こんにちは
先日、筑波大付属盲学校の先生である間々田さんと晩飯を一緒に食べました。
理科教育仲間です。
間々田さんはぼくより5才年上です(年上だからってメシもおごってもらっちゃいました。さんきゅー)。
大学院卒後ずっと付属盲学校に勤務しているといいますから、25年くらい勤務してるってことでしょうか。
付属盲学校へは、全国からいい教育を受けたい優秀な生徒さんたちが集まってきます。
もちろん各県にも盲学校はあるんです。
でも、いい教育を受けるには筑波大付属じゃないとだめなんだって。
なぜなら、各県の盲学校の先生には異動があるのです。
先生たちの希望も考慮に入れてはくれるそうですが、ある年限がきたら異動せざるを得ない。
そして、異動して普通の学校の先生に戻ってしまうのだそうです。
そして反対に、盲教育の専門性の少ない先生、時には盲教育に興味のない先生までも、異動によって普通の学校から盲学校へと配置されてしまう。
それに対して、筑波大付属は異動がない。
希望しなければ、ずっと付属盲学校の先生として勤務することになるのです。
間々田さんは言いました。
点字を覚えるくらいなら1年か2年でできる。
でも、全盲の生徒が分かりやすい点字を書けるようになるには10年かかる。
そして、いい教材を開発できるようになるには15年はかかる。
数年で異動してしまうということは、専門性を身につける前に異動しちゃうってことです。
各県の盲学校は、だからいい先生が育たず、いい教育ができないのです。
筑波大付属盲学校の先生には異動がありません。
それは、しんどいことでもある。
逃げ道がないからです。
そのしんどい中で、10年から15年精進を続けて、プロになっていくわけなんです。
だから、いい先生になれ、いい教育ができるってことなんです。
技術者も同じだな、とストンと腑に落ちました。
ぼくも、プロになるには10年から15年はひとつの仕事に精進しなければならないと思っています。
10年から15年、意図的に経験を積み上げ、経験を下支えする理論、知識を身につけていく。
そうやって自らをプロに育てていくものだと思い、実践してきました。
どんな仕事でも同じなんだと思います。
10年から15年はひとつ事に打ち込む。
その間はえり好みしないで、どんな仕事にでも積極的に関わっていく。
そうしないとプロにはなれない。
普通の役所や会社は数年ごとに異動があります。
それではプロは育たないということになります。
確かに、15年を過ぎて40才くらいになっても、とてもプロらしい仕事をする人はめったにいませんよね。
なので、専門家としてのプロを育てるには、あまりよいシステムではないと思います。
でもその中でも、プロらしい仕事をする人だっています。
どこが違うのでしょうか。
それはたとえ異動してまったく違う分野の部署に配属されたとしても、仕事の原理を意識している。
種々雑多な仕事の中に共通する原理があるんですよね。
それを抽出できるかどうか。
それができる人が、ゼネラリストとしてのプロになっていくんでしょうね。
そういう人だって、10年から15年、意図的に経験を積み上げ、それを裏打ちする理論、知識を身につけてきたからなんでしょう。
一般的に会社というところでは10年から15年くらい経験した人をマネージャーに抜擢しますが、それは理にかなっていることなんですね。
ぼくは専門家としてのプロを目指してきました。
おかげさまでこれまで異動もなく(引き取り手がない?)、丸14年同じ部署で仕事をしています。
もう一踏ん張りして、一人前のプロになっていきたいと思っています。
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