こんにちは
昨日は間もなく完成の脳神経回路遺伝学研究棟の完成図書のチェックをしました。
取扱説明書や機器完成図などの書類。
9000m2の大きな建物ですから、その書類も全部で1000ページを超えます。
スタッフと一緒にこれを過不足ないか、要領よくポイントを押さえてチェックしていきます。
途中ミスを見つけて、ちょびっとツッコミを入れたりします。
でも、厳しく言うだけじゃダメなんですよ。
ちょっと笑いを入れて突っ込む。
そうすれば、ミスをした方だってそんなに嫌な気にならない。
人間はゴキゲンでいるときが最もパフォーマンスがいいんです。
せっかくいい建物を造ってもらって、みんなゴキゲンなんですからそれをキープする。
それも監督員であるぼくの大切な仕事なんです。
人生の基礎は「読み書き計算、ボケツッコミ」なんですからねー。
先日、職場のある研究室の秘書さんからメールが届きました。
その研究室の主任がミニ講演会を開くから、聞きに来いとのこと。
なぜミニ講演会なんかするのかと思ったら、翌週に一般向けの講演を行うので、そのための予行演習だったんです。
ミニ講演を行って、口が悪くズケズケものを言う研究員たちの意見を聞き、本番をよりよい状態で迎えようというのです。
ぼくは元教師だったりするので、一般の人が聞いて分かりやすいかどうかチェックしてほしい、というお誘いも時々あるんです。
この主任は、彼の研究分野では世界的権威です。
主任の開発した機器は、世界中の研究所で使われています。
たくさんの賞ももらっている方です。
それなのに予行演習。
さすがだと思いました。
本物の偉い人は、努力を怠りませんね。
そういえば、以前東大でシンポジウムがあったとき、こちらはプロ向きの講演でしたが、その時もこの主任は登壇前に何度も何度もパワーポイントを見直していました。
常に努力していて、その姿を部下の研究員にも見せている。
だから部下たちから慕われもするのでしょう。
だから時に部下たちを怒鳴りつけても、着いてきてくれるのでしょう。
梅森浩一『ボスと上司』ちくま新書\680-を読みました。
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一体、私が働きたくない「ボス」ってどういう人なのか、興味をもたれる方もいるでしょう。
その答えは簡単です。
彼らには、私が学ぶものが何もなかったからです。
きっとこの答えを聞いて、「うん、うん」とうなずいた方も多いかと思います。
私たちがいちばん尊敬できない「上司」って、一体なんだと思いますか?
それは、その立場に到達した途端に、学ばなくなった人なんだと思います。(121p)
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なるほど、なるほど。
尊敬に値する上司って何か、すっきりわかりましたよ。
尊敬する上司の下で働きたいと思うのは、部下なら誰でも同じ。
仕事上尊敬できる上司というのは、見習うべき仕事の<技>を持っている人ということでしょう。
上司の持つその技を学ぶ(盗む)のが、部下として成長する早道です。
盗むに価する技を持っているうちは尊敬する上司ですが、盗むべき技がなくなったらどうでもいいおっさん(おばはん)に成り下がります。
最初から盗むべき技をちーっとも持たない上司もときどきいたりしますが。。。
だから、部下に盗まれても盗まれてもまだまだ技を出し続けられることが大事。
つまり、新たに技を身につけ続ける必要があるんです。
そのためにはずっと学び続けないとだめ。
いくら過去に栄光があったとしても、そこに留まっている人は底が浅いんです。
だから学び続けることが、尊敬され続けるためには必要なんです。
技も持たず、学びもしない上司からガミガミ怒鳴られても、「あ~あ、また始まったよ。自分ことは棚に上げてかっこわるいなー」って部下は心の中で毒づくわけです。
いくら怒鳴ってもそのガミガミオヤジの言うことは聞かず、思うような成果を上げてくれません。
尊敬できない人から何を言われても、不機嫌になるだけですからね。
無能な上司ほど、ガミガミ怒鳴ります。
もちろん有能な上司も時にはビシッと怒鳴ることもありますよ。
でもそれは部下が怒鳴られるようなことをしたからです。
そして、その後にちゃんとフォローがあります。
こうすればいい、あの人に会ってこい、この書類に目を通せ、など具体的に教えてくれるんです。
あるいは、上司自らが行動して問題を解決するところを見せてくれる。
もしかすると何も教えてくれないかもしれませんが、それは部下自身が自分で解決するのを期待しているから。
その場合も、部下が山を乗り越えるのをちゃんと見守ってくれているんです。
で、成功したらちゃんと褒めてくれたり、処遇してくれるんです。
ところが無能な上司は怒鳴ることしかしません。
具体的な方策を部下に示さない。
いや、示せないんです。技を持っていないから。
だから怒鳴ることしかできなくなっているんですよ。
人は不機嫌になるとパフォーマンスは落ちるんです。
闇雲に怒鳴られるだけの部下は不機嫌になります。
有能な部下は上司を無視するようになり、普通の部下は萎縮してチャレンジしなくなり、無能な部下はうつになって会社に出てこなくなる。
そんな上司を持つ部署のパフォーマンスは、どんなに怒鳴りつけたところで上がることはないのです。
自分自身もゴキゲンであり続け、部下や周りの人たちもゴキゲンにしていく。
ゴキゲンであり続けるために、学び続け、技を磨き、それを伝えていく。
そして全体のパフォーマンスを上げる。
それこそが正しい上司の行く道だと思います。
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