2011年7月21日木曜日

キャリア官僚の採用試験


こんにちは

空調学会から連絡がありました。
9月の全国大会の全体会で、学会賞を受賞したSACLAについて講演してほしいって。
おお!嬉しいですねー。光栄です!
がんばろっと。

ぼくの今の夢は、今の職場を卒業するまでに学位「博士号」を取ること。
以前は教育学で博士を取ろうと思っていましたが、いろいろ調べてみると非常にハードルが高い。
ぼくの理科教育での大先輩も学位を得ようとしばらく大学に通っていましたが、果たせないでいるようです。
教育学だけでなく、文系の学位は取るのが大変のようです。
エジプトピラミッド探検で有名な考古学者吉村作治さんも、考古学(文学部に所属)ではなく、工学博士です。
吉村さんは考古学博士号も持ってはいますが、ジョークでディプロミル(お金で買える学位)だそうです。

で、狙いはやっぱり工学での博士号です。
これならなんとか取れそうな気がしています。
今のぼくの直属の上司は工学博士で、大学の特任教授も兼務しています。
非常なる変わり者ですが、とても楽しげにあちこち飛び回っています。
上司から学位をどうやって取ったのかを教えてもらいました。
仕事をしながら博士課程に入学し、土日はフルに大学に通い、3年間で学位を取ってしまったとのこと。
すごいですねー、さすが我が上司、変わり者面目躍如!
身近にロールモデルとなる人がいるってのも心強いです。アドバイスもらえますしね。
ぼくもやれそうな気がしてきましたよー。

学位を取るには、大学院に入学して取る方法と、論文を学位授与機構に提出して取る方法とがあります。
社会人はこれまで論文で取る論文博士が一般的でした。
でも最近は論文博士のハードルが高くなっていて、一筋縄では難しいようなんです。
論文博士でもちゃんと指導してくれる大学の先生を見つけて取り組まないと無理なようです。
大学院に入学して取る課程博士の方が一般的だし、学位を取るまでの年限もある程度はっきりしている。

ぼくは工学系の教育を受けていないので、修士から始めなくちゃならないかなと思いました。
webで調べてみると、工学系博士課程の入学資格に「修士同等の能力を持つ者」とあり、その例として特許取得、学会発表、学会誌に主著者として論文掲載などがありました。
これならぼくも直接博士課程に入学できそうです。
ここ数年、電気設備学会、空調学会、加速器学会で研究発表してきましたし、いくつかの賞もいただいていますし、資格十分でしょ!
ますますやれそうな気がしてきましたよー。
何事も、やれると思ったらできる、無理だと思ったら無理なんです。

ところで、スパコンやXFELの仕事をするようになってから、キャリア官僚の人たちと仕事をする機会が多くなりました。
旧科学技術庁系の官僚の人たちですね。
この方たち、理学系や工学系の修士卒がとても多いんです。
どうしてなのかなーって思って、調べてみました。

キャリア官僚の採用は、人事院の実施するⅠ種国家公務員試験によります。
国家公務員採用試験は、試験に受かっても即採用ではありません。
人事院は合格者を、登録名簿に載せるだけなんです。
名簿に登録されてから、各人が行きたい省庁を訪問し、面談したりしていく。
各省庁も名簿からめぼしい人材を見つけて、採用していく。

で、Ⅰ種公務員試験の名簿登録の期間は3年間なんです。
国家公務員試験に合格すれば、3年間はその合格実績がキープされるんですね。
で、修士卒の官僚はほぼこの制度を利用しているそうなんです。

大学院は当然ながら研究者を養成する場所です。
でも大学院修士課程に入学する大学4年生の段階で、自分が研究者に向いているかどうかははっきりしていない。
自分が研究者に向いているかどうかは、修士課程でがむしゃらに研究をしてみて初めて分かってくるものです。
でも修士課程はたったの2年間。
もし研究者に向いていないとしたら就職しないとなりませんが、就職活動する時間が必要です。
就職活動なんかしていたら、2年間のうち1年間は研究に没頭できなくなります。
すると自分が研究者に向いているかどうか、はっきりわからなくなってしまうのです。

修士課程2年間、がむしゃらに研究に専念するにはどうしたらいいでしょうか。
学部4年生の時にⅠ種公務員試験に合格しておく。
そして修士課程2年間、採用を保留してもらうよう申請しておくのです。
こうして2年間研究に没頭できる条件を整えるんですね。
2年間やるだけやって、研究者としてやっていけそうだと思えたら、登録名簿から抹消してもらい、博士課程に進めばいい。
無理そうだったら、公務員になればいい。

なかなかいい制度ですよね。
たとえ研究者に向いていない人でも、2年間研究に集中した経験を持つ人材なら、役人としても能力を発揮できる可能性が高いです。
採用する側、採用される側、双方にとってメリットのある制度だと思います。

実はぼくも大学生の時、研究者になろうかどうか迷った時期があります。
当時の指導教官にも「関口君は研究者に向いているかもよ」と言っていただいたこともありました。
でも踏ん切れなかったんですよ。
ぼくは教員養成系大学に通っていたので、国家公務員になる級友、先輩もおらず、こういう情報がなかったんです。
そのとき、この公務員試験の制度を知っていたら、人生違っていたかもしれません。
まーもっとも、Ⅰ種公務員試験に合格できるかどうか定かではなかったわけですがねー。

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