2010年4月10日土曜日

桜が一斉に咲くわけ


こんにちは

お花見の季節ですね。
我が家の庭も桃の花が満開です。

そろそろもう終わりですが、今月初め「花冷え」の陽気でしたので、桜のお花見も長く楽しめましたね。
とてもきれい。
でも不思議です。
桜ってなんでどの木も一時に一斉に咲くんでしょうか。

植物を増やすには、二つの方法があります。
タネを植え芽を出して育てる方法。
そして、成木の小枝を切ってそれを土に挿して根を出させる方法。
後者を「挿し木」と言います。

タネから育てると、大きくなって樹が熟し、花を咲かせるまで時間がかかります。
それに比べて挿し木なら、上手くやればもう翌年には花を咲かせるようにもできます。
なぜなら挿し木に使った小枝は、成木の一部なので既に熟しているからです。

タネはめしべが受粉してできるものですから、めしべの遺伝子と花粉の遺伝子が混じり合っています。
人間の子どもと同じように、父親と母親の遺伝子が混じり合っているわけです。
同じ父母から生まれてきた人間の兄弟は、それぞれ違った個性を持っています。
兄弟同士、ちょっぴり違った遺伝子を父母から受け継ぐからです。
だから兄弟でも、成長の具合はずいぶんと違うことだって珍しくありません。
兄はやせっぽち、弟は巨漢なんてこともあったりします。中川家みたいにね。
それと同じようにタネから育てた樹木は、同じ親木から出来たタネであっても兄弟ですから、個性が違います。
花の咲く時期も違ってきて当然です。

実は、桜は挿し木によって増やしたものなんです。
ソメイヨシノは、もともと吉野村(今の東京都豊島区駒込あたり)にあった1本の桜を、次々と挿し木で増やしていったものなのです。
元もと1本の木から取った枝なんですから、元の木とまったく同じ遺伝子を持っています。
つまり、挿し木で増やした木は子どもでも兄弟でもなく、「自分自身」なのです。
これを「クローン」と呼びます。

次々と挿し木で増やしていった苗は、別の場所に植えられていっても、遺伝子は変わりません。
吉野村の元の木はとっくの昔に枯れてしまったでしょうが、時代が変わって今花を咲かせている桜も、まったく同じ遺伝子を持った「本人」なのです。
ですから、同じ環境に植えられていれば同じ時期に一斉に花を咲かせるのは当たり前なのです。
だって、どの桜もみんな自分自身なんですから。


写真は、理研和光の桜です。
桜は無個性に一斉に咲きますが、そこで働く人は個性的なオンリーワンばかりでございます!
なので花の咲く時期もいろいろであっていい。

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