2011年1月17日月曜日

終わりよければすべてよし


こんにちは

年度末完成の研究棟の清算処理がほぼ完了しました。
みんな年度末に完成するので、同時期に集中してしまいましたので、終わってホッとしましたよ。
研究棟の建設工事はなかなか設計図通りには造れないのです。
ひとつには建設中にも研究者の意見を聞くからです。
研究者だってこの建物で自分たちがやる研究がだんだん具体化してくるからね。
そういう意見も聞いておきたい。
完成してから使う人が過不足なく使えるものを造りたい。
そういう思いがあるので、工期とコストの範囲ではあるけれども意見を聞いて設計を変更する。

もう一つはどうしても設計図通りには造れないからです。
現実に設計図を施工図に描き直してみたり、具体的な部材を決めたりすると、設計図通りには造れないこともあるんです。
こういうとき、無理に設計図通りに造ろうとすると失敗しますよ。
現場での納まりや機能に支障が出る。
やっぱり「現実こそすべて」なんですから、いいものを造ろうと思ったら設計を変える勇気も必要なんです。
なので最後は工事費の清算処理が必ず必要になる。

ぼくはこういう清算事務を工事期間が2/3くらい経った頃にやることにしています。
残り1/3くらいになった時期ですね。
この時期だと、研究者からの要望は全部聞け、使う部材も確定し、施工図も書き上がっています。
つまり、工事全体がほぼすべて確定した時期なんですね。
この時期に1ヶ月くらいかけて集中してやりきってしまう。
すると残り1/3の工期に余裕が出るんですよ。
余裕が出ると、最後の仕上げを上手く造ることができるんです。
まずはお金の精算が終わっているので、最後の仕上げにかけられる予算が明確になります。
お金があるのかないのか分からない状態は不安ですよね。
たとえお金が足りなくても、ないならないなりにやりくり算段ができる。
そして最後の期間、仕上げに集中する時間的余裕もできる。
いい仕事を残す条件がそろうんです。

ぼくもエンジニアとして20年近く生きてきました。
エンジニアマインドとは「役に立つ」ってことだと以前書きました。
もう一つ付け加えるなら、

 結果こそすべて

なんです。
すべてのことはいい結果を得るために必要なのです。
いい結果を得られないエンジニアは、いくら知識があって技能が優秀だとしても失格なんですよ。
当然ながら、志が高くてもダメ。
結果が得られてこそ、志も知識も技能も活かされたということになるからです。
もちろん、志も知識も技能もエンジニアの「必要条件」です。
これなしにいい仕事はできませんよ。
でも「十分条件」じゃないんです。
よい結果が出て初めて「十分条件」となることができる。

森信三『人生二度なし』致知出版¥1600-にこうありました。

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結果こそ現実であって、願望や意図だけでは、いかにそれが真摯かつ熱烈であろうとも、結局はたんなる主観的観念に過ぎない(56p)
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つまり、終わりよければすべてよし、なんですよ。
コンセプト=概念、理想です。願望、意図と言ってもいい。
理想を思い描くことは大切ですが、それだけでは絵に描いた餅にすぎません。
理想を現実化していくために努力していき、考え、工夫し、結果を出すことが大切なんだと思っています。
どんなに理想が高く、正しくとも、よい結果が出ないのならそれは「主観的観念」に過ぎないのです。
どんなにプロセスが正しくとも、よい結果を導けないのなら、それは「技術」ではないのです。
結果とは何か。
多くの人と一緒に喜び、共に楽しさや感動を共有できることだと、ぼくは思います。
今取り組んでいる工事も最後の仕上げを充実させ、よい結果で完成させたいと思います。

写真は神戸に建設中の幹細胞研究棟。
だんだん仕上がってきて嬉しい、嬉しい。

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