2010年12月13日月曜日

終了時刻を決めよ!


こんにちは

先週は筑波キャンパスに建設中の細胞研究リソース棟の設計変更清算処理をしました。
我が社の研究棟工事においては、補正予算などで設計期間が短すぎるためと、施工が始まってからも研究計画がちょこっと変わったりするため、設計図通りに造るわけにはいかないのです。
間仕切りを変えたり、コンセントを増やしたり、空調温度が変わったり、そんなことばかり。
なので最終的に工事費の精算をしないといけない。
でも財源は一定ですから、その枠内でやりくりする。
こういう事務手間も必要なんです。

ぼくらエンジニアは、右手で技術を、左手でお金を握っている。
技術だけ素晴らしくても、コストに見合ったモノを造らないといけない。
逆にお金儲けだけで、技術が伴わないモノもダメ。
エンジニアというと技術ばかり言う人のように思っているかもしれませんが、そうじゃなくて、お金の算段もきちんとできる人が優秀なエンジニアなんです。

で、その設計変更清算処理もやるタイミングがあります。
研究者からのリクエストを締め切ったあと、施工図や製作仕様書をFIXさせたあとにやるのは当然。
でもあんまり工期末までダラダラやってはいけないんです。
最後の仕上げ工事が忙しくなる前にやる。
人間の能力には限界があります。
工事もしっかり監督し、同時に事務処理もやるなんて、無理です。
同時にやっても、どちらも中途半端になっちゃいます。
工事も最後の仕上げが一番大切です。
その時期はスタッフたちに工事に専念してもらいたいんです。
だから最後の仕上げ工事に入る前に、事務作業を終わらせておく。
清算処理が終わってお金のめどがついていれば、安心して最後の仕上げ工事に取り組めます。
お金のめどがついていないと、職人さんたちに支払う賃金もアバウトなものになりがち。
金額が確定しないで働かされる職人さんの気持ちになってみましょう。
いくらもらえるかわからないなら、なるべく損のないように、手を抜くのは当たり前。
金額がきちんと決まっていれば、その金額に見合った仕事をするのがプロ。
施工もきちんとしたものになります。
こうなれば美しく、完成後のトラブルも少ない工事を完成させることができるんです。
つまり「タイミング・イズ・マネー」なんですよ。

打ち合わせや作業など、手帳に日時を記載します。
その時に開始時刻しか書いていない人が多いようです。
ぼくは予定を立てるときに、必ず「終わりの時刻」も決めることにしています。
筑波での清算処理事務でも、始めるときに「今日は4時のバスに乗って帰ります」と宣言しました。
「なので、午前中に強電関係を終わらせましょう」とね。
終わりの時刻を決めることによって、何をいつまでに終わらせなければならないか、目標がはっきりします。

ついでに言うと、ぼくは「持ち帰り仕事」は絶対にしません。
現地で完了させてしまうようにしています。
現地で終わらないなら持ち帰って、自社、あるいは自宅で仕事するなんて人もいます。
これ、効率悪いですよー。
自社や自宅では終了時刻を決める必然性がなくなるので、どうしてもダラダラ仕事になりがち。
それに現地じゃないと分からないことがあっても、見たり調べたりすることもできない。
すると仕事の品質までも落ちてしまうのです。
ともかく現地でやるべき仕事は現地でやりきるのが大切。
出張先での仕事なら、帰る時刻も決まっています。
終わりの時刻を意識しやすいので、仕事も合理的、効率的にならざるを得ない。
現地なので現物もあるから、それを見ながら検討もできる。
なので仕事の品質もよくなるんです。

梅森浩一『超絶!シゴト術』マガジンハウス\1300-にこうありました。

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できるだけ予定していた会議や打ち合わせでは、「先へ先へと進める」ことを心がけたいものです。
つまり、「次回予定していた打ち合わせ分まで、今回やっちゃったね」という状況をつくることが肝心です。
言い換えれば、それはあなたの有能さのアピールとも言えます。
その結果の”ごほうび”として、あなたが「今週、再度予定していた打ち合わせを取りやめて、来週行うことになった」としても、誰もがそんな変更を歓迎しこそすれ嫌がる人はいません。
つまり、「なにもしない時間」とは「一生懸命先にやってしまうからこそ生まれる」ということを、ここでしっかりと理解しておきましょう。 (113p)
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終わりの時刻を決めないと、いつ終わるのかあいまいになってしまいます。
終わる時刻が不明確だから、予定も午前1件、午後1件くらいしか入れられません。
すると、だらだらと打ち合わせや作業をすることになりがちです。
また、極端に早く終わっちゃって手持ちぶさたになる。
あまりに早く終わってしまうと、ダラダラしちゃうのもかっこ悪いから、しなくてもいい仕事をしちゃったりしてね。

終わりの時刻を決めると、より一日はビシッとします。
その打ち合わせや作業の内容を事前によく吟味して、終わらせるに必要な時間を見積もります。
ある程度の余裕を持って、終わりの時刻を決めます。
終わりの時刻を決めて、その後まだ必要十分な時間があったなら、別件も予定に入れられます。

打ち合わせや作業を開始したら、常に終わりの時刻を意識してバリバリこなします。
時間を意識した仕事は、合理的にならざるを得ません。
ほぼ見込み通りの時刻に終わらせることができるようになります。

時々は、数十分余る。
これを自分へのご褒美にするんです。
だらだらやって長い時間が余ってしまうと、後ろめたさが先に行ってしまい、どうでもいい仕事を始めざるをえない。
ところが、バリバリ一生懸命やって余った時間なら、気兼ねなく自分のために使えます。
ゆっくりコーヒーを飲んでもいいし、気になっていたことを調べるのでもいい。
非常に心に余裕が生まれます。
自分だけじゃなく、スタッフみんなの時間を生み出します。
時間のゆとりは心のゆとりになり、いい仕事につながっていきます。

手帳には終了時刻も書き込む。
仕事を始めるときに、終了時刻を宣言する。
ぜひ一度、お試しあれ!


SPring-8もすっかり冬の空になっていました。

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