2010年6月29日火曜日

骨は複合材料


こんにちは

マンションなど大きな建物は「鉄筋コンクリート」で造られています。
鉄筋コンクリートは、鉄筋で骨組みを組んで、そこにコンクリートを流し込んで固めたものです。
コンクリートは硬くてどっしりしているので、建物の大きな重さを支えることができます。
つまり「圧縮力」に対して強い材料なのです。
ところがコンクリートは、引っ張られたり曲げられたりすることに非常に弱く、すぐひびが入ったり崩れたりしてしまいます。

そこで、内部に骨組みとして鉄筋を入れます。
鉄筋は金属ですから、引っ張って伸ばそうとしたり曲げようとしても、バネのように弾力があるため元に戻ろうとする性質があります。
鉄筋は「引っ張り力」に強い材料なのです。
その代わり鉄筋は圧縮するとグニャリと曲がってしまいます。

鉄筋コンクリートは、コンクリートが圧縮力に耐え、鉄筋が引っ張り力に耐えるようになっています。
材料お互いのよい性質を発揮し、弱点を補っているのです。
このような、性質の異なる材料を組み合わせてより良い材料としたものを<複合材料>といいます。
いくら太い柱でもコンクリートだけでもだめで、中にちゃんと鉄筋を適切な本数入れないと所定の機能を発揮することができません。
ですから、鉄筋をごまかして少なくしてしまうと、地震の時に揺らされて引っ張られたり曲げられたりしたとき、それに耐えられなくて瓦解してしまうので、大変危険なものになってしまいます。

私たちの体を支えている骨は、どんな材料から作られているか知っていますか?
カルシュウムから出来ていることを知っている人は多いと思いますが、それだけではありません。
実は、骨もまた複合材料なのです。
カルシュウム(硫酸カルシュウム)だけでなく、タンパク質の一種であるコラーゲンが網の目のようにカルシュウムを取り巻いています。

カルシュウムは硬くて丈夫なのですが、反面脆くて折れやすい。
骨がカルシュウムだけなら、しょっちゅう骨折しちゃいます。
その点、コラーゲンはぷるんぷるんしていて弾力に富んでいます。
骨に加わった多少の衝撃は、コラーゲンが吸収してしまいます。
つまり、カルシュウムはコンクリートのように、コラーゲンは鉄筋のように働きます。
そのため、骨はちょっとやそっとのことでは折れずに、私たちの体を支えてくれるのです。

フライドチキンを食べたときにでも、次の実験をしてみましょう。
(危ない薬品を使うので、学校の理科の先生と一緒にやること)。
鶏の足の骨を両手で持って、力を入れて折ろうとしてみてください。
簡単には折れませんよね。

その骨を水酸化ナトリウム溶液に漬けてみます。
タンパク質はアルカリに溶けやすい性質があります。
すると、カルシウムだけが残ります。
骨を両手で持って、力を入れて折ってみてください。
今度はポキンと簡単に折ることが出来るでしょう。
今度は骨を塩酸の中に漬けてみます。
カルシュウムは酸に溶けやすい性質があります。
骨を、塩酸の中に漬けておくとカルシュウムだけが溶けます。
すると、コラーゲンの網だけになった骨を取り出すことが出来ます。
ぷるぷるした弾力を確かめてみましょう。
コンクリートと鉄筋を組み合わせて圧縮にも引っぱりにも強いものを造った鉄筋コンクリートもすごい発明ですが、骨も素晴らしい発明ですね!

最後の骨の実験は『やさしくて本質的な理科実験』評論社に載っていたと記憶しています。


写真は和光研に建設中の脳センター新棟です。
今は構造躯体を立ち上げているところです。
鉄筋を組み上げているところを見るもの、楽しい!

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