2009年1月9日金曜日

ベストエフォートで行こう!

こんにちは

年明け早々、今日からSPring8に出張です。
3月末に完成するXFEL建屋工事も、今日明日が打ち合わせは最終。
しっかりディレクションしてこなくちゃ。

ぼくは自分自身を「実務者」だと規定しています。
実務者は「即断即決」でなくちゃいけないと思います。
迷ったりせず、今の状況、今のデータで、稚拙でもいいから決めてしまう。
そして行動するんです。
迷っていると動き出せません。
動かないと、よくて現状維持、たいては悪くなるだけです。
だからたとえ完璧でなくても即断してしまう。
動き出してそれがまずければ、修正すればいいんです。
まずいことが分かるだけでも進歩。
修正も即断即決なら傷は浅いわけです。

いきなりですが、福沢諭吉『学問のすすめ』から引用です。

###
理想だけが高尚で、行動力のない人間は、他人に嫌われて孤立することがある。
こういう人間が、他人と行動力を比較すれば、もちろん他人にはかなわない。
だが自分の理想に照らして、他人の行動を見れば、そこに自然秘かな軽蔑の念がわくのを禁じ得ない。
ところが、みだりに他人を軽蔑すれば、必ず他人からも軽蔑されるものだ。(略)
おごり高ぶって嫌われる者、人に勝つことだけを望んで嫌われる者、人に多くを望みすぎて嫌われる者、人の悪口を言って嫌われる者--どれをとっても、他人との比較を誤った者ばかりだ。
ひとりよがりの高尚な理想を基準にして、他人の行動を評価するばかりか、そこに勝手な空想を持ち込むために、人に嫌われるもとをつくるのである。
そして最後には、自分から人を遠ざけ、孤立無援の苦境に陥ってしまうのである。(檜谷昭彦現代語訳『学問のすすめ』三笠書房\1300-、195p)
###

思わず笑っちゃいましたよ、福沢先生。
100年以上経った今でもこういう輩は結構いますよ。
自分では何も行動していないのに、他人が一生懸命やっていることを「大したことをやっていない」「その程度しかできないのか」と腐すヤツ。
自分のやることは棚に上げているくせに、自分の理想と照らし合わせて他人の仕事を評価しているんですね。

自分は何も行動していないので、評価不能な状態です。
そういう「安全地帯」にいるから、酷評も可能なんですよね。
それだけ言うなら「じゃあ、おまえもやってみろよ」と言いたくもなります。

そういうヤツはなぜ行動しないのか。
なぜそういう高尚な理想を実現するために、一歩を踏み出そうとしないのか。
その理由を聞くと、今はまだ条件が整っていない、社会の側に障壁がある、あいつがいるから何もできない、e.t.c.なんて言うわけです。
まー、言い訳の類でしょう。
その理想主義、完璧主義は怠惰の裏返しなんだとぼくは思っちゃいます。

確かに、条件が整っていなかったり、障壁があったり、イヤなヤツがいるのかもしれませんよ。
だからといって、全然何もできないということもないと思うんです。
たとえ30%でも、10%でも、5%でも、1%でも、やれることはないのかどうか。

行動力のある人だって、同じように条件が整っていなかったり、障壁があったりしているのです。
それでも今できることを探してやっている。
それはとても理想通りではないわけです。
それを評して「理想にはほど遠い」と言っても、当たり前のことなんですよ。
だって、理想と比べてたとえ30%でも、10%でも、5%でも、1%でも、やれることをやっているんですから。

理想と比べたら大したことはできないかもしれないけど、今の自分にできる範囲で最大限やれることを実行する。
理想通りにはできないからと言って、何もしないのではなく、ちょっとでも前に進もうとする。
そして少しずつでも理想へと近づいていく。
そういう生き方を「ベストエフォートな生き方」と呼びたい。
それが「実務者」の行動指針なんだと、ぼくは思うのです。

0 件のコメント: