2013年2月21日木曜日

ブラック企業という発明


ぼくもナンチャッテですが管理職になり、スタッフの労務管理もする立場になりました。
いろいろと気づくことがあり、大変面白い。
何事も「実務」に就いて経験してみることですね。

ぼくも管理監督者になったんで、スタッフたちに極力残業をさせないように気をつけています。
そのために労働法の原則通り、残業させる場合はぼくが命令する、ことにしています。
けっこうみんな勝手に残業しちゃうんですよ。
それがサービス残業につながってしまう。

必要なら残業せざるを得ないのですが、ぼくもスタッフも自覚的でありたい。
もちろんぼくもスタッフたちのすべての仕事を把握しているわけじゃありませんし、それも難しい。
だから、残業するときはあらかじめスタッフから「残業します」と申告してもらい、もちろん必要性を検討してからですが、ぼくからちゃんと残業命令することにしています。
であれば、当然ですが堂々と残業代を請求できます。

こういうシステムにしたら、ほぼ残業はなくなり、定時に終わるようになってしまいました。
よかった、よかった。

さてさて、なぜ世の中にサービス残業が横行するのか、その原理が分かってきました。
理由は単純。

 労働者の生産性が低いから

これです。
もうちょっと正確に言うと、給料に比して生産性が低い、のです。
その分をカバーしなくてはならないから、残業せざるを得ない。

ノルマ>能力の場合、それを解消するには2つの選択肢しかありません。
能力を向上させるか、労働時間を伸ばす。
前者はすぐにはできませんから、後者を選択せざるを得ないのです。

残業はそもそも法令では、管理監督者の命令によって行うものです。
だから労働者が勝手に残業してはいけないのですよ、本来は。
ところが、サービス残業する人は往々にして、管理監督者に命じられることなく自主的(?)に残業しています。
なぜか。

それは、自分でも自分が生産性が低いことを(うすうすでも)認識しており、それをカバーしたい、あるいはごまかしたいという意識が働いているんですね。
ちゃんと給料分働いていますよ、とアピールしたいわけです。
だって、定時まででは終わらないんだもん。
ノルマをこなすために残業してでもやる。
そうやって、自分の能力が低いことが明らかになることを防いでいるんです。

さらに管理監督者側も、そいつの生産性が低いことを認識しており、勝手に残業することを黙認する。
そうしないと自分の部署の仕事が終わらず、自らの首を絞めてしまいかねないからね。

これってかなり不幸なシステムだと思いますよ。
だからサービス残業を防ぐには、それをしなくてよいくらい自らの能力を引き上げるか、現在の自分の能力に見合った仕事量に抑え、その代わり給料を引き下げるかしかない。
どちらも一朝一夕にはできず、むずかしいことです。

このことを逆手にとったのが「ブラック企業」。
ブラック企業は相場よりもちょいと高給で求人します。
買い手市場の現在、高給に釣られアホなやつらがどんどんやってきます。
きちんと理性が働いて、自分の現在の能力を把握している人なら、応募なんてしませんよ。
自らの能力に無頓着で、給料と職能が関連したものだと露も思わないような奴らが、ただただ高給に目がくらんでやってくるのです。

日本の労働法は解雇規制が厳しいので、まともな会社はなかなか正社員を採用しようとしません。
どこの馬の骨とも分からないような若者を、いきなり正社員にはしないのが当たり前の世の中になってしまいました。
派遣、契約社員ばかりです。

ところがブラック企業は、最初から正社員として雇用します。
正社員として採用された若者は、正社員としてのポジションを守りたい、というインセンティブを持ちます。
多少大変でも正社員なんだからがんばろう、と思うわけです。

そこでブラック企業はその正社員にとんでもないノルマを課します。
人間、がんばればできるもんです。
サービス残業、休日出勤いとわず、正社員となった若者はバリバリ働きます。
そして理不尽なノルマを達成させてしまうのです。

ただし、そのがんばりはいつまでも続けられるわけじゃありません。
1年ないし2年、いくら体力のある若者でも疲れ果ててしまいます。
肉体的にも精神的にも追い詰められ、自主的に辞めていく。
日本の労働法は自主的に辞めることに対しては何の規制もありません。
ブラック企業としては、もう十分稼いでもらったから、辞めてくれてありがとうなんです。
また募集をかければ、健康で元気でアホな若者がどんどんやってくるんですから。

ブラック企業、誰が考えたんでしょうねー。
ビジネスモデル特許取れるかも??

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