2013年2月1日金曜日

性格のつくられ方

行動遺伝学での双子研究によると、性格形成は遺伝が約半分、残りが環境によって形成される。
だが、性格形成に家庭(子育て)はほとんど影響を及ぼしていないのだそうだ。
性格は子育てではなく、家庭以外の環境で決まるという。
家庭以外の環境とは、具体的は学校などでの友だち関係のことだ。

実は、性格は社会的集団の中での「ポジション取り」なのである。
キャラクター的役割分担、といってもよい。
たとえばお笑いキャラは クラスに数人いればよい。
自分はお笑いキャラになりたくても、誰かが先にお笑いキャラポジションを取ってしまったら、もう空席はないのだ。
別のキャラに収まるか、そいつよりおもろいことをやり続け、クラスのみんなにそれを認めてもらうしかない。

つまり、性格は一定の集団内で、自分が演じたい役割を、その集団が認めることによって固定される。
あるいは、その集団がある者に役割を割り当て、それを当人が受任することによって固定される。

よく、子どもが家で見せる姿と、学校での振る舞いが大きく違うことにびっくりする親がいる。
それは、学校では学校での役割がその子に割り当てられているからである。
性格のことをパーソナリティと言うが、パーソナリティとは「仮面」が語源である。
性格とは、ある集団の中で仮面をかぶって役割を演じることなのである。

だから、ある集団でいったん割り当てられたキャラは、自分ではなかなか変えることができない。
性格は集団の力学関係で決まってしまうからだ。
自分が変えようと努力しても、周りのみんながそれを認めなければ変えられないのだ。

キャラを割り当てられると、そのキャラを演じなければならない。
そういう「義務」が発生するのだ。
お笑いキャラポジションを得た者は、皆を笑わせる義務が発生する。
周りの集団が、それを期待するからだ。
笑わせられないと、お笑いキャラから退席しなければならない。
だからいつもおもろいことを考え、そのタイミングを見るようになる。
そしてお笑いの技術を磨く。

こうやって、性格は集団の中で与えられ、磨かれることによって、個人の中に定着していく。
すると他の集団に移っても、たとえばクラス替えしても、強化された性格はそこでも発揮することができる。
他の集団でもすぐに自分のポジションを見つけ、安定させることができるのだ。

だから、進学したりして全員が新しい集団に入ったときなどは、キャラの争奪戦が行われるのだ。
それぞれの子のキャラ分担がはっきりしたとき、クラスは落ち着く。

だから自分の得たいキャラを得られるかどうかが重要なのだ。
ぼやぼやしていると、損な役割を与えられてしまう。
それが「いじめられキャラ」である。

もちろん、自らすすんでいじめられようと思う子はいないだろう。
だが、クラスの集団がいじめられる対象を欲しており、その子に割り当てる。
もちろん拒んでもいいのだが、たいていは拒みきれない。
結局、いじめられキャラを受任してしまうことになる。

周りが決め、本人が認める。
役割が固定する。
そうなると、周りもいじめることが当然になり、本人もそこから逃げられなくなるのだ。
だってそれがクラス内での『役割』なのだから。
いじめがエスカレートする原理はこれなのである。

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