2015年1月5日月曜日

稼働率は0.6

計算科学研究機構「スパコン京」での単身赴任中、オペレーションリサーチなど
応用数学の勉強もしました。
「待ち行列」という応用数学も勉強しました。
たとえばネットワーク、インターネットなどの平均待ち時間を計算して、快適に
使える条件を検討するための数学。
この数学はいろんな現実問題にも適用できます。

みなさんの部署に仕事が遅くて、そいつがボトルネックとなって仕事の流れが
滞っている、って問題はありませんか。
これも「待ち行列理論」で解決法が分かります。

待ち行列理論によると、稼働率によって平均待ち時間が決まる、のです。
稼働率とは、実際の仕事量÷最大仕事量です。
単位時間に最大10の仕事ができる人が、実際に8の仕事をしていたら、稼働率
は0.8となります。
経営者や上司であれば、つい従業員や部下にいつも最大仕事量で仕事をさせたく
なります。
稼働率が0.8だったら、残りの0.2も仕事をさせたくなります。
または勤勉な人だったら、自分の稼働率が0.8だったらなんとなく罪悪感を覚
えたりしちゃいます。
それで、空いた時間にやらなくてもいい仕事をしてしまったりして、自ら忙しく
してしまう。
それがダメなんです。

待ち行列理論によると、平均待ち時間は稼働率の函数として表されます。

 平均待ち時間∝稼働率÷(1-稼働率)

なのです。
ひとつの仕事を処理するのに1時間かかるとします。
稼働率が0.8の人を計算すると、なんと平均待ち時間は4時間にもなります。
稼働率を0.6に下げると、平均待ち時間は1.5時間となり、ぐんと短くなります。
稼働率を0.4にさげれば0.67時間となり、事実上待ち時間がなくなります。
逆に稼働率を1とすると、待ち時間は無限大になってしまいます。
平均待ち時間の式を見て分かるとおり、稼働率が高くなると急激に待ち時間が長
くなるのです。

どうしてこういうことになるのでしょうか。
それはインターネットの情報の流れを考えると分かります。
ネットでの情報は、常に一定ではありません。
一度にたくさんやってきたり、すごく空いていたり、むらがあります。
もともと隙間時間がある構造なんですね。

現実の仕事も同じです。
毎時一定の仕事がやってくるなど、ベルトコンベアのようなことはありません。
どかんとたくさんやってきたり、それほど来なかったり。

こういう仕事を処理するには、一度にたくさんやってきたときに、適度な待ち時
間で処理する必要があるのです。
そのためには、稼働率を低く保っておく。
それにより、ドバッと仕事が来たときに、余裕を持って処理ができる。

だから、従業員、部下の稼働率をあまり高くしてはいけないのです。
稼働率を上げすぎてるから、ボトルネックが発生し、仕事が滞ってしまうのです。
真面目で勤勉な人も、自分の稼働率を上げすぎないように注意しなければいけま
せん。
がんばりすぎることが、反って組織の効率を下げることだってある。
適度ながんばりってのが大事なんです。

がんばりすぎると時間にも心にも余裕がなくなります。
余裕がなくなると優しさも失われてしまいます。
仕事を家庭に持ち込む人は、たいてい家族に八つ当たりしたりしますしね。
あーかっこわるい。

というわけで、ぼくは今年も稼働率0.6でいきまーす!
今年もよろしく!


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