2014年11月30日日曜日

義務教育って何?

はっちゃんの満10歳の誕生日に語ったこと、その2.
 
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はっちゃんは今小学校だけど、その上の学校は知ってる?
 
「中学、高校、大学」
 
そうだね。
その中で小学校と中学校は義務教育なんだけど、義務ってどういう意味だか知ってるかな。
 
「えーと、やらなくちゃいけないこと?」
 
そうそう。
じゃあ、義務教育の義務って誰が何をやらなくちゃならないんだろうね。
 
「大人が?。。。」
 
大人ってもっと具体的に誰のこと?
 
「うーん、社会というかみんなというかー」
 
実はね、義務教育の義務は親がしなくちゃいけないことなんだよ。
親が自分の子どもを学校に通わせる義務があるんだ。
それを法律で決めている。
 
それは、日本でも100年くらい昔まで、子どもは労働力、仕事をしなくちゃならなかった。
子どもも仕事をしないと、親も困ったんだね。
子どもを学校に通わせる余裕がなかったんだ。
世界には今でもそういう国もあるんだよ。
子どもは学校に行きたくても行けない。
 
でも、学校に行かないと勉強ができないよね。
新しいことを知ったり、何かができるようになったり、できなくなっちゃう。
それじゃ子どもも不幸だし、社会にとっても国にとっても発展しなくなっちゃう。
だから、子どもを学校に通わせなさい、という法律を作ったんだ。
少なくとも中学校までは親の義務としてね。
 
学校へ行って勉強するのは、親の義務だし、子どもの権利なんだ。
でね、子どもが中学校を卒業すると親の義務はお終いになる。
高校からは親の義務じゃない。
でも子どもには学校へ行く権利があるんだ。
権利って、その権利を使ってもいいし、使わなくてもいい。
はっちゃんが、高校にも行きたい、と言うならお父さんもお母さんも協力してあげる。
もし、はっちゃんが高校には行かなくてもいい、と言うならお父さんもお母さんも反対はしない。
どうぞ、どうぞ、と言うよ。
ただし、それならこの家から出て、仕事をして、一人でやっていきなさい。
 
実際、中学を卒業した子どものうち高校へ進学するのは98%くらい。
つまり、2%の子は進学しないんだよ。
進学しない子のうち、ごくごく少しの人、10万人に一人くらいの人は、もう高校なんか行かなくてもいい人もいる。
すごく頭がよくて、学校で習わなくても自分で勉強ができちゃう人。
自分のやりたいことがはっきりしていて、目標、目的に向かって生きていける人。
たとえば、将棋を指す人、棋士って言うんだけど、名人になった棋士にこういうことを言った人もいるよ。
「アニキは頭が悪いから東大に行かなくちゃいけなかった。おれは頭がいいから高校にも行かず棋士になった」って。
こういうすごい人なら、高校なんか行かなくたっていいんだよ。
 
でもそんな子はめったにいない。
高校に進学しない子のほとんどは、何らかの病気があって高校に行きたくても行けない子か、勉強が大嫌いで行かない子なんだ。
病気の子はかわいそうだけど仕方がない。
でも勉強が大嫌いで高校に行かない子はどうかな。
そういう子が社会に出てやっていけると思う?
 
「うーん、雇ってくれないんじゃないのかなあ」
 
そうだよね。
こういう子はだいたい、アルバイトみたいな仕事しかできないし、そのアルバイトも失敗してクビになったり、ちょっと嫌なことがあったら辞めちゃったりして、長続きしないことが多いんだ。
あんまりハッピーにはなれないとおれも思う。
それこそニートになっちゃう子も結構いるんだろう。
 
だからはっちゃんには高校に行ってもらいたいと思っている。
もちろん、はっちゃんがとんでもない才能を持っていて、やりたいことがはっきりしているなら、高校に行かなくてもいいけどね。
高校に行って、より難しい勉強をしっかりやるつもりなら、この家に住み続けていいし、学費も出してあげるし、お手伝いはしてもらうけどご飯も食べさせてあげるよ。
 

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