2009年1月4日日曜日

忍耐とは何か

こんにちは

ぼくは毎年、「字たくさん」の年賀状を作っています。
初めて受け取る人はびっくりするみたい。
でも年賀状だってコミュニケーションのひとつ。
ただ定型の印刷物の年賀状なんか受け取っても、あまり嬉しくもない。
それより、ちょっと面白いなって思ってもらいたい。
そこから対話が始まるなんてこともあるかもしれないしね。

こういう「字たくさん」の年賀状は、ぼくの尊敬する小学校教師である向山洋一さんのマネなんです。
ぼくも向山さんから初めて年賀状をもらったときはびっくりしましたよ。
こういうのもありかー!って発見もありました。
以来、真似しているんです。
いいことは真似しなくちゃね。

で、今年の年賀状はこんなのです。

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あけましておめでとうございます。
おかげさまで今年も家族そろって元気に新年を迎えることができました。
はっちゃんは4歳、昨年4月から幼稚園年少組でがんばりました。
とっちゃんはまもなく2歳、言葉も増え元気に走り回っています。
晶ちゃんもでっかいとっちゃんにおっぱいをいっぱい飲ませながら、母親業奮闘中です。

昨年末、春立小学校時代の教え子の結婚式に家族で呼んでもらいました。
乾杯のスピーチもやらせてもらい、「いい家族を築くには愛だけではいけません。努力と忍耐も大切です」と はなむけの言葉を贈りました。

確かにどんな場合でも人生には忍耐が必要です。
忍耐とはただ我慢するということではなく、今自分にできることをひとつひとつこなしていくということだと思います。
人生、なかなか自分の思うとおりにはいかないのが現実です。
でもそうだからといってそれに甘んじ、我慢するのではなく、コツコツと理想に向かって一歩ずつ、少しずつでも実践していく。
これが忍耐なんだと思うのです。
忍耐力こそ人生を切りひらく要なんだと、この歳になってようやく分かってきました。

哲学者森信三氏もあるべき父親像のひとつとして、

  父親はまず一事を通して
     我が子に忍耐力を育てる躾をすべきである

と言っています。
父親として妻や子どもに示すべき一事は、やはりいい仕事をすることだと思います。
それも楽しんで快活にしている姿を見せる。

今年はX線自由電子レーザー施設の建物が完成します。
次世代スーパーコンピュータ施設の工事も佳境を迎えます。
どちらも大プロジェクトであり、一筋縄ではいかないかもしれません。
それでも忍耐をもって一歩ずつ着実かつ確実に進めていきたいと思っています。
にこやかに楽しんで。

今年もよろしくお願いします。
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ところで、「忍耐」と似た意味の言葉に「我慢」があります。
この二つはどこがどう違うのでしょうか。
ぼくは次のように定義しています。 

 忍耐;成功への過程
 我慢;破滅への道

最近、子どもだけじゃなく大人でも「キレる」人が増えてきました。
こういう人は我慢が足りないのだと思っている人が多い。
でも違うんですよ。
キレる人は、けっこう我慢しているんです。

忠臣蔵というお話があります。四十七士の討ち入りの話ですね。
お殿様である浅野内匠頭は我慢強いですよー。
吉良上野介に「バカだ」「常識がない」「田舎者」と蔑まれても、我慢に我慢を重ねる。
そしてとうとう我慢の限界に達してしまい、ぶち切れて、殿中での刃傷沙汰を起こしてしまいます。

ぼくは浅野内匠頭は我慢強いけど、忍耐力はないなーって思います。
なぜぶち切れる前に、何とかしようとしなかったのでしょうか。
少しでも作法を覚えていく、仕事で成果を出していくなどして、たとえ吉良氏にバカにされても、他の人から認めてもらう努力はできなかったのでしょうか。
我慢し続けた結果が、切腹、お家取りつぶしなんです。
破滅です。家臣にとっては迷惑な話です。

最近のキレる人も同じような気がしています。
どんな理不尽なことでも我慢してしまう。
自分を押さえ込んでしまうことを第一にしている。
その我慢が許容限度を超えて溢れ出してしまい、キレてしまうようなんです。
ここまでオレは我慢したんだからキレるのも当然だ、オレをここまで我慢させたお前を成敗してくれる!という、まるで浅野内匠頭だね。
もちろん、許容限度、キャパシティも恐ろしく小さく、浅いのも原因なんですがね。

なのでぼくは、我慢はよくない、と思っているのです。
我慢するだけでは現実は何も変わらないのです。たとえ完璧でなくても、少しでもいいから改善していく。
そういう方法はないかどうか考え、行動していく。
それが「忍耐」なんだと思うのです。
忍耐強く続けていくことで、現実はちょっとずつでも変わっていくのです。
そのことによって、自分の許容限度、キャパシティも大きく深くもなっていく。
そしていつかは、成功へとつながっていくんだと思うのです。

前便で、忍耐力を育てるには楽器の習得がいい、と書きました。
五嶋節『天才の育て方』講談社現代新書\700-にも同じことが書いてありました。

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ときどき、うちの子どもは忍耐力がなくて、我慢することができないから、ピアノでも、ヴァイオリンでも、途中でほっぽり出してしまう・・・と嘆かれる親御さんの言葉を聞くことがあります。
子どもによって多少の差はあっても、小さい頃から忍耐力や我慢を身につけている子どもなんて、いるのでしょうか。
子どもは誰でも、すぐに飽きやすく、同じことの繰り返しを一番嫌うもの。
それが、子どもというものです。
なのに、忍耐力がなかったから、ヴァイオリンやピアノを続けられなかったというのは、本末転倒です。(113p)
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忍耐力というのははじめから備わっているものじゃないんですね。
何か一事を通して少しずつ身につけていくもの。
ひとつのことに打ち込んで、できない、うまくいかない、どうやればいいんだろう、と思いつつ続けていく。
工夫も積み重ねる。
できない、うまくいかないからといって、途中であきらめたり投げ出さないことです。

楽器の練習は、同じことを何度も何度もバカみたいに繰り返すことによってしか上達することはありません。しつこくしつこく。
そして、少しできるようになった、うまくいった、ぼくってなかなかやるじゃん、というところまで到達する。そういう経験を通して、忍耐力は身に付いていくものなんだと思います。

子どもならピアノや楽器の練習を通して、学生なら受験勉強も忍耐力のいい訓練になります。
大人なら仕事を通して、家事、育児だって、忍耐力を鍛えられます。
忍耐力が身に付けばつくほど、あらゆることがうまくいくようになるんだと信じています。
だって、何事も成功するまで続ければ必ず成功するんだからね、あたりまえだけど。
途中であきらめちゃうから、失敗に終わるんです。

今日でお正月休みも終わり。
ぼくの今年のキーワードは「忍耐」と決めましたよ。
しつこくねちねちとやり続けていく所存ですので、ご期待下さい!
うひひひひひ。

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