2012年1月18日水曜日

モチベーションがミスを防ぐ


こんにちは

ぼくは自動制御が嫌いです。
ぼくの造ってきた設備にももちろん自動制御を組み入れてあります。
でも自動制御装置だけですべての制御ができるようにはしないようにしてきたんです。
必ずマニュアル操作も組み入れ、設備を運転する技術者が状況に合わせてあれこれいじれるようにしています。

なぜなら、二つの理由があるからです。
一つは自動制御と言っても万能ではないこと。
制御範囲が決まっていて、その範囲ならうまく制御できますが、範囲を超えると対応できないのです。
そこは人間が判断しなければならないのです。
設備の起動・停止の判断をしたり、設定値の変更をしてやる必要があります。

もう一つは、自動制御に頼った設備では運転技術者の技量も上がらないこと。
判断するためには技術が必要です。
技術を習得するためには、実際に自分で操作して、その結果を観察する事が必要です。
上手くいかない時もあるでしょうし、失敗もするでしょう。
上手くやる、失敗しないようにするにはどうやればいいか、考えるようになります。
マニュアルをよく読み、設備のことを深く知ろうとするはずです。
そうした経験が、自動制御の適用範囲を超えた状態のとき、臨機応変に適切な操作ができるようになる下地を作ります。

技量の低い技術者ほど、自動制御に頼ります。
自分では何もできないからね。
で、なにか不具合があると設備のせいにします。
あるいはその設備を造った人のせいにします。
何事もそうですが、他人のせいにしている人の技量は上がりません。
技量が上がらなければ、他人からの評価も上がりません。
当然やる気も起きません。

松波晴人『ビジネスマンのための「行動観察」入門』講談社現代新書\760-にこうありました。

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私達は既に過去の調査において、この種のミスの背景にはどういう原因があるのかを調査していた。
その結果によると、こういった「作業工程飛ばし」のミスが起こる原因として、その現場の「モチベーション」と「安全文化」に課題があることがわかっていた。
たとえば、鉄道会社が実施した調査においても、モチベーションと事故の発生率には逆の相関があることがわかっている。
これらのミスを防ぐためには現場の人たちのモチベーションを上げる必要がある。
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モチベーション=やる気です。
やる気のない現場では事故が多発します。
それは、技量が低い人ばかりがいるからです。
他人のせいにする人ばかりがいるからです。
それは現場技術者の裁量が狭いことに起因しているとぼくは思っています。

いじれる=裁量を発揮できることです。
だからぼくは、いじれる設備を造るんです。
現場技術者に状況に合わせていじり、操作し、その結果を引き受けてもらう。

人間誰しも上手く行くようにしたいわけです。
上手く行くこと、すなわち改善です。
自分がやったことが改善につながれば嬉しくなります。
回りからの評価も上がるはずです。
仕事が楽しくなるのは当然ですよね。

楽しければモチベーション、やる気もupし、さらに改善できないかとあれこれ考え、学び、行動するようになります。
自分の技量が上がったことが実感でき、仕事が楽しく好きになる。

改善を積み重ね、腕も上がれば自尊心も生まれます。
自尊心とは、自分は他に替えのない人間であることです。
自分を大切にする人は、めったなことはやらないものです。
それがミスを防ぎ、事故の発生を抑え、安全も担保することにもつながるんだと思うのです。

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