2011年2月9日水曜日
オトコの価値
こんにちは
関根眞一『となりのクレーマー』中公新書ラクレ¥720-を読んでいたら、
クレーマーは年配の男性に多い。
って書いてありました。
ナルホド、ナルホド、分かりますよ。
ぼくの周りの40代、50代のおじさんたちの中にも、くだらないどうでもいい自分の趣味みたいなことをぐだぐだと言いつのったり、押しつけてきたりして、職場の雰囲気を悪くしている人がいます。
みんなから嫌われてるのにそれを止めようとしない。
困ったもんです。
同書にはこうも書いてありました。
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ある懇親会での出来事です。ひとりの法学系の教授が、こんなことを言いました。
「苦情の背景には少なからず、苦情申し立て者の経済的事由が存在する。
そのため、そのような要因が除去されれば、苦情は減少するであろう」(略)
では、社会に対して「格差意識」を持ってしまう年収のラインは、どの程度でしょうか。
もちろん、意識の問題ですから個人差が大きいでしょうが、くだんの教授によれば、一般的に若年層の単身世帯で年収400万円を超えると、精神的にゆとりができて穏やかになり、ほとんどトラブルにならないとのことです。(151-153p)
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なるほどねー。
クレーマーになってしまうおじさんは、「ビンボー」なんですよね、精神的にも実際にも。
それに対して自己評価が高すぎる。
高すぎる自己意識と、低すぎる現実のギャップががまんならない。
ネガティブコンプレックスになっている。
その鬱憤をクレームというやり方で解消しようとするんですね。
どんな人にも多かれ少なかれコンプレックスはあるものです。
でも真っ当な人間ならそのコンプレックスをバネにして、自分の能力を上げ、少しでも会社や社会に貢献できるようにし、皆から歓迎されるように行動するものです。
収入の低さがコンプレックスだったら、少しでも稼ぎを多くするようがんばらなくちゃね。
たしかに、自分の能力を上げたり、会社や社会に貢献したりして自分の評価を上げていくのは、大変な努力が必要だし、時間もかかります。
クレーマーにはそういう意識がないんですよ。
手っ取り早くお手軽に鬱憤を晴らしたいだけなんですね。
でもその戦術は間違っているし、損なだけなのにね。
もちろんクレームが建設的なものなら、会社や社会をよくしていくタネにもなります。
正しい意見としてね。
そういう真っ当なクレームなら、相手が誰であっても言うべきです。
ところがクレーマーは違うんです。
自分の言うことを聞いてくれそうな、弱い人に対してだけクレームを付ける。
決してそれに反論、反撃してきそうな人には言わないんです。
きっと自分でも自分が言っていることが理不尽で支離滅裂でとても社会には受け容れてもらえないだろうと分かっているんでしょう、少なくとも深層心理では。
だから相手を選ぶんでしょう。
常識的な価値観から言えば、卑怯者です。
理不尽なクレームを発し続けていると、当然ながら周りから疎まれ、孤立していきます。
誰がそういう人を評価したり、給料を上げたりするでしょうか。
給料などお金は自分の持つリソース=資源の一つです。
澤口俊之『なぜいい女はパッとしない男に惚れるのか?』アスキー新書\724-に面白いことが書いてありました。
男はどんなことに一番ストレスを感じるか。
それは脳科学の研究ではっきりしているんだそうです。
こういう研究している研究者がいるってことも面白いことですがねー。
で、男はどんなことにストレスを感じるかというと、それは、
リソースを得られないこと
なんだそうです。
リソースとは「資源」「得物」という意味です。
たとえば、食べるもの、お金や家など財産、地位や名誉、妻や家族と言ったところでしょうか。
男性は、獲物や住処、領地などのリソースを獲得することを目的として進化してきたので、これらが得られない時の心的ストレスが大きいのは当然かもしれません。
つまり、「カネ」「権力」「オンナ」がオトコの価値なんですよね。
これを持っているかどうかで、オトコは幸せを感じられるか不幸になるかが決まる。
だから、カネがなく、権力をふるえる相手がおらず、オンナからも相手にされないオトコは、ストレスまみれになり不幸になってしまうというわけなんです。
オンナと言っても愛人、浮気相手という意味じゃないですよ。
女房や子どもなど、自分が守るべき存在って意味です。
オトコは女房や子どもなど「弱き者」を守ることにもアイデンティティを感じるのです。
それによって自分が「強い存在」であることを確認できるからです。
え?女房の方が強いって?
それじゃーダメだねー。
あはははは。
リストラで職を失った男性は、同じくリストラされた女性より自殺する人が多いそうです。
それはオトコの方がリソースを失ったことによるストレスが大きいからです。
お金が稼げなければ、食べるものを得られない、地位・財産も失う、名誉なんか絶対に得られない、まして女房や家族から軽蔑される、下手すると女房子どもに逃げられ捨てられる。
死にたくなるのも分かります。
40歳も過ぎる年代になると、変なクソオヤジが増えてきます。
クレーマーもその一種です。
42歳はオトコの厄年です。
厄年は「役歳」とも書きます。
これはオトコも42歳頃になれば、それまで自分を磨き上げ価値を上げて「役がつく」ような人間と、努力を怠ってきたツケを払わなければならない「厄がつく」ような人間と、二つにはっきりと分かれてしまうということなんです。
クレーマーおやじは嫌なことをやったり言ったりして、職場でも家庭でも嫌われる。
それは、ある程度の年齢になってもリソースを得られなかったからなんですね。
リソースを得られなかったおじさんが、卑屈になったり過度に弱気になったりするのは脳科学的に言っても当然なんです。
だから男性がストレスから解放されるには、上記のうち少なくとも一つでも持っていればいいわけです。
お金でも、名誉でも、妻や家族の信頼でも。
でも、男にとっての一番大切なセーフティーネットは妻や家族からの信頼なんだと、ぼくは思っています。
たとえリストラされてお金も地位も名誉もなくたって、妻や家族からの信頼が残っていればストレスに負けずに生きていける。
反対に日頃から女房の信頼を獲得することを怠ると、リストラされたりオトコのリソースを失うような事態に陥ると女房家族に逃げられるんです。
そしてますます卑屈なおじさんになってしまい、クレーマー化してしまうのです。
でもリソースは天から降ってくるものでも地から湧いてくるものでもありません。
自分の「努力」で獲得していかないとならないものなんです。
ここがオトコが生きるポイントなんですね。
それは厄年をすぎた40代、50代だって同じだし、それができるはずなんですよ。
努力によってオトコの価値を高め、厄年を役歳に変えていけるんです。
会社や社会からも認められ、女房子どもからも信頼されるよう努力を積み重ねる。
仕事も思う存分一生懸命やり、家族との時間も大切にする。
我が子(男の子)たちにも正しい「オトコの価値」を伝えていきたいものだと思っています。
昨日は筑波研に建設中の細胞研究リソース棟の受電でした。
ぼくもオトコの価値を高めるべく、がんばってきましたよー。
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