2009年12月8日火曜日

水と餌とねぐら


こんにちは

知人の子どもで、不登校になっちゃった中学生がいます。
学校でいじめられたのが原因のようです。
学校に行かないんだからその分の勉強を少しでも自分でやればいいんですが、日がなTVとゲームで過ごしてしまいます。
ゲームでも真剣にやれば少しはいいと思いますが、暇つぶしのためにだらだらやっている。
だんだん生活リズムも狂って、昼夜逆転。
おきまりのコースですね。
三度三度の食事は母親やおばあちゃんが作ってくれるので、一人前に食べます。
家からほとんど出ないので、運動しないからみるみるうちに太っちゃって、ぼくより巨漢になってしまっています。
ちょっと過保護にされすぎているように思いますよ。
彼を見ていると、研究用に飼育されている実験動物を見ているような気持ちになってしまいます。

晶ちゃんの教え子の中にも、中学時代不登校だった子がいました。
その子は今東京に出てきて、女優の卵として頑張っています。
もちろん一人暮らし。
親から援助してもらっているとは思いますが、バイトをしながら生き生きと貧乏生活を楽しんでいます。

不登校やひきこもりが成立するためには、必ず親や家族の存在が必要です。
親や家族がその子の衣食住のめんどうを見なければ、不登校も引きこもりも成り立ちません。
一人暮らしのひきこもりなんて聞いたことがありませんよね。
一人暮らしをするには、腹が減れば飯を食いにいったり、スーパーに買い物に行ったり、何らかは社会と関わらざるを得ないわけです。
親や家族が至れり尽くせりし過ぎちゃうのも、不登校やひきこもりを助長してしまうのではないかと思います。

確かに学校でひどいいじめに合ったなら、休ませるのは正しいことだと思います。
でもね、休むのなら家で勉強させるとか、家事の手伝いをさせるとか、お使いに行かせるとかした方がいい。
学校へ行くのと同等の負荷を子どもにかけないと、成長期の貴重な時間を無駄に浪費してしまうように思うのです。
学力がついたり、家事が上手くできたり、お使いに行ってお店の人と交渉が上手くできたりすれば、子どもの自信になります。
自信が着けば、いじめにもそうそう遭わなくなるのではないでしょうか。

養老猛司『まともな人』中公新書\700-から引用します。

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実験動物は、生まれたときから籠の中で、水と飼料を十二分に与えられて育つ。
籠の外に出すと、恐る恐る歩いて、逃げ出したりはしない。おかれた机の端をヒゲで触って、どんなところかゆっくり調べているつもりらしい。
籠の中という環境は、自然の状況に比較したら、きわめて単調である。
そこでは動物は、生まれ持った能力のほとんどを使う必要がない。
いまでは大学で出合う若者たちが、こうしたマウスやラットのように見える。

だからといって、日本の将来を悲観しているわけではない。
そうした育ちのネズミが籠から出てしまうことがあった。
一週間もすると野生化して、簡単には捕まらなくなる。
当時の大学は、いまとは比較にならないほど管理も悪く、建物もボロだった。
野良猫が自由に出入りしていたり、廊下をクマネズミが歩いていたりした。
そういう環境に放された籠のネズミは、アッという間に野生化する。
水と餌とねぐらを、自分で探さねばならない。
周囲は危険に満ちている。
そういう状況に置かれたとたん、籠育ちのネズミが急速に育つ。

いま教育問題がやかましい。
子どもの評価のなんとかとか、指導要領のなんとかとか、教育の問題を議論する会合に年中呼び出される。
教育の根本はなにかというなら、話は簡単である。
水と餌とねぐら、それを自分で探すようにさせる。
そうすれば、アッという間に子どもは育つ。(34-35p)
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水と餌とねぐらを自分で得ることができるようにすること、それが教育の根本の原則なんだと思いました。
はつき君、とんたんにも野性味のある人間に育ってもらいたいです。
そして、自分で水と餌とねぐらを見つけるだけの実力を持ってもらって、自分の家族をつくっていってほしいなーって思っています。

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