2009年8月30日日曜日

ペアシステムでやりましょう

こんにちは

出張先のバス停で本を読みながらバスを待っていたら、突然声をかけられました。
振り向くと、以前ぼくの上司だった方で、今はある会社の役員をしている方でした。
お久しぶり!
で、バスが来るまでの間しばらく雑談。
「関ちゃんの下にいた人はみんな活躍してるなあ」なんて言ってくれました。
出張先の事業所には、以前ぼくの下で働いていてくれた人がいます。
元上司も彼らの様子を見てきたようです。
ぼくの元部下たち、こっちでも活躍してるんだなーって思って嬉しくなりました。

ぼくの下で働いてくれた人は、どんどんと他に引っ張られていきます。
もっといいポジションに行ったり、安定した職場に行ったり、いいところに嫁さんに行ったり、天国に召されたり。
みんなまずまず活躍しています。
そしてぼくなりに育ててきたと自負しているのです。

その育て方を紹介しましょう。
それは

 一つのプロジェクトはぼくと部下二人だけで組む

ことです。
ぼくの担当する係に多人数いたとしても、一つの案件は必ずぼくとあと一人の部下だけの二人で取り組むようにしたんです。
決して三人にはしない。
なぜなら、二人だけだと役割が明確になるからです。
ぼくが判断を、部下が実作業を担当するわけです。
そうすると、部下はすべての実作業を一人でこなさなければならないわけです。

実作業には時間が必要です。
部下は一つのプロジェクトに専念して、時間をかけて作業できます。
判断は実作業がしっかりできていれば、瞬時にすることができます。
なのでぼくは他の部下と別のプロジェクトにも取り組む時間が生まれるというわけです。

三人以上いると分業してしまいます。
自分の好きなところ、得意な部分ばかりやりがちになります。
そうすると不得手な部分を身に着けるチャンスがなくなってしまいます。
結果として、全体を理解し見ることができるようになれなくなる。

また、三人いるとどうしてもどちらがやったらいいか分からないダークな部分が出てきてしまいます。
これはオレの仕事じゃない、と両者が思ってしまう。
そうするとヌケが出ちゃうんですよね。
ぼくと部下の二人だけなら、全部自分の仕事だと分かっているので、たとえ嫌な仕事、不得手な仕事でもやらざるを得なくなる。
よって、ヌケのない仕事ができます。

それに、人間ですから「関口はあいつばっかり楽な仕事を回す」とか「あいつばっかりやり甲斐のある仕事を回す」みたいな感情もありがちです。
部下への仕事の割り振りも、上司の面倒な業務のひとつなんです。
二人だけで一つのプロジェクトを担当すれば、こういう面倒も回避できます。
すべて一人の部下に指示すればオッケーだからです。

二人の部下同士の感情がこじれるとやっかいですよ。
ある部分の作業がストップしてしまう。
感情のトラブルを解決するのには、かなりのエネルギーと時間が必要です。
ムダですよねー。

またヌケた部分は上司が作業しなくてはならなくなってしまいます。
作業には時間がかかります。
中途半端にやられた作業は、引き継ぎに時間がかかります。
そんなことをしていたら、上司の判断業務をする時間がなくなっちゃいますよ。
ムダが多くなります。

まあぼくだっていろいろ試行錯誤してきたわけですが、今はこの「二人で1案件」というやり方がベストだと思っています。
もちろん部下同士、助け合ったり、教え会ったりすることも必要です。
でもそれは自主的にやればいいことで、作業の全責任はひとりの部下にある。そこは崩さない。

そしてぼくもぼくの上司に対して、ぼくの仕事に関しては全責任を負う。
ぼくとぼくの上司も1対1、ペアシステムとすることによって、ぼくも自分の仕事に責任を持ち、逃げられない状況にするんです。
よくいるじゃないですか、いつも部下を何人か引き連れて打ち合わせに出てくる上司。
こういう人って部下にばっかりしゃべらせて、自分は何も話さない。
部下に晴れ舞台を用意しているのかもしれませんが、どっちかというと自分が逃げているだけなんですよ。
その証拠に、上手くいかないとき打ち合わせの場で部下を罵倒したりしてみせたりね。
自分じゃ、自分の責任じゃないことをアピールしているつもりかもしれませんが、まともな人には分かりますよ。お前が無能なだけじゃないかって。

安藤忠雄『建築家安藤忠雄』新潮社¥1900-にもこう書いてありました。

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全ての仕事について、全責任を負う担当者を決め、その全過程を、私と担当者と
の1対1のチームで進めていくというやり方。仕事が5件あれば5人、10件なら10人
の担当者がいるという状態だ。そうすれば全ての現場に、ボスが直結しているか
ら、中間管理職など一切必要がなくなる。
事務所が私の個人事務所である以上、最も重要なのは、私とスタッフとの間の認
識にズレがないこと。そのためにはどうやって情報を正確に伝達し共有するかと
いった、コミュニケーションの問題が鍵だと思っていたから、とにかくすべてを
単純明快にしたかったのだ。曖昧な状態が我慢ならない。これは私生来の性質か
もしれないが。
無論、いくら1対1にしても最高責任者である私と担当スタッフとでは、仕事に対
する意識の差がある。緊張感がなければよい仕事は出来ないし、いずれは独立し
て、自分の事務所を開くスタッフのキャリアを考える上でも、ここでの時間をど
れだけ真剣に、臨場感を持って過ごせるかによって、得られる経験に大きな差が
出てくる。だから、スタッフに対しては、意識的に、厳しい姿勢で臨んできた。
それが「恐怖感で教育する」の真意でもある。(14p)
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おー、安藤さんも同じ方法を実践しているんですね。嬉しいなー。
ペアシステムによって仕事がスムースに流れ、ぼくも部下も精神的、時間的余裕が生まれ、それぞれの腕も上がる。
いい方法だと思うのですが、いかがでしょうか。

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