2013年3月13日水曜日

アメリカ一流校の入試戦略


東京大学が推薦入試を導入するというニュースが。
多様な能力を持つ学生を集めるためとか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130312-00000172-jij-soci

今、国立大のうち推薦入試をしていないのは、東大、京大、東京芸大だけらしい。
東大が推薦入試を導入する理由が、他大学もやっているから、だったら嫌だなあ。
他大学で、推薦入学した学生がよく伸びているという実績があるならいいんだけどね。
寡聞にしてそういう話は聞かない。

アメリカの一流校、MITとかハーバードとかにも推薦入試がある。
アメリカの一流校は多様な学生を集めているのは確か。
でもね、いつだったかMITが学力だけで学生を入学させたら、大学の経営が厳しくなったそうだよ。

優秀な学生は、奨学金をもらったり、学費免除を受けたり、RA(リサーチアシスタント)やTA(ティーチングアシスタント)に採用されて給料までももらえたり。
大学側としては出費ばかりになっちゃうのね。

つまりだね、アメリカの大学が推薦入試をやるのは、多様な学生を集めるためなのはたしかなんだけど、その多様の意味は「高額の学費を払ってくれる学生、寄付をたくさんくれる学生」も入れる、ってことなんだと思う。
MITの学費はたしか年額600万円くらいだったと思う。
そんなにとびきりアタマはよくなくても、学費を支払い、寄付もしてくれるええとこのお坊ちゃん、お嬢さん。
こういう学生も入れなくちゃならないんだ。

ぼくの邪推だけど、アメリカの一流校がこういう戦略を持って入学者を集めているのは、「人脈作り」なんだと思う。
ビジネスに必要なのは、とびっきり頭のいい人材と資金。
その両方を持つ人なんかめったにいない。たいていはどっちか一つだけ。
頭のいい人材と資金を持つ人を結びつける。
それも大学の役目だって考えているんだと思う。

そういう卒業生が成功すれば、大学への寄付金も増えるだろう。
お金があればいい教授も雇える。
いい研究ができる。
名が上がる。
さらにいい学生がさらに集まる。
こういうポジティブフィードバックが活きるんだね。

こんな仕組みができるのは、アメリカの一流校はほとんど「私立大学」だから。
大学のブランド価値を高めるために、頭の良い学生だけでは経営が成り立たない、というのが分かっているから。

さて、東大はどうなる?
東大は国立大学だ(今は国立大学法人だけど、実態はそんなに変わっていない)。
研究費も教育費も、ほぼ国税から出ている。
研究費や教育費を、学生に学費として負担させず、国費でまかなう。
その代わり、とびっきり頭のいい学生を集めてきた。
貧乏だろうと裕福だろうと、頭の良さだけで選抜してきたのだ。

その戦略を、推薦入試は変えてしまう。
頭も悪く、お金も無い学生を入学させてしまわないよう願う。
学業が期待できない学生を、国費で教育(養育?)することがないように。

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