2013年9月24日火曜日

意図的に知的訓練もしなければいけない

最近,ぼくのサイエンスカフェでは、授業のあとに感想を書いてもらうようにしています.
子どもたちの感想を見て痛感するのは,文章力の不足.
それは能力が低いのではなく,文章を書く機会が非常に少なく,書き慣れていないからだと思っています.
だから,書く機会をふやしたい.

ぼくもボーイスカウト活動に関わって4年になります.
ボーイスカウト活動でも,もっと書く機会を増やした方が,より子どもが育つのではないかと仮説しています.
活動したらそのことを書かせる.
年齢に応じて徐々に書く量を増やしていく.
文章を書くことにより,活動したことを強く記憶することができ,活動のポイントも徐々に理解できるようになっていくのではないでしょうか.

ボーイスカウト活動の発祥国イギリスでは,そもそもパブリックスクールなどの子どもを対象として始まったのだと思います.
ボーイスカウトを始めたロバート・ベーデン=パウエル卿は,パブリックスクールで勉強ばっかりして知的には訓練されているけど,肉体と精神がひ弱になっている子どもを見て,何とかしなくちゃと思って,スカウト活動を始めたんじゃないかって思います.
だから屋外活動をメインにして,肉体的訓練の割合を高く設計した.

パブリックスクールの生徒は、いずれ社会のリーダーになっていくべき子どもたちです。
退役軍人だったロバート・ベーデン=パウエル卿は、知識も大事だけどそれだけじゃリーダーにはなれんぞ、身体と心も鍛えよ、と思ってボーイスカウト活動を始めたのでしょう。
学校教育だけでは不足している、「穴」を埋めるシステムを作ったのでしょう。

日本の今の子どもは,知的にもひ弱で,訓練が不足しています.
社会のリーダーになる子どもを育てて行くには,スカウト活動においても知的訓練を取り入れていくべきだと思うのです.
なので,活動の後に書いて記録するなど、知的訓練活動ということもあってよいのではないかと思っているのです.
いや、積極的にやって行かなくちゃダメなんじゃないかって思うのです。
今の子どもたちの「穴」はそこにあると思うからです。

我が子の所属するカブ隊では、隊長が「論語」を教えてくれています。
とてもいいなあと思います。
ぼくも毎年科学教室で協力していますが、それに加えて「百人一首」を教える活動を冬の雨の日メニューでやろうと思っています。
五色百人一首、歌って覚えよう百人一首を購入しました。
楽しみです!

http://www.amazon.co.jp/大石天狗堂-小倉百人一首-きまり字五色二十人一首-読札・取札セット/dp/B00B6XFXBG/ref=sr_1_cc_2?s=aps&ie=UTF8&qid=1379977469&sr=1-2-catcorr&keywords=五色百人一首

http://www.amazon.co.jp/うたって覚えYO-~百人一首~-百人一首/dp/B009EBE1ZG/ref=sr_1_cc_1?s=aps&ie=UTF8&qid=1379977525&sr=1-1-catcorr&keywords=歌って覚えよう 百人一首

2013年9月23日月曜日

知識の穴を埋めよ!

以前、100点取るのはバカ、と書きました。
なぜなら、100点を取るためには細々した枝葉末節まで勉強しなくてはならず、コスパが悪い。
加えて、100点狙いばかりしていると幹と枝葉の区別ができなくなる。
だから、本質的な部分、重要な部分、幹の部分はきっちりと学び、短時間で少ない労力で、かつ確実に合格点をとる方が、賢いのだと思っています。
 
でも、合格点ならギリギリでよいとも思っていません。
たとえ今合格したとしても、後々の成長にとって必要なものを欠落させてはいけない。
だから、特に年少のうちは80点、90点くらいを目指した方がいいのです。
 
ぼくは理系出身なので、よく勝手に「法則」を見つけて楽しんでいます。
最近、こんな法則を見つけましたた。
 
  学校で習うことは、その3年後に効果が現れる
 
です。
たとえば、小3までの勉強に穴があると、中学の勉強が辛くなる。
小6までの勉強に穴があると、高校受験が困難になる。
中3までの勉強に穴があると、大学受験で差が出る。
高校での勉強に穴があると、就職の時、社会人になってから厳しい。
 
逆に言えば、小3までの勉強に穴がなければ、中学の勉強は楽にできる。
小6までの勉強に穴がなければ、高校受験が非常に楽。
中3までの勉強に穴が少なければ、大学受験も希望通りに行ける。
高校での勉強に穴がなければ、就職で困ることもないし、社会人になっても活躍できる。
 
とは言っても、小3の段階で小3までの学習内容、学習技能を完璧に習得するのは無理。
だからとりあえず、80点、90点を目指して、なるべく穴は小さくしておいて進級する。
そして、4年、5年、6年生の勉強をしていく中で、3年生までの勉強の穴をふさいでいくんです。
当該学年で完璧は無理でも、上学年で徐々に穴埋めしていくことは可能でしょう。
 
そういう努力を積み重ねていくと、社会に出ても困ることが少ないし、知識を使って困難も乗り越えていけるようになると思うんですよ。
ぼくの周りの活躍している人、一流の研究者やキャリア官僚の人たちを観察すると、ほんとに穴が少なく、そして常に穴を埋める努力を継続しているんです。
穴埋めを生涯続けられる人が、ずっと活躍できる人なんじゃないかなーと思えてきたんです。
 
ぼく自身穴だらけな人間でしたが、50歳を超えて、ようやくかなりの穴が埋まってきたように思います。
いろんなことが楽に短時間でできるようになりました。
見晴らしも広がりました。
 
でもこういう穴埋め作業を子どもの頃からやっている人には、やっぱり追いつけそうにありません。
我が子たちには、穴埋め作業のやり方を伝授していって、豊かな人生を作っていけるようになってほしいなーと思っています。

2013年9月20日金曜日

模擬試験活用法

今日は、模擬試験の使い方について御指南いたしましょう。
模擬試験が終わったら、結果だけ見てたりしませんか。
順位や偏差値、合否判定で一喜一憂したりしてませんか。
それも大事だけど、それだけじゃもったいないんです。
必ず復習しなくちゃね。

模試で間違えた問題をやり直す。
と言っても,闇雲にやってはいけません。
復習にも「技術」がいるんです。
カリスマ塾講師である金廣志氏は,こんな法則を見つけたそうです.
  偏差値=100-正答率
ある模擬試験の問題のうち,受験者の50%が正答できた問題を解けるなら,その子の学力偏差値は100-50=50ということ.
受験者の40%が正答できた問題も解けるなら,その子の学力偏差値は100-40=60ということ.
受験者の30%が正答できた問題まで解けるのなら,その子の学力偏差値は100-30=70ということです.
偏差値70と言えば,上位2.3%ですよ.
このくらいの偏差値があれば,たいていの学校に合格するでしょう.
ここからわかることは,トップクラスの成績をとるために,決して突飛な知能を持つ必要はないんです.
誰もが解ける基礎基本レベルの問題を,穴なくできればよいのです.
闇雲に勉強するのではなく、自分の穴を見つけ、そこをきちんと埋めていく。
そうすれば、少ない努力で、短い時間で、成績を上げていけるのです。
たとえば今、自分の偏差値が40だったとします。
ここから成績を上げていくわけですが、一気に60や70は狙わない。
狙っても無理。
とりあえず偏差値50を狙うとしましょう。
そのために模擬試験を活用するのです。

模擬試験で間違えた問題をやり直すわけですが、全部やり直す必要はありません。
模擬試験の結果にはたいてい、それぞれの問題の正答率が書いてあります。
それらのうち、正答率が50%以上の問題だけを勉強するんです。
もちろん自分が正解だった問題に、もう一度取り組む必要はありませんよ。

正答率50%未満の問題は、とりあえず放っておくんです。
だってそれはまだ自分には無理な問題なんですから。
基礎基本が身についていないから偏差値40なんです。
偏差値40しかないのに、正答率50%未満の、受験者の半分以下しか解けない問題がスラスラマスターできるわけがありません。
ちんぷんかんぷんに違いありません。
身の程を知れ!なんです。

まずは正答率50%以上の問題を復習するのです。
正答率50%の問題はごくごく基本的な問題ですから、それほど難なく勉強し終えることができるでしょう。
それだけでも、次の模試の時には,偏差値50には届かないかも知れませんが、確実に成績は伸びているはずです。
模試の成績が偏差値50に届いたら、次は正答率40%の問題に取り組む。
もちろんこれまで受験した模試の該当する問題も勉強するんですよ。
正答率50%まできちんと穴埋めができているので、すなわち基礎ができていているので、正答率40%の問題でも、それほど大きな負担なくやり抜けるでしょう。
時間もそれほど必要ないと思います。
正答率40%も問題をやり抜くうちに、自分の成績も向上して偏差値60に届くようになります。
そうしたら次は正答率30%の問題に取り組むのです。
もうこの頃にはかなりの実力がついているので、正答率30%クラスの問題でも、理解できるようになっているはずです。
トップクラスはもう目の前ですよ!
ぼくもは若い頃進学塾講師をしていましたが,生徒の中にとんでもなく算数ができる子がいました.
超難問を一瞬で解く.
模擬試験で言えば,正答率が1%にも満たないような難問が解けるのです.
講師であるぼくより明らかに頭がよい(笑)。
でもね、このような天才児の行く末を見ると,意外と後から伸びていないようなんです.
それは超難問は解けるが,ごくごく当たり前の問題でポロポロと失点する.
それが能力の伸びを阻害してしまうのです.
すなわち,天才であっても基礎的なところに穴があると、だんだんとダメになってしまうのです。
そもそも天才君たちは地道な努力をしません。嫌います。
何の努力もしなくても、算数の難問が解けてしまうから。
でも難問と言っても小学校レベルですよ。
中学、高校レベルの数学を習えば、誰でも解けるようになる問題なんです。
中学、高校、大学と、そして社会人になっても、継続してトップクラスでいるには、やはり基礎基本に穴がないこと、それとちょびっと努力する習慣が欠かせないのです。
天才児でなくても、当たり前のことをきちんと穴なく勉強すれば,だんだんと能力を高めることができる。
たとえ天才児であっても当たり前のことを疎かにしていると,自らの将来を狭めてしまうのだと思います.

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お子さんに勉強させるときに,皆さん,闇雲にやらせていませんか
うちの子は算数ができないんです,理科ができないんです.
では,理科の何ができないのか.
それがわからないままに勉強させていると思うんです.
もうそんなところはわかっているよ,っていうところを長時間勉強させてると思うんです.
正答率調査をすると,この子には一体何が欠けているのかがはっきりする.
そうすると,勉強量が圧倒的に少なくなる.
むやみな勉強をしなくていい.
ピンポイントで勉強すれば成績は上がるんだということです.

森上展安『10歳の選択』ダイヤモンド社¥2000- 金廣志氏論文より
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2013年9月15日日曜日

教育セキュリティ

幸いにして、はっちゃんもとんたんもいい学校、いいクラス、いい先生に恵まれています。
親として安心して通学させられるのは幸せなことです。
学校でしっかり勉強し、出された宿題はきちんとこなす。
学力的にも問題なしでしょう。
 
それでも我が家は、加えてプラスアルファの勉強をやらせます。
そんなにいっぱいではなく、ほんの少し。
学年×20分間-宿題時間です。
学校へ行く日、すなわち宿題の出る日は、10分かせいぜい20分です。
この時間を漢字検定対策の朝勉強に充てています。
 
休日は宿題がない(終わっている)ので、学年×20分間をまるまる好きな勉強、必要な勉強に充てられます。
上の学年の計算を教えたり、『論理エンジン』を一緒に解いたり、『坊ちゃん』『論語』『実語教』の音読を楽しんだりできます。
子どもも,ちゃんと宿題も終わり、一定時間集中して勉強し終わってしまえば、あとは好きな遊びを何の気がかりもなくすることができます。
精神衛生上、とてもよいことです。
 
学校の授業をしっかり受け、宿題をきちんとこなす。
あたりまえのことです。
あたりまえのことをやって、ようやく「人並み」なんです。
人としてのベースができるレベルでしょう。
 
人の価値は、ベースがきちんとできた上で、プラスアルファするものがあるかどうかで決まります。
それが個性になるわけです。
だから個性につながる勉強も、ちょこっとプラスアルファしていくんです。
 
それから、親は「教育セキュリティ」にも配慮していかなくてはならないと思っています。
教育セキュリティを脅かす最大の要因は「担任の先生」。
担任の先生の善し悪しで、教育効果は段違いになってしまいます。
学校任せのままでいると、子どもの教育は担任の先生次第になってしまうのです。
ダメダメ先生に当たってしまったら、目も当てられなくなっちゃいますよ。
 
担任の先生の当たり外れは,なかなかコントロールできるものではありません。
運不運なんです。
仕方ないことなんです。
でもそれに振り回されちゃいけない。
 
たとえ担任の先生がよい先生であっても、10歳(小4ないし小5)までは家で親が教える習慣があるべきだと思います。毎日でなくてもいいですが、週に1日2日でよいので、子どもの勉強につきあってやる。
学校でのノートやテストを見て、我が子の弱点を補強してやる。
何より,家で勉強する習慣を付けてやる。
だって、学力は家で形成されるんですから。
 
我が子の教育は最重要事項です。
ダメ教師に当たってしまったからって、我が子をみすみすダメ児童にしてはいけません。
担任の当たり外れに大きく影響されないように、うまく制御していくのも「親業」だと思います。

2013年9月14日土曜日

漢字検定、勉強法

はっちゃん、夏休み前に受検した漢字検定8級(小3修了レベル)に合格しました!
点数も150点満点中144点、書き取り問題3問だけの間違いですから素晴らしいですよねー。
それも約半年の勉強、朝の登校前15分間の勉強だけでです。
子どもはこのくらいのポテンシャルを持ってるんですよ。
どんな子でも「やり方」さえ分かれば、ちゃんと勉強するもんだと思います。
 
ちなみに漢字検定対策の勉強は,こんな風に続けてきました。
 
まず、対象学年の漢字(3年生なら200文字)をざっと勉強することが第一です。
それには『漢字練習ノート 小学3年生 (下村式 となえて書く 漢字ドリル 新版) 』偕成社¥525-が最適です。
毎朝2文字ずつ、この練習ノートに書き込んでいく。
すると200文字を100日、すなわち3ヶ月で完了です。
2文字やるだけなら、時間も10分から15分しかかかりません。
登校前に取り組むのにちょうどいい量です。
下村式漢字ノートで200文字を一通り終わらせたら、漢検対策に入ります。
 
毎朝3文字や4文字やれば、もっと早く終わらせられるかも知れません。
でもそれはやらない。
はじめて勉強することには、それなりの時間がかかるものだからです。
ここで端折っちゃうと、あとでよけいに時間がかかるのです。
最初はじっくりと練習した方がいいと思っています。
 
さて、次は『漢検 漢字学習ステップ』¥1050-に取り組みます。
8級から10級には「ワイド版」という大きい判型のものが出版されています。
小2くらいまでの子どもには、ワイド版の方がいいです。
直接書き込めますから。
逆に言うと,通常版は小3後半くらいからじゃないと枠が小さすぎて,文字が書きにくいです。
 
『漢検 漢字学習ステップ』は各ステップ3ページで25ステップで構成されています。
読み1ページ、筆順など1ページ、書きが1ページです。
各ステップの扉には、そのステップで練習する漢字8文字が書いてありますから、問題を解くときに分からなかったら、そこを見れば分かります。
これも各ステップ、朝の15分間でやれます。
漢字ステップも1ヶ月かからず完了です。
 
最後に『漢検過去問題集』¥945-です。
こちらはワイド版が出版されていません。
1年生では絶対通常版の判型では、直接書き込みながらの勉強は不可能です。
我が家では、10級受検の時、拡大コピーしてやらせていました。
これがけっこう手間でした。
過去問集もぜひワイド版の出版を希望します。
2年生後半くらいの子なら、通常版の大きさでも直接書き込んで勉強可能でしょう。
 
過去問集には12回分の過去問が収録されています。
1回分の分量は6ページです。
これを毎朝2ページずつやらせました。
2ページならやはり15分間でやりこなせます。
 
大問1題やるごとに、自分で答え合わせをさせます。
解答を見ながら、間違えていたところだけ、問題番号に丸印をつけていきます。
読みの問題で間違えたら、その場で3回声を出して読みます。
書きの問題で間違えたら、テキストの余白にその漢字を3回書きます。
 
全部で72ページですから、これも1ヶ月強でやり終えられます。
ここまででほぼ半年です。
受験日までの残りの期間、過去問集で間違えた問題を見直します。
そして試験当日を迎えるわけです。
 
各テキストごとに最初の2回程度、親がついて「やり方」を教えてやれば、小2以上の子なら子どもだけでもやれるようになります。
あとは習慣づけるだけです。
毎朝起きたら、顔洗い、朝食、歯磨き、着替えをさっさと済ませ、登校前に20分程度の余裕を持つようにすれば大丈夫。
「朝の勉強しなさい」と言ってやらせればいい。
 
すでにはっちゃんは、8級受検した翌日から4年生の漢字練習を始めています。
もちろん下村式練習ノートで。
7級の試験は来年1/31にあるので、そこを目指して勉強しています。
最近は勉強に慣れてきて、漢字2文字を10分くらいで練習し終えてしまいます。
ちょっと余裕ができたので、朝学習に『10才までに覚えておきたいちょっと難しい1000のことば ジュニア版』
アーバン出版局¥1554-を追加しました。
この本も毎日4ページずつやるわけですが、そんなに難しい本でもないので5分もあれば4ページできちゃいます。
 
こんな調子で、1年間に2学年分ずつ勉強していって、5年生に進級するときまでに小学校の漢字全部を勉強し終えるようにしたいです。
なぜなら、子どもは10歳を過ぎる頃から急速に知能が発達します。
理屈が考えられるようになるのです。
そのとき、漢字の読み書きに不自由がなければ、思考の訓練に全力を注げます。
人間は一度にあれもこれもやることはできません。
一つのことに集中した方がいいし、そういう条件を整えておいた方がいい。
だから、基礎的な読み書きは10歳前後までに完了させておくのです。
 
漢字力は語彙力でもあります。
漢字は他の漢字と組み合わせてたくさんの言葉を作り出します。
漢字1文字覚えると、それに付随する言葉を10個ぐらい覚えられるのです。
すなわち語彙が増える。
語彙が増えれば、いろいろな本を読んで理解することができるし、自分の考えを的確に書いたり話したりできるようになります。
6年生くらいで、新書レベルの本が読めるようになるといいですねー。

2013年9月9日月曜日

旅の終わり

また若者(という年齢でもないような気がする)が「自分探し」に旅立っていった。
でもね、旅先に自分なんていないんだよ。

自分が自分でいられると感じるのは、自分の居場所が見つかった時
その居場所は自分で決めた場所じゃないんだ。
周りの人が「君はここにいていいよ」と言ってくれる場所。

ヒトの「自分」って実は周りの人、他人が決めてくれるもんなんだよ。

子どもの頃は父母や家族だね。
生まれたばかりの君を無条件で認めてくれた。
だから居場所があったんだ。

でも成長するに連れ、お父さんもお母さんもあれこれ言うようになったでしょ。
早く起きなさい、挨拶しなさい、お手伝いしなさい、学校に行きなさい、勉強しなさいって。
それはもう君が無条件では認められない年令になったってこと。
条件づきで認めるってこと。
条件をクリアするのならここにいていいよって。   

なぜお父さんもお母さんもだんだん口うるさくなるのか。
条件を厳しくしていくのか。
子どもはやがて大人になるから。
大人になって社会に出ていかなくちゃならないから。
そのときにも自分の居場所を見つけなくちゃならないから。
そのときに周りの人に認めてもらわなくちゃならないから。 

早く起きられなくて遅刻する奴、挨拶もろくにできない奴、ちっとも学ぼうとしない奴、気配りができない奴。
こんな人間を認めてくれる場所があるだろうか。

君がここに居づらくなったのは理解できる。
だって誰も君を認めてくれないんだもんね。
君を認めてくれる場所を探しに行ったほうがいい。  

旅に出るのもいい。
お金さえ持っていれば、旅先の人たちは程々に歓迎してくれるだろう。
短期間なら人は案外親切だしね。 

でも旅はいつかは終わりにしなくちゃならない。
そのときに、君が周りの人に認めてもらえる人間になっているかどうかだ。
誰かの役に立つ人間になっているかどうかだ。
人間の社会は「条件付き」だからね。 

じゃ、よい人生を! 

2013年9月2日月曜日

思考のための暗算練習

休日は,子どもたちに算数をちょこっと教えています。
学校で習うより、ちょい先の問題ですね。
子どもって、ちょっとでも知っていると,まるで全部知っているような気になるものです。
だから、学校で習うとき「あ、これぼく知ってる。ぼくならできる」って思えちゃうんですよ。
勉強ができるできないは、自分はできるんだって錯覚するところから始まるんです。
勉強ができない子は、頭が悪いんじゃないんです。
自分にはできない、って最初から思っているだけ。
 
さて、計算も最初は筆算で確実に計算する方法を教えますが、ある程度慣れたら暗算でもやらせます。
なぜなら思考力を鍛えるために、暗算は有効だからです。
 
思考は、脳の前頭前野に存在するワーキングメモリによってなされます。
ワーキングメモリに情報をストアし、それを演算することによって、人は思考しているのです。
ワーキングメモリの数は人によって多少異なるります、普通の成人は7つ程度、子どもは5つ程度と言われていいます。
一つの問題について、同時になるべくたくさんのワーキングメモリを使うほうが、広く深く思考ができるのです。
 
筆算での計算では、ワンステップずつノートに計算途中の結果を書いていきます。
だから脳への負荷は軽く、初学者には向いている方法です。
でも、ワンステップずつしか脳に情報をストアしないので、ワーキングメモリの使用数も少ない。
脳に負荷がかからない。
 
暗算は違います。
桁の多い足し算なら、くりあがりした数を覚えておかなければなりません。
掛け算ならもっと覚えておくべき数が増える。
すなわち、ワーキングメモリの使用数が多いのです。
これが脳を鍛えます。
思考の基礎訓練になるわけです。
 
ただし、ワーキングメモリの数は大人で7つ、子どもで5つ程度しかないことに注意しなければいけません。
その数を超えるストアを要求する計算は、原理的に暗算ではできないのです。
原理的にできないことを訓練するのはムダ。
そこは、子どもの発達状態をよく観察しながら、少しずつ負荷を増やしていく。
そして、大人並みになったのなら、もうそれ以上は要求しない。
そういう見極めも必要なんです。