2012年11月17日土曜日

ダイナミックレンジを広げよ!

こんにちは
 
次男峻貴君に文字を教え始めました。
最初は筆圧を強くする練習です。
鉛筆の芯が折れるほど、グイッと力をいれて書く。
指先から前腕の筋肉を鍛えて強くするわけです。
筋肉には二つの種類あります。
支えるための筋肉、いわゆる「静筋」と、動かすための筋肉、いわゆる「動筋」です。
このどちらも鍛えないと、字は上手にかけるようになりません。
静筋を使ってしっかりと鉛筆を握り、ぶれないように支えます。
そして動筋を使って、自分の思うとおりの軌跡を描かせるのです。
筆圧を強くして文字を書くと、その両者が鍛えられるのです。

筆圧を強くすること、すなわち工学的に言えば「ダイナミックレンジを広げる」ことです。
広いダイナミックレンジを持つ技術は適応範囲が広く、また、その範囲の一部を使う限り、非常に安定的に使えます。
それと同じく、筆圧を強めて、前腕の筋肉を鍛えておく。
文字を書くときのダイナミックレンジが広いわけですから、通常の筆圧で文字を書くとき、とても安定的でしっかりとした文字を書くことができるようになるわけです。

先日のサイエンスアゴラで、BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)を研究している方とお話ししました。
手に障害を持っている人をサポートするために、腕に装着するアクチュエーターを開発した。
アクチュエーターというのは、簡単に言えばモーターでシリンダを伸び縮みさせるもの。
筋肉を模擬した動きをするものです。
手の動きを模擬するのですから、健常者の前腕の筋肉がどう動いているか、測定するセンサーも開発したそうです。
そのセンサーで、手がこう動くときは、これとあそこの筋肉がこのくらい動くということを計測し、コンピュータにデータを入れるわけです。
そのデータを使って、アクチュエータを動かす。

その研究者の方が、ある書道家が文字を書くときの筋肉の動きを測定したのだそうです。
そのデータをコンピュータに記録した。
そして自分の手にアクチュエータを装着し、書道家の手の動きを入力したのです。

すると、あるときは力強く、またあるときは軽やかに、回転させたりひねったり、いろいろな動きを組み合わせて文字を書いていることが分かったのだそうです。
つまり、書道家の手の動きは大変ダイナミックレンジが広かった。
長谷部光雄『技術者の意地』にこんなことも書いてありました。
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(テニスを教えるとき)日本の場合は、打ったボールがコート内に入るように、ボールコントロール練習するそうだ。
一方米国では、コートに入れるコントロールよりも先に、まず強いボールを打てるフォーム作りをやるそうである。
この場合、打ったボールがコートに入らなくてもかまわない。
とにかく強いボールを打てるように訓練するのだ。
そしてフォームが固まってきたら、ボールコントロールができるように修正していくのである。(265p)
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やはり、テニスにおいてもダイナミックレンジを最初に広げておくのが,後々上達するって訳です。
まあ我が子に書道家のような芸術的な文字を書かせるわけじゃありませんが、筋肉を鍛えダイナミックレンジを広げておこうと思っているのです。
長男溌貴君に字を教え始めたときも、とにかく筆圧を強くして書くようにさせました。
親ばかかもしれませんが、溌貴君は男の子にしてはしっかりした字を書きますし、2年生にしては小さな文字も書けるようになっています。つ
まり指先が繊細に動くんですね。
峻貴君もそうなって欲しいと思って、毎日10分間程度ですが、集中して取り組んでいるところです。

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