2010年8月8日日曜日

人生を強くする


こんにちは

先月末に労働組合の引き継ぎ大会が開催され、2期に渡って務めてきた執行委員長を次の方へと引き継ぐことができました。
正直言ってホッとしました。
頑張りすぎずラクしすぎずをモットーに、ぼくのできる範囲でベストエフォートで続けてきた仕事ですが、それなりに苦労もありましたから、退任してずいぶんと気が楽になりましたよ。
でも苦労だけじゃなくて、やらなかったらできなかった経験もでき、職場の中のいろいろな問題、いろいろな立場の人たちのことも知ることができ、視野も広がりました。
役員の方とも議論することもでき、おしゃべりもより上手くなった気がしています。あははは。
やってよかったですね。

委員長を退任するに当たって、ある提案を大会で諮ってみました。
ぼくは、仕事というものは「未来へのギフトである」と思っています。
今目の前にある仕事を片付けるだけじゃなく、ぼくの仕事を受け取る人がラクチンになるようなこと。
未来の人には、未来の自分自身も含まれます。
「この仕事のおかげで助かった」と思ってもらうような仕事が、本当の仕事だと思うんです。

新たな提案をするにしても、やっぱり信用、信頼は必要です。
実績と言ってもいいですね。
そういうものもないのに、何か提案したって通るわけはありません。
多くの人に「あ、この人の言うことなら賛成してみようか」と思ってもらわなくちゃ。
ぼくは労組委員長としての1年半の実績に、それなりに自負を持っています。
かなりの数の組合員の人たちにも、それを認めてもらっているという感触もありました。
未来へのギフトをしたかったんですよ。

実は委員長を仰せつかる前から考えていたことなんです。
でも委員長になったばかりで提案したって通るわけはないですよね。
なので現行の制度の中で地道にやってきたつもりです。

話を戻して、ぼくの提案はこんなのでした。
それは、任期制職員の方の組合費を定額、500円ワンコインにする、というもの。
別にふざけているわけではありません。
世の中を見渡してみると、不安定で弱い立場の人ほど仲間と集う場が少ない、団結することができないように思えるのです。
不利益を受けても、自分一人で解決するしかない。
自分一人で解決できることなんてめったにありませんし、普通の人の法的知識にも限界がありますし、もちろん個人で弁護士さんなどに相談するにもお金がかかりますから、結局は泣き寝入りするしかないのです。
そういう人たちの集う場としての労組の役割もあるんだと思ったのです。

労組は憲法で認められた労働三権を行使する実体です。
組合員であるだけで、法的にずいぶんと守られるのです。
労働法も、そもそもは弱い立場である労働者を守るために立法されたものです。
もちろん不利益を受けたときだけじゃなく、労組はひとつのコミュニティにとしても機能しますから、職場は離れていても同じような立場の人同士が交流する場にもなる。
普段から交流しているから、いざというときに団結もできるわけです。
弱い立場である任期制職員の人たちが集える場にしていかなくちゃいけないと、ぼくは思ったのです。
今の労組に欠けていることは、弱い立場の人たちが集いにくい、ということだと強く感じていたのです。
それを改善したかった。

労組に加入しようと思っても、組合費がいくらなのかわからないと不安です。
組合費と言えども、負担が大きければ入れません。
特に任期制の人には、賃金が低く抑えられている職種も多いですから。
コストに見合ったメリットがないとダメなんです。
そこで500円、ワンコインという提案にしたのです。
定額なのでわかりやすい、500円だからたとえ直接的なメリットがなくても加入してもいいと思える。
いやいや、直接的なメリットだってありますよ。
組合員だというだけで、「信用」も大きくなるんです。
サラリーマンの世の中での信用は、多くは勤続年数を担保にしています。
勤続年数が長いと、その人を信用するような仕組みになっている。
クレジットカードの発行、ローンを組む、保険に入る、アパートを借りるe.t.c.
みんな勤続年数で計られちゃう。
任期制の人は当然ながら勤務年数は少ないですから、不利な条件になります。
労組組合員になればそれだけで世間的な信用が与えられ、労働金庫や全労済などで低利のローンを組んだり、安い保険に入ることができる。
組合費500円以上のメリットを即得ることができるんです。

こういう提案をするというので、大会にはこれまでになく多くの人が参加してくれました。
大会での議論も活発になされました。
いつもの「この提案に対してご意見ありませんか」「特にありません」シャンシャンではありません。
ワクワクしましたよ。
当然、反対意見もたくさん出ましたよ。
それに対して意を尽くしてぼくも説明しました。
最初は懐疑的だった雰囲気も、徐々に理解してもらえた、理解はできなくても実験的にやってみてもいいんじゃないか、といった方向へと進んでいきました。

そして採決です。
議長が「賛成の人は挙手をお願いします」と言いました。
たくさんの手が挙がりました。
続けて「反対の人は挙手願います」と議長。
数人だけが挙手。
そして「保留の方挙手をお願いします」。
これも数人。
「やったー!成立だー」と思いました。
ところが、議長はこう宣言しました。
「保留が大多数となったため、本義案は保留とします」
ええええ~~~~??

なぜかと言えば、大会に出席できない人は委任状を提出しています。
委任状はほとんどが「議事は大会議長に委任する」となっています。
で、大会議長は保留に投票したのです。
なので、委任状分の人数が大会議長と同じく保留であるということになってしまったのです。
保留は実質的に否決と同じです。
ありゃー、残念。。。

今村暁『子供の成績を決める習慣教育』PHP文庫¥533-から引用します。

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子どもが本当に学力を高めて成長するためには、私が「キムタガ」と呼ぶ「気にする」「無理する」「対立を恐れない」「我慢する」の四つの習慣が必要だと考えています。
この言葉は東川鷹年先生という私の恩師から教わりました。(146p)
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「キムタガ」は子どもだけじゃなく、大人の人生も強くしてくれますね。
いろいろなことを気にして、何か改善できることはないかと、常に探し回る。
改善するために、自分のできる範囲でちょっと無理してみる。
何かを変えるのですから、当然対立も起こる。
でもそれを恐れていては現状を変えることなんかできません。
とは言え、やれば必ずできるものでもない。
むしろうまくいかない場合の方が多いでしょう。
そういうときは我慢するしかない。
我慢はするけど諦めない。
次のチャンスをねらうんです。

ワンコイン組合費は今回は残念ながら実現できませんでした。
まだまだぼくの実績と信用が足らなかったということだと思います。
でもまたチャンスはあるでしょう。
その時まで、地道にコツコツとやっていこうと思います。
委員長は退任しましたが、今度は科学技術系研究所の労組を束ねる科学技術産業労働協議会という組織の副議長を仰せつかりました。
任期は2年。
この仕事をやることによって、他の研究所の状況もわかってくるでしょう。
それを活かして、また挑戦したいなーと思っています。


姫路で開催された加速器学会に参加してきました。
楽しい、楽しい!

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