりたくないよね。
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