2009年10月31日土曜日

勉強は楽しい!

こんにちは

ぼくは言ってみれば二流、三流大卒です。
ちょっとはコンプレックスはありますが、三流大卒でもそんなに負けてはいないと自負しています。
たまたま勉強の重要性に気付くのが遅かったので、こういう学歴になっただけだと思っています。
学校を卒業した後も右往左往しましたが、それなりに勉強を続けて積み上げてきているので、今のぼくがあると思います。

つまり、勉強の重要性にいつ気付くのかで差が付いちゃうのは確かですが、勉強し続ける、意図的に継続することが大事なんだと思います。
たとえ一流大卒だとしても、学歴なんか卒業後せいぜい5年くらいで神通力は消えます。
卒業した後も、意図的、継続的に学び続けているかどうかで、その人の現在価値が決まってしまうのです。
学ぶことを止めたとき、あっという間に失速して墜落してしまいます。

ただし一流大卒の人は、既に学び続ける習慣と学ぶための技術が身についている場合も多いので、かなりのアドバンテージがあることは確かです。
でも、大学生になったとたん、社会人になったとたんに、学ぶのを止めちゃう人も多いんです。
もったいないことだと思います。

「厄年」というのがあります。男は42歳前後でしょうか。
厄年は「役年」ともいいます。ワープロでもどちらもちゃんと変換されます。
厄年、役年というのは、この年代で人間の価値がはっきりしてしまうということも示しているのです。
20代、30代を学び続け精進してきたかどうか、評価されてしまう年代が42歳頃なんです。

学び続けて自らの能力を上げ、今なお学び続けて右肩あがりの人には42歳頃になると「役」が着く。
学ぶことを怠り、ただいまある能力だけで過ごしてきた人は42才頃になると「厄」が着いちゃうんです。
役というのは、社会的に評価される、ということです。
社会的に評価されないと厄になっちゃう。

渡部昇一『思考の方法』海竜社\1400-から引用します。

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企業の経営者で忙しく働きづめなのに、なぜか楽しげな人がいる。
あるとき、そんなタイプの人に、「毎日毎日仕事で忙しく飛び回っているのに、よく陽気な顔をしていられるものですね。いろいろ心労も多いでしょうに」と言ってみたことがある。
すると、相手はこう言ったのである。
「いや、私は頭は使うけれども、神経は使いませんよ」
この答えに、私は心底感心してしまった。
ブツクサと不平不満をこぼして神経をすり減らすのと、不満の解消法を考えるのとでは、まったく違うということである。
不満に対して神経を使うのと頭を使うのとでは、天と地ほどの違いが出るのだ。
闇雲に心配するだけでは「考えた」ことにはならない。
あることに対してクヨクヨと心を悩ませていても、何の問題解決にもならない。
ところが、問題があればあるほど、その解決策を「考え」、問題点をさばいていくことに喜びを感じられるようになれば、どんなに忙しく、どんな困難な問題が生じてこようが、健康で陽気に生きていけるのだ。(23-24p)
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学び続けてきた人だからこそ、考える力が身についている。
考える力があるから、問題をザクザクとさばいていける。
そういう人だからこそ役も付いている。
そういう人だからこそ、健康で陽気に生きていける。

反対に、厄が着いちゃった人はどうか。
考える力がないので、問題が片付かず、どんどんたまってしまう。
それが悩みになり、ブツクサ不平不満をこぼして神経をすり減らす。
すると陰気にもなり健康も損なわれていく。

厄年と役年、その差が明確になるのが42歳頃だというのは、人間の法則のようです。
ほら、職場を見回してみてください。
40歳を過ぎたおじさんたちを見比べてみてください。
ニコニコしている人と、暗い顔している人、はっきり二分されちゃっているのが分かるはずです。

さて、きょうはお台場科学未来館でサイエンスアゴラです。
ぼくも子どもたちと楽しく実験教室をやってきたいと思います。
勉強の楽しさを子どもたちに少しでも伝えられたらいいなーって思っています。

2009年10月29日木曜日

エナジャイズ!

こんにちは

昨日も忙しかったですよー。
朝早く起きて週末に開催されるサイエンスアゴラ( http://www.scienceagora.org/scienceagora/agora2009/ ぼくも理研ブースで子ども向け実験教室をやってます。お近くの方来て下さいね)の資料作成。
続けてスパコン関連の資料作成。
昼休みは労働組合の大会。
またぼくは労組執行委員長に推されましたから、メインで受け答え。
ぼくも2期目ですからかなり大胆で個性的な活動方針案を提示しました。
そのおかげで厳しい反対意見も出たりして、これまでの大会よりも活気が生まれました。
嬉しい、嬉しい。
大会後、お客さん2社の来訪の応対。
その後、丸の内のスパコン本部へ行き、重要案件の説明と協議。
こちらも納得してもらえ、先に進めることができました。

そしていつも通りの時刻に退勤、我が家へ帰宅です。
家族と一緒に食事をし、子どもたちと一緒にお風呂に入りました。
さすがに疲れて、夜子どもに「本読んで」とせがまれても眠くてダメ。
9時には子どもと一緒に眠っちゃいましたよ。

ぼくは元教師です。
教師魂は今も忘れていないつもりです。
教師の最大の仕事は、生徒をエンカレッジ(励まし)しエナジャイズ(元気づける)することだと思っています。
生徒を、同僚や一緒に仕事をする人たち、家族に置き換えて、今も実践しています。

川端裕『メンタルヘルスに手を出すな』同友館¥1800-にこうありました。

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部下をコントロールするのではなくエナジャイズするのです。
管理するのではなく、触発し、やる気に火をつけ、その火を消さぬように絶えず燃料を与え続けることができるのは、現場実務に精通し、かつ実績もある中間層(現場指揮官)に他なりません。(154p)
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曲がりなりにも人の上に立つ立場の人間は、すべからく教師でなくてはいけないと思っています。
コントロールすることは、しばしば人からエネルギーを奪い、やる気をなくさせます。
やる気のない人間からはいいアウトプットは出てこないのは当然。
では何のためにコントロールする必要があるのでしょうか。
だからコントロールではなくエナジャイズなんですよね。

そして、自分にとって最大の教師は自分自身じゃなくちゃいけないと、ぼくは思っています。
自分自身をエンカレッジしエナジャイズする。
そうやれば自分自身が元気になれ、それが周りの人に伝染していく。
自分も周りの人たちも常にゴキゲンでいたいわけです。

さて、たっぷり寝たので今日も元気です。
今日はこれから名古屋へ出張。
現場指揮官としてバリバリやってきたいと思います!

2009年10月28日水曜日

やることを奪うな!

こんにちは

最近の子どもは結構リッチですよね。
着る物はブランド物、美味しいレストランや老舗の寿司屋にも連れていってもらったり、海外旅行まで。
しかしねー、分別の付かない年代の子どもを高級レストランなどに連れてこないでほしいぞ。
こっちもたま~になけなしのお金で高級料理を食べようと思っているのに、近くで子どもがバタバタ走り回っていたりして、ゲンナリしますよ。
だから我が家では、子どもにブランド物なんか買ってやりませんし、高級レストランには連れて行きませんし、当然海外旅行なんか絶対連れて行きません。
それは、贅沢が子どもにとって本当に幸せなことだと思わないからなのです。

良かれと思うことは何でも親や祖父母から与えられる。
もちろん親や祖父母は善意でやっていることだとは思います。
子どものよりよい成長を願ってやっていることだとは理解できます。
ぼくは、それが今の子どもたちの思春期を荒れさせる原因にもなっているんじゃないかって思うのです。

子どもは思春期頃まで成長すると、自力で何かをしたくなります。
自分の力で何かをしたいというエネルギーがわき上がってくる時期を迎えます。
その時に<やりたいこと>がないんですね。
特にほどほどの努力で手が届くようなものがない。
それらは既にみ~んな子供時代に親や祖父母から与えられちゃっているんです。

残っているのは、親や祖父母も手が届かない超高級ブランド品と大人が顔をしかめるような悪いことだけ。
だから、女の子は援助交際に走って超高級ブランド品を手に入れ、男の子は悪い仲間に入っていく。
あるいは、どちらもやる勇気のない子は引きこもる。

斎藤孝さんは「エネルギーの出場所がなくて余ってしまうと人間は悪くなる」と言っています。
引きこもったり鬱状態になるのは、エネルギーが不足しているからなるんじゃなくて、エネルギーの適切な出し場所がないからなるんだそうです。

脳科学者のヘンシュ貴雄さんの本、『頭のいい子ってなぜなの?』海竜社\1400-にこんなことが書いてありました。

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通常の動物飼育用の籠と、その中にいくつものおもちゃを取り込んで刺激を豊富にした籠、二つを使って、マウスの神経細胞の発達過程を比べる実験が行われました。
予想通り、刺激が豊富な、いわばリッチな籠である後者の環境のほうが(脳)細胞の発生を促したわけですが、それがなぜかという根拠だけは先送りにされていました。
一見、環境が豊富=刺激が豊富と考えてしまいがちですが、実はそれだけでなく、環境が豊富なために、動物の行動量が増えたからであることが、データではっきりと示されたのです。(114-115p)
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つまり、脳細胞の発達のためには「行動」が必須のものであることが最新の脳科学で判明したのです。
行動は「自発性」がないと起きません。
「やりたい!」という気持ちですね。
おもちゃなど豊かな環境も、動物の自発性を促し、行動につなげないと脳の発達のためには役に立たないのです。

子どもでも同じなんだと思います。
高級ブランド品を着せることが、子どもの自発的行動を引き起こすのかどうか。
高級レストランで食事をすることが、子どもの自発的行動を引き起こすのかどうか。
海外旅行に連れていくことが、子どもの自発的行動を引き起こすのかどうか。
子どもにとって受け身のことであり、自分で何かやろうという気持ちが湧き出てこないなら、それは子どもの脳の発達の役に立っていないということです。

小さい頃から大人が何でも与えていると、思春期になって子どもが自分の中から湧き出てきたエネルギーの適切な出しどころが見つからなくなっちゃうんじゃないかって、ぼくは思うのです。
何もかも与えることが、子どもが成長して自分でやりたいこと、自分でやるべきことを奪っているんじゃないか。
そういう視点も大人にあった方がいいと思うのです。
だから我が家では子どもに何でも買い与えませんし、高級レストランにも連れて行きません。
まー、お金もないんだけどねー。。。

2009年10月27日火曜日

クリアランスを持て!


こんにちは

今、神戸スパコン棟建設工事が佳境です。
先週末は水木金と現地出張して、ザクザクと仕事をこなしてきました。
木金は朝早く起きて、ホテルで下資料を作ってから朝一で現場入り。
即打ち合わせ開始です。
昨日も特別高圧変電所の受電前検査立ち会いのため、日帰り出張。
朝5時に家を出て一番の飛行機で神戸まで。
立ち会いの合間に次年度の予算資料のチェックなどもこなしました。
帰宅は夜10時過ぎでした。
さすがに疲れたね。

前便で「残業しない技術」なんてのを書きましたが、ぼくは残業をまったくしないわけじゃありません。
必要であれば残業します。
だから、残業しないことが目的じゃないんです。
むしろ、残業するために残業しないんです。

普段の仕事を残業してこなしていたとしたらどうなるでしょうか。
新たな仕事が舞い込んできたとき、それに対応できなくなってしまいます。
対応するためには、更に長時間残業したり、徹夜したり。
そんなんでいい仕事ができるとは思えませんよ。
普段の仕事を残業無しでこなしているからこそ、新たな仕事にもチャレンジできる。

そもそも残業は、普段の仕事を超える仕事をするためにするものなんだと思うわけ。
普段の仕事をこなしているだけでは、新たな経験ができません。
実力=知識×経験^2ですから、普段のルーチン仕事だけでは新たな知識も実りある経験もできない。
だから常に「余力」を持っておく必要があるんです。
余力を持つために、普段の仕事を合理的に短時間でこなせるだけの技術を身につけておく必要があります。
それが「残業しない技術」なんです。

駒崎弘樹『働き方革命』ちくま新書¥700-にこうありました。

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社員の前に、取引先の前に、銀行の担当者の前に座る時、僕はベストなコンディションでなくてはいけない。
疲れが溜まって不機嫌な顔をしていたら、目の前に座っている人たちもまた、不愉快な思いをしてしまう。
それは僕のビジネスにとって非常にマイナスなんだ。
だから日々、コミュニケーションの一瞬一瞬でベストな自分を出せるよう、常にメンテナンスしていかなくてはいけない。(158p)
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普段から残業続きで「いっぱいいっぱい」の人は、余力がない。
余力がないから不機嫌です。
疲れていれば不機嫌になるのも当たり前。
こんな時に新たな仕事が舞い込んできたら「えー、嫌だなー」と思うはず。
嫌々やる仕事はいいものになりませんぞ。
その上、嫌な気持ちが顔や言葉の端端に出ちゃうから、一緒に仕事をする人も不愉快になる。
全体のパフォーマンスを落としてしまいます。

普段は残業しないで休養を十分取ったり、家族とゆっくり団らんしていれば、笑顔も生まれます。
そしていざというときには「よっしゃ!やってやるぜー!」とできる。
もちろんその余力を仕事だけではなく、自己啓発の勉強や趣味やボランティアに振り向けることだってできます。
するとますます多くの人たちの信頼を得ることができ、心も安定します。

そのために残業しないことが大切。
それが自分をメンテナンスすることになり、ベストな自分を創り出せるからです。
自分こそが一番の「資源=リソース」なんです。
大切に扱わなくちゃいけませんぞ!

さて、今日は筑波出張です!


写真はスパコン棟の屋上、太陽光パネルの前でスパコン本部の面々と。
余力があると本部の人たちとの仕事にも参画できます。
これが楽しい!
え?でしゃばってるだけ?!

礼儀は人生のパスポート


こんにちは

四国に家がある施工スタッフの方が、庭で取れたスダチを持ってきてくれました。
嬉しい、嬉しい。
スダチをいただいた若い同僚が、「おいしかったですよ!」なんてお礼を言っていました。
偉い、偉い。
きっと彼は偉くなるでしょうね。
ぼくの周りを見渡しても、偉くなるような人はすべからく礼儀正しいから。

佐々木常夫『部下を定時に帰す仕事術』WAVE出版¥1400-にもこう書いてありました。

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私は、「礼儀正しさだけで東レの役員になれる」と感じたことがあり、部下にもそう言ってきました。
役員とはリーダーです。
そして、私は、リーダーというのは幼稚園の時に教わったことをきちんとできる人だと思っています。
では、幼稚園の時にどんなことを教わったでしょうか。
「人に会ったら挨拶しなさい」「みんなと仲良く遊びなさい」「人を仲間はずれにしてはいけません」「ウソをついてはいけません」「間違ったことをしたら、勇気をもってごめんなさいと言いなさい」---。
私たちは、このような人として基本的なことを幼稚園でたくさん学んだはずです。
その基本的なことをきちんとできる人が「人間力のある人」であり、人に信頼されてリーダーになりうる人だと思います。(146p)
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なぜ礼儀正しいと偉くなれるのでしょうか。
それは、礼儀正しいとみんなの気持ちがよくなるから。
気持ちがよくなれば、パフォーマンスが上がります。
パフォーマンスが上がって成果が出れば、出世するのは当然ですよ。
(と言うぼくはあまり出世してませんがねー^^;)。

出世する、偉くなるだけが人生じゃありませんが、みんなが気分よくなり、みんなから信頼されて、自分もゴキゲンでいたいものです。
そのために礼儀正しくあるのは、大切なことだと思います。
礼儀と言ってもそんなに堅苦しいものではなく、佐々木さんの言うように幼稚園で習うようなごくごく基本的なことだけでいい。
挨拶をする、ありがとうと言う、ごめんなさいと言う程度のこと。
これさえもできない人が多いわけですから、できれば大きなアドバンテージになります。

はっちゃん、とっちゃんにも礼儀は身につけてもらいたい。
まずは幼児期の家庭での習慣が大切だと思っています。
何かしてもらいたいときは「お願いします」、してもらったら「ありがとうございます」、間違いをしてしまったら「ごめんなさい」。
この三つは機会を逃さずに徹底的にやっています。
もちろん親もごまかさずにやる。

ということは、子どもを育てると親も礼儀を身につけられるってことですね。
じゃ、ぼくもこれから出世するかも?!
なーんてね!
あはははは。

2009年10月25日日曜日

あるものを活かせ!


こんにちは

その後の家出少年(既に中年)の報告です。
無事10/20をもって退職しました。
送別会も鬼門で、1次会だけで失礼するよう強く指示していました。
どんな業界でも足を洗う人間に対しては厳しいのが常です。
退職理由は、親が病気がちになったので田舎に帰るため、としました。
送別会で酔っぱらった同僚から、妬まれて暴力沙汰まで発展する恐れもある。
夜の世界の住人は、帰るところもなかったりするからね。
田舎に帰れるっていうことだけでも、妬みの対象になり得る。
でもさすが風俗業界、へんなところで問題を起こしては困りますから、すんなり送別会も1次会だけで終わったそうです。
よかったよかった。
とりあえず、道半ばまで来ることができましたねー。

先月ぼくは、退職時にできれば5万円、少なくとも3万円は残すように指示しました。
でも今日彼に聞いたところ、今現在の残金は1万4千円とか。。。
ありゃりゃ。
ま、先月の給料でヘルパー講習の受講料7万円を支払ったり、荷物を田舎に送ったりしたので、仕方ないでしょう。
でも、寮には月末10/30までいられることになったそうです。
最後の給料が10/30には振り込まれる予定なので、それまでは飯代だけあればいい。
何とかなりそうです。

家出君も11/30から宿無しです。
ヘルパー講習期間約45日間の宿代、飯代、交通費、雑費を、月末に振り込まれる最後の給料約25万円からまかなわなくちゃならない。
オマケにこの中から北海道の郷里に帰り着くまでの旅費も残さなくちゃならない。
とても厳しいです。
それでもやらねばならないわけです。

食費は1日1500円として7万円、交通費+雑費を1日1000円として4万5千円、これだけですでに11.5万円です。
極力安い宿を見つけなくちゃなりません。
楽天で調べてみたら、ありました!
なんと1泊1500円で、ちゃんとお風呂も付いている宿、
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/29338/CUSTOM/2933870714013035.html
旧山谷の簡易宿泊所です。
もともとは日雇い労働者の宿だったところですが、今はきれいに改修されて、円高で外国人旅行者もたくさん利用している宿だそうです。
ここなら45日間くらい、まずまず快適に眠れるでしょう。
45泊として、約7万円。
6万円くらい残る勘定です。
北海道までの旅費くらいは大丈夫!

勝間和代『起きていることはすべて正しい』ダイヤモンド社¥1500-にこうありました。

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何か目標を達成しようとしたり、夢をかなえようと思ったときには、とにかくある物を組み合わせるしかないと思っています。
現状、手に入るものと入らないものがあるので、手に入るパーソナル資産の組み合わせ、たとえば、時間、技術、テクニック、考え方、友人、インターネット、本などです。
とりあえずある材料で、今自分が使える物は何かを考え抜いて、その組み合わせの中で次に進むしかありません。
それを、私たちは往々にして何かと理由をつけて行動を先延ばししたり、自分が不幸であることを言い訳にしたり、さらには他人と自分を比べて、「他 人が優れているのはパーソナル資産が多いからであって、自分も同じぐらいパーソナル資産があったら同じことができたはずだ」と自己正当化や、自分への言い 訳をしてしまうのです。
もちろん、そのことは事実かもしれません。しかし、私がいつも思うのは、私たちが持っているパーソナル資産を含めて、それが私たちの実力であり、運だと思うのです。(231p)
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何かを始めるのに準備は必要です。
でも何もかも揃えられるわけではない。
足りないものだらけでも、始めなきゃならないことだって人生にはあるんです。
あれが足りない、これも足りない、と言っていたら、何も始めることはできません。
あるものを上手く使って、何とかやり始めるしかないんです。

さてさて、家出君の今後に乞うご期待!!


写真は本日の家出君。
夜の仕事を辞めて、早寝早起きするようになって、表情も少しおだやかになってましたよ。

2009年10月21日水曜日

定時に帰る技術

こんにちは

昨日は忙しかったですよー。
今週は水曜日から週末まで出張ですから、本所勤務は昨日だけ。
やらなきゃならないことをジャカスカ片付けました。
今設計中の2棟の研究棟の基本設計の最終チェックをし、上司に提出。
今建設中の研究施設の大きな設計変更の資料を作成し、上司に提出。
来月の予定表を作り、上司に提出。
労働組合の団体交渉。
来月の課長代理研修の事前課題を作成し、担当へ提出。
もうへろへろになりましたよ。

それでもほぼ定時には退勤です。
というより、定時になったら「もうかんべんしてよ。。。」という気分になっちゃった。
朝9時から17時半まで9時間集中して仕事をしたら、それ以上の体力と気力は残りませんね。

大橋悦夫/佐々木正悟『スピードハックス』日本実業出版社\1500-にこうありました。

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定時で帰ろうとする人は、「定時までしか時間がない」と考えているからこそスピードを上げて仕事を片付けようとしているのに対し、毎日残業している人は、「自分には時間はたっぷりある」と錯覚してしまうがゆえに、意図せずして先のような行動パターンになってしまうのです。(3p)
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まったくその通りで、ぼくも朝出勤したら今日やるべきことをリストアップして紙に書きます。
定時退勤を目指して、どの作業をいつからどのくらいの時間をかけてやるか、大まかに計画します。
あとはそれに従ってザクザクと作業するだけ。
こうやると、ほぼ定時には今日やるべきすべての仕事が完了できるようになりました。

まずは自分の現状の能力把握が必要です。
把握するためには、仮説と検証。
この仕事にどのくらいの時間があれば出来上がるか、見込みを立てます。
仮の締め切り時間を設定するんです。
そしてその仕事を実際にやってみて、完了時刻を計測。
見込みと実際を比較することで、自分の能力がわかってきます。
これを繰り返せば、ルーチンの仕事であれば取りかかる前にどのくらいで終えられるか判断がつくようになります。
そうなれば、定時に帰ることも可能になるわけです。
こういう自分の能力把握抜きに流れにまかせて仕事をしていると、仕事が終わる時間も流れのママ。
毎日残業するようになってしまうのです。

毎日残業している人の行動パターンは以下のようであると、この本には書いてありました。

 ①わからないことがあっても、まずは一人で解決しようとする
 ②仕事の進め方が一定していない
 ③いつでも笑顔で応じてくれる

ふむふむ、ですねー。
①は、一人で悩むってことですね。
悩むことほど時間のロスはありません。
仕事の遅い人はたいてい、悩んでいる時間が長いんです。
悩んでいる間は仕事は進まず、アウトプットは出ないのは当然です。
もちろん悩まなきゃならない仕事もありますよ。
過去に誰も経験していないような新しい仕事。
こういうのは悩まざるを得ない。
でも、仕事の9割はルーチンです。
自分はやったことがなくても、誰かが同じようなことをやったことがある。
こういうことは誰かに聞けばすぐ解決することなんです。

②はマニュアルがないってことですね。
マニュアルがないから、ひとつひとつ考えなくちゃならないし、悩まなくちゃならない。
仕事の進め方も、仕事の速い人の真似をするといいです。
真似をするとは、マニュアルを作り出すってことです。
仕事のできる人を真似して、自分なりにアレンジして、そのやり方を身体で覚えてしまう。
定型的な仕事は定型的にこなす方が合理的なんです。

③は、いい人を演じすぎるってことですかね。
自分が集中しているときに誰かに話しかけられると、集中がとぎれます。
それだけで不効率です。
話しかけられたら笑顔で応じることは大切なことですが、時と場合があります。
いつでも、どんなくだらない用件に対しても、笑顔で応じる必要なんかありません。
時に偏屈であることも、仕事を早く終わらせるためには必要なんです。

この本に、では早く仕事を片付けられ、定時に退勤する人はどんな行動パターンなのか、も書いてありました。

 ①わからないことはすぐに人に尋ねる
 ②仕事の進め方が確立されている
 ③邪魔しづらい雰囲気を醸し出している

同感、同感!

2009年10月20日火曜日

IQを高くしろ


こんにちは

問題は自分を高めてくれるよいものでもあります。
でもそれがストレスになって、心の病を呼び込むこともあります。
そうならないためにはどうすればよいか。
大切なことは、一度にたくさんの問題を抱え込まない、ということだと思います。

とはいえ、毎日毎日たくさんの仕事が舞い込んできます。
処理しきれないほどの仕事を溜め込んでしまうと、どこから手を付けていいのか分からなくなって、パニック状態になってしまいますよね。
ぼくだって時々そうなることもありますよ。
でもそれに対処する「やり方」があるんです。
いっぺんに全部をこなさなくちゃいけないと思うから、頭の中がパンクするんです。

パニック状態になっていても、頭の働きが完全に機能不全になっているわけではありません。
脳が再び働き出すように持っていく「技術」があるんです。
以下はTBSラジオサイエンスサイトーク(http://www.tbs.co.jp/radio/xitalk/)で、お天気キャスター倉嶋厚さんに聴いたお話です。

***
倉嶋さんは子どもの頃(戦時中)、非常に気の弱い子どもだったそうです。
ある時、倉嶋さんのお父さんは倉嶋少年にこう言ったんだそうです。

  おまえは何を悩んでいるんだい。話をしてごらん。

倉嶋少年は<来週の学校の軍事教練が嫌><卒業して兵隊になるのは嫌><学校の数学の問題が理解できない>などたくさんの悩みを話し、お父さんはそれを紙に書き留めていった。

  じゃあ、この悩みを時間順に縦に並べ替えてごらん。
   縦に並べれば、今悩まなくちゃいけないことはたった一つになる。
    それを順番に、ひとつずつやっていけばいいんだよ。
***

たくさんの問題を抱えてパニックになったときは、問題となっていることをすべて紙に書き出してみるといいんです。
それをぼくは「脳出し」と呼んでいます。
人間の脳は同時に7つ程度のことしか処理できないことが、最近の脳科学で明らかにされています。
脳の前頭前野という場所にはワーキングメモリという場所があり、ここで諸問題を意識に乗せ、考えている。

ところがワーキングメモリのスペースはとても狭く、人によって多少の違いはありますが、せいぜい7つのことしか意識に乗せられない。
脳のワーキングメモリは記憶するためだけじゃなく、記憶を組み合わせたり操作したりして思考する場所でもあるんです。
7つのスペースがあるからといって、そこに全部記憶させてしまうと、それらを操作して考えることができなくなってしまうのです。
ワーキングメモリのスペースをすべて使い切ってしまうから、パニックに陥ってしまうのです。
だから、ワーキングメモリに記憶させる事項は少なめにしておく方がいい。
たとえば同時に頭に入れることを三つにしておく。
そうすると4つは空きメモリができ、考えることができるようになるのです。
考えるためには空きメモリが必要なんです。
考えるとは、知識と知識を関連づけたり比較したり操作することなんです。
有効に操作するためには、空きメモリがたくさんある方がクリアな思考ができるのです。

これまた最近の脳科学の研究で、子どものワーキングメモリは3つくらいしかないことが分かっています。
子どもにあれこれ一度に言うと、パニックになりやすいんです。
いろんなことを一度に指示すると、子どもは思考できなくなり、IQが下がります。
だから教育原理も「一時に一事」なんです。
一時にたったひとつのことに集中することが、思考を深め、IQを高くすることができるのです。
脳のワーキングメモリの空きスペースを確保できるからです。
大人だって同じです。
脳のワーキングメモリがいっぱいになるにつれ、頭は働かなくなり、知能は下がります。
そうすれば、仕事は遅くなり、ミスも多くなるのは当然なんです。
だからワーキングスペースに空きスペースを作ることが大事です。
具体的には、倉嶋さんのお話にあるとおり、やらねばならない仕事をすべて紙に書き出してみる。
これが「脳出し」。
脳に充満している問題をすべてを紙の上に出してしまう。
そうすることによって、脳の空き容量を増やすんです。

仕事は溜めないことが大切です。
たくさんある仕事をとりあえず外に出し、その中のたった一つに集中する。
すると意外なほど早く片付きます。
脳に空きメモリができて、クリアに考えられるようになっているからです。
一つ解決したら、次のたった一つに集中する。
これを繰り返せば、すべての仕事をかなり早く片付けることができるんです。

紙に書き出した上から順に片付けていってもいい。
重要度の高いものからやっつけられれば、とても気分が晴れ晴れとします。
でも重要問題に着手するには、気力も必要です。
パニックに陥っているときは、気力も不足していることでしょう。
そういうときは簡単なものから手を付けるのもいい。
たくさんの案件の中には、簡単に片付くものもたくさんあるはずです。
簡単な案件を一気に片付けて、件数を減らすだけでかなりの心の余裕が生まれます。
するとワーキングメモリの空きが増えて、難問にも取り組むだけの気力も湧いてくるんです。


写真は、我が子はっちゃんが幼稚園の運動会でがんばって走っている姿です。
子どもにスポーツをさせるとよい理由も、スポーツは一時に一時だからですね。
ひとつのことに集中する訓練になっている。
我が子たちにも「脳出し」の技術を、身体に染み込ませたいですね。

問題があるから成長もできる


こんにちは

今ぼくは次世代スパコンとX線自由電子レーザーの建設の仕事に熱中しています。
ともに世界初、世界一の研究施設になるものです。
さすがに数百億円以上の国費を使ってのプロジェクトですから、あとからあとから解決すべき問題が湧き出してきます。
ひとつ解決すると、新たな難問が二つ三つと顕れる。
もーかんべんしてよーって思ったりもしますが、もはや逃げることはできませんから、ひとつひとつやっつけていくしかありません。

幸いにしてやり甲斐もあって面白い仕事なので、それほど疲れません。
もちろん精神が高揚しているからなんでしょうから、もう中年という年齢になっている肉体が追いついて行けない可能性もあります。
なので休日は極力仕事をしないようにして、身体と心を休めるようにもしています。
健康を害して倒れてしまっては元も子もありませんからね。
一番大切な資源=リソースは自分なんですから、楽しくいい仕事をするためには自分を大切にしなくちゃ。

谷口克編『病に挑戦する先端医学』ウェッジ\1400-にこう書いてありました。

 人間の場合は、情動系というところがいろいろ感じて、
 たいしてモチベーションが湧かないことを無理矢理やらされたりすると、
 ストレスになると一般に言われています。(151p、岡野栄之)

同じストレスでも、モチベーションの湧かないことを無理矢理、嫌々やらされると、悪いストレスになるんですね。
メンタルな問題を抱えている人って、すごく「やらされ感」が強いんですよ。
嫌々長時間働くから、心も壊れちゃうんです。
自らの意思で楽しんでやれば、ストレスも歓迎すべきことなんです。

内田樹『疲れすぎて眠れぬ夜のために』角川書店\1500-にもこうありました。

 使命感や自負を持たない人たちはストレスに弱い。(39p)

ぼくも、オレが世界一の研究施設のインフラを造る仕事を引っ張っているんだ!、という気概があります。
この仕事はオレにしかできないことなんだ、という(ちょっと傲慢な)自負もあります。
心地よい精神の張りを感じられて、とてもハッピーです。

天才北野武さんのプロデューサーである森昌行さんの著書『天才をプロデュース?』新潮社\1200-から引用します。

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何かをやり始めたら、問題はどんどん増えるものです。
問題を解決することで「自分は何が分かっているのか」が分かると同時に、「自分は何が分かっていないのか」も見えてきます。(169p-170p)
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ちょっと面倒だと思うけど、解決すべき問題が次から次へと湧き出してくるのは、当然のことなんですね。
それは自分が「動いている」からです。
動くことによって視界が広がるから、問題となることも見えてくるということです。
多くの問題が見えてくると言うことはすなわち、自分が進歩している証拠なんです。
大きな仕事をしていれば、向き合っているトラブルもまた普通の人より多いのは当然なんだと思います。

自ら動いている人は、こうやって自分を高めていくんでしょうね。
何もせず動かない人は、視野が狭く何も見えていないから問題にも気づかない。
動くからこそ自分とは何かが分かってくる。自分の使命が明確になってくる。
動かず何もしないままの人生なら、自分とは何者かさえ分からないままになってしまうんですね。
ラクかもしれませんが、そんなのはつまらない人生だとぼくは思います。

ぼくにどこまで出来るか分かりませんが、まだまだこのちょっとハードな日々を楽しんでいきたいと思っています。
ザクザクと難問をやっつけ、それを乗り越える度に、「あ、オレってこういう人間なんだ」「オレはこれをやるために生きているんだ」、と分かってくるのも快感だしね。

XFEL棟屋上の避雷針の導線を接続しているボルトが破断する事故がありました。
施工スタッフが迅速に対応してくれて、あっという間に解決です。
ザクザクと問題解決しちゃえるから、みんなで現場確認に行くときも笑顔でいられます。

2009年10月19日月曜日

安全確実ABC

こんにちは

今年も職場で開催された「電気取扱安全講習」の講師を務めさせてもらいました。
この講習は労働安全衛生法で定められた講習で、研究者自らが実験盤に電線を接続する場合など、安全確実に作業できるようにするためのもの。
労働災害の防止ですね。

毎年の講習でぼくが必ず話すことは、

 安全のABC理論

というものです。
ABCとは、

 A 当たり前のことを
 B バカにしないで
 C ちゃんとやる

ということです。

事故は、自己流、無手勝流から発生するものです。
こうした方が合理的、という自己流が事故を招きます。
人間というのは自分にうぬぼれていますから、決められた作業よりちょっといい考えを思いつくと、そっちをやってみたくなっちゃうんですよね。
決められた作業方法が面倒くさく、馬鹿馬鹿しいやり方に思えてしまう。

ところが、たいていの場合それが仇となって事故を生み出すのです。
決められた作業方法には、ちょっと不合理に思えても、そのやり方はこれまでの失敗、事故から得られた教訓が盛り込まれている。
急がば回れ、ではありませんが、その方が安全なんです。
ちょびっと作業方法を合理化して事故になるより、手間がかかっても安全に作業を進めた方が、長い目で見ると仕事は早く終わり、合理的なんです。

労働安全衛生法施行規則という法令には、こうした安全に関するマニュアルが詰まっています。
たとえば、脚立の天板には乗るな、なんてことまでこの法令には書いてあります。
脚立の一番上に乗ると確かに危険。
人間は仕事で必要なら、あるいは上司、先輩から命令されれば、危険な作業もしてしまうものなんです。
労働安全衛生法という法令は、労働者自らが危険作業をしないようにするためだけでなく、上司、先輩など使用者側が危険作業を労働者にさせないためのものでもあるのです。
それを防ぐ。
マニュアルを遵守すれば、まず事故は起きないのです。

電気取扱安全講習も、こうした安全のためのマニュアルを「知らせる」目的で行うものだと思っています。
マニュアルがあることを知っていれば、自己流、自己判断をしなくてすみます。
ある作業をするとき、何となく危ないなと思ったら、マニュアルを確認する。
そうしてもらえれば、確実に安全は担保されるんだと思うのです。
知らなきゃ、やっちゃいますからね。

ぼくのメインの仕事、工事監督にもマニュアルが存在します。
国土交通省でまとめた、「共通仕様書」や「施工監理指針」です。
分厚い本なので、全体を通読したことはありませんが、必要な都度その部分を読むようにしています。
たとえば、工場出荷前検査に立ち会うときは、出荷前にはどんな検査があるのか調べます。
これらの本にはちゃんとそれが書いてあるからです。

ぼくは意外とマニュアル主義者なんです。
マニュアルには過去の経験と知恵が詰まっています。
それは失敗の歴史です。
それを学んでおくことは、失敗を防ぎ、未来の確実性をより高めます。
あまりにマニュアルに拘泥するのもいけませんが、無視するのはもっとよくない。
無知と無視は紙一重で、不勉強による無知は無視と同じです。
マニュアルを知っていて、それを現実に合わせてアレンジできるのが、技術者の実力だと思うのです。

2009年10月13日火曜日

完璧をねらうな

こんにちは

ぼくは毎月かなりの本を買います。
だいたい月に20冊前後、金額で2~3万円くらいでしょうか。
今月も本屋で大量にレジで買っていると、後ろに並んでいたおばさんに言われました。
「そんなに買ってどのくらいで読むんですか?」
ぼくは「1ヶ月で読んじゃいます」と答えました。

ただし、全部読まないんですよ。
最初から最後まで読むのは、せいぜい半分くらいでしょうか。
読んでいて面白くない本は、途中で読むのをやめちゃいます。
資料的な目的で買った本、専門書は、ほしい情報が書いてあるところしか読まない。
ですから、本1冊まるごと最初から最後まで読むのは、買う本のうち7~8冊程度なんです。

そんな話をしたら、おばさんは「もったいなくてそんなことできない」と言いました。
確かにもったいないかもしれませんが、面白くもない本を無理して読む方がもったいないことだってぼくは思います。
専門書なら、既に知っている部分までわざわざ読む必要もありません。

読書に限らず、何にでも「歩留まり」というものがあると思っています。
勉強でも仕事でも、やったことのうち何割かはできなかったり、いい加減になってしまったり。
でも、それが自然なことだと割り切っているんです。
もちろん仕事ではやらなかったり、いい加減にやって使い物にならなかったりしたら困りますから、60点合格点の出来でよしとする、ということです。

歩留まりという概念がないと、何でも完璧にやろうとしてしまいます。
完璧にやろうとすると、量が減ります。
読書で言えば、読書量が減るということは、知識を得るスピードが落ちるということです。
1冊全部を読み切り、内容をすべて理解しようとすると、結局は本が嫌いになっちゃうんです。
嫌いになると読まなくなり、ますます知識を得ることはできなくなります。
勉強でいえば、完璧に理解しようとすれば時間がかかり、勉強量が減ります。
勉強量が減るということは、合格ラインまで到達する時間が長くなるということです。
おまけに、長時間かかると前に勉強したことを忘れちゃうこともありますよね。
仕事で言えば、完璧にやろうとするとアウトプットは減ってしまい、締め切りに間に合わなくなる。
成果が少なくなって、それは端から見たら能力がないのと一緒なんですよ。

先日、和田秀樹さんの講演を聴きました。
和田さんも講演の中で言っていました。

 勉強のできない人は全部覚えようとする
  全部覚えようとするから覚えられないのだ

最初から全部覚えようとしない、理解できなくてもかまわない。
6~7割マスターしたら先に進んでしまえ。
勉強のできる生徒はそうやっているんです。
先に進んでいくと、前に覚えきれなかったことや理解できなかったことも、自然と身に付いてくるものなのです。

勉強を仕事に置き換えても正鵠を得てますね。
仕事のできない人ほど全部を完璧にやろうとする。
完璧にやろうとするから成果が上がらないのです。
仕事も質よりも量なんですよね。
量をこなしていくうちに、自分のやっている仕事の全体像がだんだん見えてきて、質もよくなっていく。
狭い範囲で完璧に質をよくしようと思っても、時間ばかりかかってダメなんですよ。
視点を広く持つためにも、質はある程度犠牲にしても、量をこなす方が合理的なんです。

多少の取りこぼしは仕方がない、避けられない自然なことなのだと思います。
物事に軽重をつけて、あまり意味のないものに時間と労力をかけずに、合格最低点でもがまんする。
いい意味での「手抜き」です。
手抜きをして余った時間を、本当に力を入れるべき仕事に投入する。
そして、どんどんやる。
その方が充実した時間を過ごせるのだとぼくは思います。

2009年10月10日土曜日

男のストレス脱出法


こんにちは

澤口俊之『なぜいい女はパッとしない男に惚れるのか?』アスキー新書\724-に面白いことが書いてありました。
男はどんなことに一番ストレスを感じるか。
それは脳科学の研究ではっきりしているんだそうです。
こういう研究している研究者がいるってことも面白いことですがねー。

で、男はどんなことにストレスを感じるかというと、それは、

 リソースを得られないこと

なんだそうです。

リソースとは「資源」「得物」という意味です。
たとえば、食べるもの、お金や家など財産、地位や名誉、妻や家族と言ったところでしょうか。
男性は、獲物や住処、領地などのリソースを獲得することを目的として進化してきたので、これらが得られない時の心的ストレスが大きいのは当然かもしれません。

リストラで職を失った男性は、女性より自殺する人が多いそうです。
それはリソースを失ったことによるストレスが大きいからです。
お金が稼げなければ、食べるものを得られない、地位・財産も失う、名誉なんか絶対に得られない、まして女房や家族から軽蔑される、下手すると女房子どもに捨てられる。
死にたくなるのも分かります。
40歳も過ぎる年代になると、変なクソオヤジが増えてきます。
嫌なことをやったり言ったりして、職場でも家庭でも嫌われる。
それは、ある程度の年齢になってもリソースを得られなかったからなんですね。
リソースを得られなかったおじさんが、卑屈になったり過度に弱気になったりするのは当然なんです。

だから男性がストレスから解放されるには、上記のうち一つでも持っていればいいわけです。
お金でも、名誉でも、妻や家族の信頼でも。
でも、男にとっての一番大切なセーフティーネットは妻や家族からの信頼なんだと、ぼくは思っています。
たとえリストラされてお金も地位も名誉もなくたって、妻や家族からの信頼が残っていればストレスに負けずに生きていける。
反対に日頃から女房の信頼を獲得することを怠ると、リストラされたりしたきっかけがあれば女房家族に逃げられる。
そしてますます卑屈なおじさんになってしまうのです。

でもリソースは天から降ってくるものでも地から湧いてくるものでもありません。
自分の「努力」で獲得していかないとならないものなんです。
ここが男性が生きるポイントなんですね。
女房子どもから信頼されるには、ワークライフバランスですね。
仕事も短時間に思う存分一生懸命やり、家族との時間も大切にする。
我が子(男の子)たちにも伝えていきたいことだと思っています。


写真は神戸スパコン建設現場、特高施設の写真。
昨日もバリバリ仕事してきましたー!

2009年10月8日木曜日

自分をムダにするな!

こんにちは

次期も理研労働組合執行委員長に推されました。
光栄なことだと思います。
ぼく自身、これまで半年執行委員長を務めてきて、大変楽しく勉強になった。
実を言うともうちょっと労務関係のことを勉強したくなっていたんです。
最近、司法制度改革のひとつとして、弁護士だけでなく社会保険労務士も労働トラブルの解決にあたれるようになりました。
そのための特定社会保険労務士という制度ができたんです。
ものはついでです。
ぼくも労組委員長の仕事をしっかりやって、知識と経験を蓄えて特定社会保険労務士の資格もGetしちゃおうと思っています。
わくわくしますねー。
それに何にせよトップの仕事は面白いものですからねー。

最近のぼくの行動のキーワードは「実務者」です。
実務者としてどうあるべきかを考えて、日々行動しているんです。

実務者とは何か、ぼくなりに定義してみると

 利用可能なリソース(資源)を把握し
  それらを最適に活用・利用し
   最大の成果を得ることができる者

だと思います。

世の中にはやるべきこと、やった方がいいことがたくさんある。
でもそれをすべてやることは絶対にできない。
モノがない、金がない、人がいない、時間がない。
リソースは限られているからです。

ところで自分にとって一番大切なリソースって何でしょうか。
これがなくちゃ何もかも立ちゆかなくなるってもの。
それは

 自分自身

なんですよね。
一番大事なリソースは自分自身なんですが、つい忘れちゃうんです。
自分自身がダメになってしまったら、いくらお金があっても、いくら時間があっても、いくら優秀なスタッフに囲まれていても、何もできなくなってしまいます。
だから大切に使わなくちゃいけない。

だからといって、他人をないがしろにしてしまうと、返って自分という資源を枯渇させてしまいます。
自分の利益だけ求めて利己的に行動してしまうと、返って自分の自由度を狭めてしまいます。
森信三『父親人間学入門』にこう書いてありました。

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最大活用の真理とは何かと申しますと、これは結局「ムダにしない」という六字に極まると思います。
そして自己に与えられた生命や能力及び時間をムダにしないのみならず、他人の生命・能力・時間もなるべくムダにしてはならぬと思うのであります。(57p)
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他人の生命・能力・時間をムダにする人は、自分の生命・能力・時間も軽んじています。
逆に、自分の生命・能力・時間を大切にする人は、他人の生命・能力・時間をも大切にします。
それは自分自身の価値を知っているからです。

人は自分の尺度でものを考える存在です。
自分自身の価値を認められる人は、他人だって同様に価値を持っていることを想像することができます。
ところが自分自身の価値を認められない人は、他人の価値を想像することができず、ムダに使ってしまいます。
そうすると自分もムダに使うことになり、ますます自分の価値を下げてしまうのです。

自分という資源をムダにせず最大活用する。
それには他人の価値を認め、ムダにしないのが大事なんだなって思います。
労組委員長という仕事を通して、職場で働く人たちの価値を高め、自分の価値も高めていきたいと思っています。
「がんばりすぎず、ラクしすぎず」で、ベストエフォートでやっていこうと思います。

2009年10月7日水曜日

現場に行こう!


こんにちは

スパコン現場での職人さんたちとの焼肉会でのこと。
さすがに職人のお兄さんたちとは話が合いませんでしたが、現場監督クラスの人とは親しくお話しすることができました。
普段の打ち合わせでは、施工スタッフのトップの人、現場代理人さん、監理技術者さんと直接打ち合わせます。
でもその下で働く現場監督さんとは会話するチャンスがありませんでした。
焼肉会ではそういう人たちともお話しすることができました。
ある監督さんからこう言われました。
「いつも打ち合わせの時後ろの方で聞いているんですが、関口さんって現場のこと分かってますよね」
半分お世辞かもしれませんが、嬉しい一言でした。

ぼくは現場が大好きなんです。
いつも工事現場に出張に行くと、時間を見つけて現場をひとりで見て回ります。
面白い部分を写真に撮ったりしながら。
気づいたことを現場スタッフに話したり、質問したりします。
完成が近くなると、胸ポケットにいつも入れてあるテスターで、気になるところを測定したり。
電線の接続部分をグリグリゆらしてしっかり取り付けられているか確認したり。
時には休憩中の職人さんに話を聞いてみたり。
そのことを次の設計や監理の時に活かすようにしています。

瀬戸内寂聴/中坊公平/安藤忠雄『いのちの対話』光文社¥800-で中坊さんはこう言っています。

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私が弁護士や債権管理機構の仕事という自分の体験を通して一番大切だと思っていることは、現場をよく見る、直視するということです。
現場を見て、自分自身が考える。つまり、判断する。
次に、これは変えうると判断したら、変えようと実際に実行すること。
現場を見て、自分で考えて、実際に行動する、この三つが全部必要だと思っています。(184p)
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現場を見ると、図面や書類だけでは分からないことが見えてきます。
やっぱり実物勝負なんですよ、工事って。
だって最終的な目的は、図面や書類を作ることではなく、建物自体を造ることなんですから。
現場を見ないと、いい考えも浮かびません。
もちろん、図面や書類もしっかりチェックはしますよ。
図面や書類に従って工事は進められるわけですから。
でも現場を見て改善した方がいいところが見つかるってこともよくあるんです。
そのときその場で修正してもらっちゃう。
それを以降の施工にも反映してもらっちゃう。
そうやって造りながらポリッシアップしていくんです。

ところが若い人や技術力の足りない人の中には、書類ばっかり見ている人もいます。
図面を前にああだこうだと言い合ったり、首をひねって悩んだり。
なかなか決断することができない。
時間ばかり浪費しています。
そういうときは即現場を見に行くことです。
現場を見れば、たいていは解決の方向がわかるものです。
現場の情報量は膨大です。
図面や書類では分からないことが、そこには実在しているんです。

同書の中で建築家安藤さんはこう言っています。

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現場を見て、人間を見て考え、道理に沿って判断するという点ですが、今の若い人たちは現場が嫌いなのです。
人に会うのが嫌い。
できるだけコンピュータと対話したいという社会ですから。
だから、なかなか道理に沿って物事が見えないし、動かない。(184p)
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現場に行かない若い人は、きっと現場に行っても見えるものがないんでしょう。
でもそれは仕方ないことでもある。
基礎知識と経験が不足しているからね。
あれども見えず、なんです。
人間は、知っているものしか見えない、ものなのです。
見えないから、分からないから現場が嫌い。
嫌いだから現場に行かない。
現場に行かないから理解できない。
ますます現場が嫌いになる。
悪循環に陥っています。

現場を見れば、実物と図面や書類との対応関係も理解できてきます。
図面がこう描いてあると実物はこう施工されるのか、ということが分かってくる。
すると図面を読む力も身に付きます。腕も上がります。
見る目が養われ、考えも深くなり、判断もつくようになるんです。
判断ができれば、一歩先へと進むことができます。
だからぼくの仕事は現場を見ること抜きには完遂できない、と思っているのです。

写真はスパコン熱源棟の内部。
配管もビューティフルです!

2009年10月6日火曜日

できる社員は放し飼い

こんにちは

日経産業新聞 05.2.21「テクノウォッチャー」にこんな面白い記事が載っていました。

 物質材料研究機構の岸輝雄理事長は「研究者へのアンケートから上位一割と下位三割
 は評価を気にしないという。評価で残りの六割のやる気をどのように引き出すかが問
 題だ」と指摘する。

ぼくも「自称上位一割」ですからねー、納得できます。
会社や上司から評価されて、僅かばかりの給料上乗せをもらっても、あんまり嬉しくありません。
それによって今より頑張るなんてことは、絶対にありませんよ。
だってね、仕事が面白いからバリバリやっているわけだし、既にフルスロットルで頑張っちゃってるんだからー。

では会社からの評価ではなく、何が嬉しいか。
もちろん面白い仕事を自分で見つけてきてそれがやれる、というのが一番です。
そしてその次は、上司からつべこべ言われないことが嬉しい。
「放し飼い」にしてもらうのがいいですね。
仕事に熱中しているときに、上司から呼ばれることほど邪魔くさいことはありません。
それで何の用かと思うと、くだらない話をくどくどだらだらする。
せっかくの集中力が削がれてしまいます。時間も取られます。
やる気もなくなっちゃいますよ。
結局の所、部下のパフォーマンスを落とし、組織全体にとっても損失になります。
もったいない話です。
まー、ぼくくらいのレベルになると「今集中しているので、あとにしてくださいね」なーんて言っちゃいますけどねー。

逆に言えば、いい上司、有能な上司とは、優秀な部下を放し飼いにできる人のこと。
つまり、任せられるってことですね。
それはまったくマネジメントしない、ということではありませんよ。
任せるためにはしっかりとしたマネジメントが必要なんです。
マネジメントができないから、途中であれこれ報告を受けたくなったり、へんてこな指導を入れなくちゃならなくなる。
要するに「不安」なんです。
その不安の多くは自分に由来するものなのです。
部下のやっている仕事がよく見えない、理解できないから、不安なんですよ。
ゴールと期日だけは押さえてあとは任せられるか、その胆力が上司の実力なんです。

さて、上司から放し飼いにされるためにはどうすればよいのか。
佐々木常夫『部下を定時に帰す仕事術』WAVE出版¥1400-に「定期的に短時間でも上司に報告を続ける習慣をつけると」とありました。

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さらにありがたいのは、部長が私を見なくなるということです。
私という存在が上司の視野から外れていくのです。
というのは、「あいつは必ず2週間ごとに報告に来る」と安心してもらえるからです。
むしろ、報告に来ない他の課長が気になって、「おい、あの件どうなっている」という声が飛ぶようになります。
そして、もしもその宿題が出来ていなければ、「何をやってるんだ?」と責められ、今やりかけの仕事を止めて、指示された仕事に追いかけられることになります。
こんなことでは、その部下も課長に対する不信感を持ってしまい、チームとしての効率にも悪影響が出かねません。(116p)
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やっぱりサラリーマンですから「ホウレンソウ(報告、連絡、相談)」は大切です。
組織で仕事をしているんですから、まったく自由に自分勝手にはできない。
それに上司は「偉い」ですから。
呼ばれれば説明に行かなくてはなりませんし、メールが来れば返信しなくちゃならない。
ならばそういうめんどうは短時間に一度で済ませてしまった方がいいんです。
すなわち、定期的に報告する場を設けること、です。
それによって上司の「安心」を確保しちゃうんです。
上司の不安を解消して差し上げるのも、有能な部下の役目のひとつでしょう。

ぼくの所属するセクションでも、ぼくの発案によって毎週一度連絡会を開催することにしています。
そこでできる限りのホウレンソウを済ませてしまう。
そしてその一週間を、伸び伸びと放し飼いにさせてもらうわけです。
あー嬉しーーー!

2009年10月5日月曜日

確信を持て!


こんにちは

教え子の家出君からメールが来ました。

 今日,きちんと店長に退職願いいって
  正式に今月の二十日に退職が決まりました☆

おお、スバラシイ!
彼はこれまで職を転々としてきましたが、どれも嫌になると何も言わずに失踪していたんだそうです。
失礼なやっちゃね。。。
今度はちゃんと辞められそう。

それは自分の中に勇気が湧いてきたからだと思います。
自信が湧いてきたから、とも言えますね。
この一月で、ヘルパー講習の受講料を用意することができた。
我慢もしたでしょう。キャバクラにも行きたかったことでしょう。
でも何とか当面の目標であった受講料10万円を確保できた。
やればできるんだ、自分もまんざらでもない、と思えるようになった。
それが、ちゃんとした行動を生み出したんだと思います。

西田文郎『10人の法則』現代書林¥1500-にこう書いてありました。

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(成功する人は)最初から成功を確信しています。
そのために、どんな努力も苦になりません。
努力が辛いのは、その努力が報われるかどうか、わからないからです。
報われるとわかっていれば、いつもウキウキワクワク状態で努力できます。
このウキウキワクワク状態が、脳全体の司令長官にあたる、前頭前野の”実行機能”に重要な意味を持ってくるのです。(43p)
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彼も、成功を確信できるところまであと一歩のところまで来ることができたんだと思います。
一歩一歩、未来へと確実、着実につながっていきます。
とはいえ”好事魔多し”ですから、さっそく週末に彼に会いに行き、受講料を預かることにしました。
すぐにヘルパーの学校に受講料の振込を済ませ、11/5からの席を確保しました。
これで年内にはヘルパー資格を取得し、胸を張って田舎にも帰れる。
ご両親と暖かいお正月を迎えられそうです。
また一歩前進です。

次の目標は、受講中1ヶ月間の生活費です。
なんたって宿無しだからねー。
9月分の給料は、受講料支払いと寮からの引っ越し代(あらかたのものは実家に送ってしまうよう指示しました)で、残り少なくなっています。
が、10/20の退職=寮から出て行かねばならない日から10/末の10月分給料振込までの10日間、生きて行かなくちゃなりません。
今月もいろんなことを我慢して、10/20時点で5万円は残すよう彼に言いました。
そして10月分の給料があれば、受講期間は安宿、安飯で乗り切れる。
ああそうだ、彼に「臥薪嘗胆」って言葉も教えてやろっと!

もう彼の前頭前野は活き活きし始めているので、必要な努力はちゃんとすることができるでしょう。
その証拠に、彼の表情がグンと穏やか&にこやかになってきたんですよ!

ありがとうの意味


こんにちは

何度も書きましたが、我が子たちには「ありがとう」と言う躾をしつこくやっています。
誰かから何かしてもらったら「ありがとう」と必ず言う。
いずれは自分に対してだけじゃなくて、他の誰かのため、社会のためにいいことをしている人にも「ありがとう」と言えるような人物になってもらいたいです。

よいことは誰がしていてもそれを認め、そしてそれをその人に伝える。
それが身の回りから世の中全体をハッピーにしていく道ですからね。
西田文郎『10人の法則』現代書林¥1500-にこうありました。

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人に何かしてもらったときは、必ずありがとうといいなさい。
子どもに繰り返して教えるのも、自分の喜びを他人の行為と結びつける、こういう関係性の把握の訓練です。
なぜそんな訓練が子どもに必要なのかといえば、人間は一人では生きられない、社会的動物であるからです。(72p)
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そうなんです、人間は一人で生きているのではないんです。
自分の喜びを他人の行為と結びつけること、それが「ありがとう」の言葉なんですね。
自立している人ほど「ありがとう」を言うのです。
自立している人ほど、誰かに助けてもらうからです。
そして助けてもらったことを素直に感謝できる。

逆説的ですが、自立していない人ほど、誰にも助けてもらえない。
それは何かをしてもらったことに感謝をしないから。
何かをしてもらっていることに気づかない。
鈍感なんですよ。
だから自立していない人は、孤独の中で生きなくてはいけないのです。

「ありがとう」を言う訓練をしていると、誰かのさりげない優しい行為にも気づくようになると思うんですよ。
それは、誰かが助けを求めていることにも気づくようになる。
気づけば手伝いたくなります。
手伝えば「ありがとう」と言ってもらえる。
誰かの役に立ったことほど、自分の存在を実感できることはありません。
生きる勇気が生まれてきます。

楽しい人生は、頼り頼られ、です。
それをつなぐのは「ありがとう」の一言だと思っています。

2009年10月4日日曜日

コンフォートゾーンを広げよ!


こんにちは

子育ての要諦は、ほどほどの我慢は教えることだ、と思っています。
今、キレル若者やおじさんが増えています。
キレル人って、とっても気持ちのアソビが少ない。
気分よくいられる範囲が狭い。

で、いったんキレたら最後、何言ってもダメ。
まったく理屈が通らない。
どんなに丁寧にかみ砕いて説明しても、分かろうとしない。
自分が何を言っているのかも分からなくなっている。
まったく無関係な昔のことを蒸し返して攻撃してきたり、どうでもいいことをくどくどと言い訳したり。
知性がどこかに吹き飛んでしまったようになってしまうのです。

世の中、そんなに自分の好み、快適なようにはいきません。
嫌なこともあって当たり前。
それをどう乗り越えたり、適当にやり過ごしていくのが人生です。
そのとき、できる限り楽しい人生でありたいものです。

自分が気分よくいられる範囲を「コンフォートゾーン」といいます。
コンフォートゾーンが広ければ、ちょっとくらい嫌なことがあっても、それをやり過ごすことができます。
でもコンフォートゾーンが狭いと、ちょっとしたことでも気分が悪くなり、キレてしまうのです。

苫米地英人『テレビは見てはいけない』PHP新書¥700-にこうありました。

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単純にいうと、コンフォートゾーンから外れているとき、人間は動物に近くなるのです。
自己防衛的になるか、逆に必要以上に攻撃的になります。
そのため客観的に俯瞰して状況をとらえることができなくなり、それでIQが下がるのです。(135p)
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なるほどー、キレル若者、キレルおじさんは、IQが下がっているんですね。
それは、動物に近くなってしまっているから。
頭が悪く見えてしまうのも、そういうわけなんですね。
ぼくも気をつけなくちゃ。

だから、自分のコンフォートゾーンを広くして、ちょっとやそっとじゃキレないようにする。
いつも理性を忘れず、人間らしい思考を維持できるようにする。
そのためには、多少の我慢も覚えないといけませんね。
適度な我慢はコンフォートゾーンを広げてくれます。
子どもに我慢させるのは、そのための訓練なんです。

もちろん何事もほどほどが大事で、過度な我慢を強いてははいけませんよ。
過度な我慢をさせると、コンフォートゾーンが狭まるどころか、なくなってしまいます。
常に不機嫌な人間に育ってしまいます。

はっちゃん、とっちゃんには、なるべくいつもニコニコしていられる人になってもらいたいですね。
多少の困難も、ニコニコと解決できる。
問題解決には理性と知性は不可欠ですから、キレてしまったらお終いです。
知性を鍛え、我慢も教える。
そうやって人間らしい楽しい人生を造っていってもらいたいと思います。

2009年10月1日木曜日

本のある家


こんにちは

我が家の西面は、全面造り付けの本棚です。
階段に沿って2階の天井まで本棚になっています。
我が家は本があふれてますからね。
それに、西面は西日からの直射熱が厳しい。
本自体が断熱材の役目もしてくれます。
一石二鳥!

なぜ、こんな家を設計したか。
それは、本のたくさんある家で子どもを育てたいと思ったから。

ニュートンはケンブリッジ大学に学びましたが、卒業の頃ロンドンでペストが大流行したために大学が閉鎖になり、故郷ウールソープの実家に戻って2年ほどをすごしました。
その2年間にニュートンは万有引力の法則を発見し、微積分を考え出し、太陽光をプリズムで分光する実験を行いました。
この2年間は、ニュートンの人生にとって最も充実した時期だった。
なぜなら、ニュートンの実家も本だらけだったんです。
高校(王学校)でニュートンをかわいがってくれたストークス先生から贈られたたくさんの古典書と、お金持ちだった義父の残した何百冊もの蔵書からなる、ニュートンの個人図書館があったのだそうです。

中田力『天才は冬に生まれる』光文社新書\680-にこう書いてありました。

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基本教育と、有り余る程の本と、物を考えるための自由な時間。
どうも、天才と呼ばれる人間達がその驚く程の創造性を発揮するために必要な条件とは、この三つであるようである。(84p)
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ニュートンは、ケンブリッジで学んだ基礎力と、ペスト流行による疎開というありあまる時間、そして個人図書館にふんだんにある本があったから、この2年間に多くの重要な発見ができたのではないでしょうか。

我が子たちには、小学4年生までは読み書き計算の基礎基本はみっちりと教えたいと思っています。
小4までの読み書き計算の基礎があると、大人の本でもほぼ読めるようになっちゃうんです。
数学の難しい理系の本はちょっと無理かもしれないけど、小説や評論だったら子ども向きの本に限らず読んで楽しめるようになるのです。
だって、中学受験に出題される問題文は、岩波新書などまったく大人向けの本から引用されているんですから。
小六までにそのくらいの基礎力が身に付いていなくちゃね。

理系の本はある程度積み上げていかなくちゃいけませんから、小学校向き~中学校向き~高校向きと読み進める必要があります。
我が子がもし数学や理科が好きな子になったなら、自分の学年より先の学年の教科書を買ってあげようと思っています。
数学の教科書だって、例題をひとつ一つこなしていけば、どんどん先へ読み進めることができるんですからね。

ぼくも高校生の時、数学の授業時間は先生の話はまったく聞かず、勝手に教科書を先へ先へと読み進めていました。
先生から問題を当てられても、既に解き終わっているので平気です。
自由な校風の都立高校だったので、ちゃんと勉強しているなら先生の話を聞かなくても許してくれてたんですね。

ともかくそうやって基礎力が身に付いていると、学校の宿題などやらなくちゃならない義務的作業もササッと効率よくやっつけることができます。
学校の勉強だって余裕で取り組める。
すると時間に余裕ができる。
時間に余裕ができたら、本でも読もうという気になるわけです。
そして、ますます基礎力が身に付き、時間の余裕も生み出せ、さらに本を読めるようになる。
時間と能力に余裕ができれば、好きな趣味に没頭することもできますし、時にはボーッとすることだってできる。
こういう好循環な人生であってほしいと思っています。

そのためにも、我が家にはたっぷりと本を置いておくんです。
もちろんぼく自身も本をたくさん読む。
読むだけじゃなくて、読んだことを活用する。
その姿を子どもたちにも見せる。
そういう雰囲気の中で、我が子たちを育てたい。

って、ぼくが本を買いすぎる言い訳かもねー。
あはははは。


写真は竣工したばかりの頃、5年前の我が家。
今じゃもうこの本棚も本で溢れかえっています。。。