2011年2月4日金曜日

大過なく生きる


おはようございます

長い出張からようやく家に戻り、夕べは家でぐっすり眠れました。
何の迷いもなく、不安もなく、家族と一緒にぐっすり眠れるってとってもハッピーですね。
外国のことわざに「よく働いた一日はよく眠れる。よく生きた一生はよく死ねる」というのがあるそうです。
播磨での会計検査も無事終えて、よく働いたからね。
こうした日々を一日、一日と重ねて、最後はよく死にたいもんです。
って、孫の顔を見るまではまだまだ死ねませんがねー。

今回の会計検査もちゃんと予習をして臨みましたよ。
今回の検査対象はXFEL実験研究棟の設計変更契約についてです。
なぜこのような変更が必要で、なぜこれだけのお金をかけなくちゃいけないのかをしっかり説明できればいい。
要はロジックですね。
もちろん、建物に関する検査ですので実際の建物に設置した「モノ」との照合も大切です。
設置されているモノが図面や予算書と合致しているかどうかも問われます。
会計検査は原則<書類検査>ですが、疑義があれば現地確認することもあるんです。
月曜日に現地入りしましたが、いつもより半日早く到着して、他の仕事の合間に検査対象の建物を見てあるき、何がどこにあるか記憶するよう努めました。

検査時間は有限ですから、ポイントとなる部分を重点的に検査されます。
そこがしっかりしていれば、あとの細々したところまで検査されることはないのです。
逆に言えば、ポイントとなる部分が曖昧だと、細々したところまで突っ込まれてしまう。
人間のやる仕事ですから完璧なんてあり得ません。
細部まで根掘り葉掘りやられたら、小さなミスくらい発見されてしまうものです。
そうなると、ねちねちと検査が続いてしまい、なかなか終わらなかったり、宿題が出たり、霞ヶ関に出向かなければならなくなったり、最悪国会に報告され新聞ネタになってしまいます。
その対応のための仕事が増え、貴重な自分の時間が奪われてしまいます。
検査翌日に、朝から神戸計算科学研究機構での打合せを入れていたので、是が非でも当日でカタを付けたかった。
その日のうちに播磨から神戸に移動しておかないと間に合いませんからね。
そのための予習、準備を怠りなくやりましたよ。

では、ポイントとなる部分とはどこか。
検査員の立場、気持ちになってみれば分かります。
今回の場合「設計変更契約」が検査対象ですから、大きく変更したところに決まっています。
たくさんお金をかけて変更した部分ですね。
先ずはそこを検査するのが常道でしょう。
だからそこはしっかりと準備するわけです。
予習とは「山はり」ですからね。全方位まんべんなくやってもダメなんです。
ポイントとなるところはどこか当たりを付け、そこを念入りにやる。
今回の場合それは、実験用のボーリングアース、中央監視ホストソフトウェア追加、DLPプロジェクタの3点でした。
そこに力をいれて準備したんです。

たとえば、実験用ボーリングアースは研究者からの「クリーンで独立したアースが欲しい」というリクエストをもとに、岩盤を地下70mまで堀抜いてアースを打ちました。
これを説明するために、大地抵抗率の説明資料を用意し、半球法による接地等価面積の積分計算書を作り、地盤が岩盤である場所でクリーンで独立したアースを得るためにはボーリングアースしかないことを示し、施工要領書や施工写真、試験成績書をもとにかかったお金に必然性があることを納得してもらう。
説明するときのストーリーも考えながら準備するんです。

小宮一慶『あたりまえのことをバカになってちゃんとやる』サンマーク出版¥1400-から引用します。

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病気になって、それを克服したからといって、けっして偉いわけではありません。
人は病気を克服した人を偉いともてはやしますが、病気にならずに生きている人のほうがずっと偉いに決まっているではありませんか。
病気を逆境にたとえると、逆境を乗り越える人は偉いが、もっと偉いのは逆境に陥らない人です。
世の中には、道を歩いているときに、わざわざ危ないところを歩く人がいます。
そういう人は事故にあいやすい人です。
でも安全なところを歩けば事故にあう確率を減らせます。
その安全な場所を分かっている人が一番偉いわけです。(201p)
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「大過なく過ごす」という言葉があります。
これを何もしないことによってトラブルに遭わないようにする、と解釈する人が多い。
定年間際に校長先生になった人とかね。
でもそれは間違いだと思います。
いろいろなことにチャレンジするんだけど、ちゃんと予習をして、予めトラブルを回避する算段をする。
危険な場所を予知し、それを避け、安全な道を歩くんです。

その結果として「大過なく」が実現できる。
そういう毎日を送れれば、毎晩ぐっすり眠れるし、死ぬときに「いい一生だった」と言えるんじゃないかなって思います。


まだまだ寒いですが、播磨の空も春めいてきました!

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