2009年1月17日土曜日

ウサギとカメの生理学

こんにちは

我が家で寺子屋を開催しています。
我が子はっちゃんと同年齢の子も呼んで、毎日1時間ほど。
図書館から紙芝居を借りてきて、毎日読んであげています。

昨日読んだのは「ウサギとカメ」。
ウサギとカメが徒競走する話です。
ウサギは走るのが速いけど、それに慢心して途中で昼寝をしてしまう。
その間にカメは遅くとも着実に走り続け、ウサギを追い抜いてゴールするって話。

この話は、ウサギのように慢心して怠けたりせずに、カメのようにのろくとも着実に努力すれば最後は報われる、という教訓として使われています。
が、ウサギは本当に怠けていたからカメに負けたと言えるのでしょうか。

ウサギとカメの違いは何か。
ウサギはほ乳類であり、恒温動物です。
カメは爬虫類で、変温動物。

カメなど変温動物の体温は、いつも外気や水と同じ温度だと思っている人が多いようですが、違います。
運動すれば、筋肉から発熱します。
確かに変温動物は体温が低いときは鈍いのですが、運動を続けて筋肉を動かすと体温が高くなります。
変温動物だって体温が上がると快調になってきて、速く走れるようになるのです。
最近の動物学の研究でも、泳ぎ続けるウミガメの体温はほぼ恒温であることがわかってきています。
だからカメは、走り続けることが必要な長距離走に向いている、と言えるかもしれません。

ところがカメは一休みしてしまうと、体が冷えてしまい、またのろのろと再スタートしなければならなくなってしまいます。
よって、カメは走り続けた方が有利なのです。

それに対してウサギは恒温動物です。
体温がいつも高く、常にウォーミングアップされていますから、すぐスタートすることができます。
スタート直後から、速いスピードで走ることが出来ます。
ところが、走り続けていると筋肉が発熱し、どんどん体温が上がってきます。
体温が上がりすぎてしまうと、逆に調子が悪くなってしまうのです。
風邪を引いて体温が高いとき、体がだるくなってしまうのを思い出してください。
だから、いつまでも走り続けることはできないのです。
ときどき休んでクールダウンする必要があります。

特に高温に弱いのは脳です。
脳がオーバーヒートしてしまうと、最後は壊れてしまいます。
産まれたばかりの赤ちゃんが病気になって40℃もの熱が出ると、脳が破壊されてしまうこともあるのです。
だから、脳のオーバーヒートは避けなければいけないのです。

脳の温度を下げるのに最適なのは、睡眠をとることです。
発熱源である筋肉を休ませ、体温を下げます。
マラソンランナーはレースの後に熟睡するのだそうです。
オーバーヒートを避けるために、脳は自ら睡眠を要求するのです。
だからウサギは途中で昼寝をせざるを得なかったのかもしれないのです。
別に怠け者だったから、昼寝をしたわけでもなかったのかもしれません。

考えてみるに、ウサギはカメより優っていることはたくさんあるわけです。
徒競走くらい、負けたっていいじゃないですか。
ウサギもカメもそれぞれ得意分野で実力を発揮すればいい。
徒競走で無理にがんばっちゃって、脳が壊れたり死んじゃったりしたらたまりません。

けっこうウサギは賢明だったのかもしれませんよ。


井上昌次郎『ヒトはなぜ眠るのか』ちくまプリマーブックス\1100-の158pあたりを参考に書きました。

0 件のコメント: