2011年2月21日月曜日
バカと言う方がバカ
こんにちは
息子がしょげて幼稚園から帰ってきました。
どうしてかなーと思ったら、お友だちから「そんなことも知らないの?バカ」と言われたらしい。
確かに我が家はほとんどテレビを見ませんから、他の子の話題についていけないのかも。
他の子が常識的に知っていること、まあ仮面ライダーとかゴレンジャー(古い?)のこととか、うちの子は知りませんからねー。
時々、話が合わないこともあるでしょう。
ぼくは息子にこう言いました。
あのね、人にバカと言う人の方がバカなんだよ。
君には知らないことがあったかもしれない。
でも他のことはみんなよりよく知っているでしょ。
だから全然バカじゃない。
バカと言われても気にしなくていいんだよ。
同じように、君も友だちのことをバカと言ってはいけないよ。
バカと言う方がバカなんだからね。
近年、脳科学の研究はものすごく進みました。
人に対する実験ができるようになったからです。
脳を解剖して電極を刺すなんて、人に対してはできません。
fMRI(ファンクショナルMRI)とか光トポグラフィーなんて装置があります。
これらの装置を使うと、傷つけることなく、数mmの分解能で脳のどの部分が働いているかわかるようになってきたんです。
こんな研究があります(池谷裕二/木村俊介『ゆらぐ脳』文藝春秋¥1238-、97p)。
ビデオゲームをやりながら脳を計測します。
このゲームは迷宮を探検しながら進むロールプレイゲームですが、そこには知能を持った邪悪な敵が徘徊しているのです。
邪悪な敵をかわしつつ、敵と戦ったりしてゴール目指して進むゲームです。
実験によると、敵までの距離によって活性化する脳部位が異なることがわかりました。
敵が遠いところにいるうちは、主に前頭葉が活性化します。
前頭葉は理性を司る部位です。
敵が近くにいない間は、理性的に敵を避けるようなゲームの進め方をします。
ところが、敵が目前に来てしまうと前頭葉の活動は静まってしまいます。
その代わり、中脳の奥にあるPAGという部分が活動を始めます。
ゲームをしている人は、やみくもに敵と戦うようになります。
あるいは、敵から逃げようとして、行き止まりの道に迷い込んだりして、返って敵にやられてしまう。
つまり、理性的な判断ができなくなってしまうんです。
PAGはパニック障害の患者さんの脳で、いつも活性化していることが知られている部位です。
つまり、敵が目前に来ると、人の脳はパニックに陥るんですね。
パニックに陥ると、やみくもに戦ったり、無思慮に逃げたりする。
理性的な行動ができなくなるのです。
それが人の脳の性質なんです。
「戦」という漢字は、戦う(たたかう)という読み方と、戦く(おののく)という読み方があります。
パニックに陥ると、やみくもに戦ったり、わけも分からず恐れ戦いたりします。
脳科学的にみても、戦うと戦くは非常に近い状態なんですね。
同じ漢字を戦うと戦くにあてるなんて、昔の人も脳のことがよく分かっていたのかもしれません。
相手に対して恐怖を感じるから、恐れおののき、過剰に戦ってしまう。
だから戦うという行為は、決して合理的でも勇気ある行為ではなく、恐怖の裏返しなのかもしれませんね。
森博嗣『小説家という職業』集英社新書¥700-にこうありました。
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ところで、人間というのは、自分が弱い部位を、相手に向かったときも攻める傾向がある。
自分が言われたら腹がたつ言葉を、相手を攻撃するときに使う。
その言葉にダメージを与える効果があると感じているからだ。
したがって、悪口を言ったり、苛めたりする人間は、自分が悪口を言われたり、苛められたりすることを極度に恐れている。
苛める方も、苛められて傷つく方も、この点で共通している。
苛められても気にしない人は、人を苛めない。
悪口を言わない人間は、悪口を言われても腹が立たないのである。(87p)
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なるほど、なるほど。
人のことをバカという子は、実は自分のことを(深層心理では)バカと規定している。
バカだと言われることを恐れているんですね。
そこに自分より優秀な人間が現れる。
すると自分がバカであることが露呈する危険が迫っていると脳は感じてしまう。
PAGが活性化し、理性的に行動できなくなる。
パニックに陥り、相手のことをバカにするような言動をとってしまうのです。
誰かのことをバカにして、いいことなんかまるでありません。
相手から嫌われ、疎まれ、自分の品格を落とす。
何度も繰り返していけば、誰も相手にしなくなり、孤立してしまう。
理性的に考えたら、損な行為であることは間違いありません。
ぼくも子どもの頃、両親や先生から「バカと言う方がバカ」と何度となく言われました。
これってホント真理なんですね。
自尊心、自負心のある人は、人をバカにしたりしません。
当然、誰かからバカと言われても気にしないでいられるのです。
だって、自分がバカじゃないことは分かっているんですから。
よく学び、よい行動をとり、誰かの役に立ち、感謝される。
自尊心、自負心を自分で育てていく。
そういう人生を造っていきたい。
我が子たちにも伝えていきたいことです。
神戸スパコン棟のお隣に、神戸市の外郭財団が建てた計算センター棟が完成しました。
今、両棟を接続する渡り廊下を建設中です。
誰に何と言われようと、いい仕事を続けていきたいと思います!
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