2009年4月18日土曜日

錯覚は吉

こんにちは

前便で、ぼくはノーベル賞の半分も価値がある、なーんて書きました。
これを読んで、「そんなわけないでしょ。関口ってアホじゃないの?勘違いしてるよねー!」と思ったかもしれません。
そうなんです、ぼくはアホなんです、勘違いしまくってるんですよー。

野口悠紀雄『超発想法』講談社文庫\560-から引用します。

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創造的活動を行うのに、高い知的能力が必要とされるのだろうか?
これに関して、つぎのような話がある。
ある出版社の社長が、創造性がない社員がいることを心配して、心理学者に調査を依頼した。
一年間社員を綿密に調査した結果、創造性のある人々とない人々との間には、たった一つの差異しかないことが発見された。
それは、

  創造的な人々は自分が創造的だと思っており、
  創造的でない人々は自分が創造的でないと思っている

ということだった。
このエピソードは、きわめて示唆的である。
「創造性がない」とは、単に、「自分は創造性がないと思いこんでいること」なのだ。
あるいは、「自分は創造的だと思えば、創造的な活動ができるのだ」とも言える。
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ぼくは教員時代から、子どもが勉強できるとかできないとかいうことは「錯覚」であると考えています。
頭の善し悪しで勉強ができたりできなかったるするのではないと思います。
特に小学生や中学生はそうであると、経験上思います。
自分が勉強できると「錯覚」している子が勉強できるようになり、自分は勉強できないんだと「錯覚」している子は勉強ができるようにならない。
だから、子どもに学力を付けるコツは<自分は勉強ができるんだ、頭がいいんだ>と錯覚させてやることなんだ、と考えています。
積極的に子どもたちに「オレってグレート!」と思わせるようにしていました。

たとえば百マス計算。
速く計算できるようになった子は「自分は算数が得意なんだ」と錯覚するようになります。
単純な四則計算に習熟しただけなんですが。
でも劇的に変わります。
算数が得意だと錯覚しているから、難しい思考力を必要とする鶴亀算などの問題にもチャレンジするんですね。
錯覚していない子は、最初から自分には解けないものだと思いこんでチャレンジしないんです。
で、錯覚している子は本当に解いてしまったりします。
錯覚していると、あきらめないんです。
自分は算数が得意なんだから絶対に解けるはずだ、という思いこみがあるのです。

こういうプライドは大事ですよね。
東大の先生である上野千鶴子さんは著書の中でこんなことを言っています。

 東大生は自分がアタマがいいと錯覚しているから、できるようになる

笑っちゃうけど事実ですね。
ぼくの職場にも東大や京大など一流大卒の博士がごろごろいます。
その人たちを見ていると、知的にタフなんです。
解決するまであきらめないんです。
ずっと考え続けたり、調べ続けたり、実験し続ける。
そして「結果」を出しちゃうんですよ。

だから子どもを「バカだ」と言って育てちゃダメなんですよ。
バカだバカだと言って育てると、ホントにバカに育っちゃうんです。
ほめるネタを探して、あるいはうまくできるようにさせて、ほめてやる。
そうやって育てると、自分はデキル人間だ、と錯覚するようになる。
錯覚しちゃうと、徐々にデキル人間に育っていくんです。

大人だって同じだと思います。
仕事ができると自分で錯覚している人の方が、ホントに仕事ができるんですよ。
できないと思っていると、何にせよ腰が引けてしまいます。
腰が引けている限り、結果は出せません。
できないと思っているから、できるための努力をするより、できない理由を先に考えてしまいます。
それじゃーできるわけがないよね。
そしてそういう人に協力してくれる人もいません。
できると思っていれば、できるための方策を考えたり、調べたり、行動を起こします。
そういう「熱」は他の人へも感染するんですよ。
協力したり助けてくれる人が必ず現れます。
その結果、けっこうできちゃうんですよ、これが。

だから錯覚でも「オレにはできる!」と思った方が得なんです。
ただし、常に結果や現実をフィードバックできなくちゃいけません。
そうじゃないと、錯覚だけの困ったオヤジになってしまいます。
現実に根を下ろして、かつ錯覚して難しい仕事にもチャレンジする。
それが楽しい人生だって思っています。

先々週、X線自由電子レーザー施設制御の試験をしてきました。
XFEL建屋のコンセプトは「建屋もマシンの重要な一部」です。
なので、電源設備や空調冷却設備も、マシン制御系と一体に制御できるように作りました。
研究者や施工スタッフのみなさんの努力で、無事完了させることができましたよー。
まー、最初からうまく行くと思ってたけどねー。
で、マシン制御系を取り仕切っている研究者が、この成果を国際学会で発表するって。
その論文の共著者にぼくも入れてくれるって。
おーーー、スバラシイ!
ぼくもとうとう国際学会デビューです!
って、ぼくもかなり錯覚してるね!
あはははは。

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