2010年3月15日月曜日

なかなかいいぞ、東京大学


こんにちは

我が職場、理研発生再生科学総合研究センターの上田チームリーダーが、NHK「仕事の流儀」に登場しました。http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/100216/index.html
上田さんはまだ大学院の学生の27歳の時に、理研のチームリーダーとして抜擢されたんです。
理研のチームリーダーは、国立大学の教授と同等の予算と権限を持っています。
100年に一人の逸材と言われています。
なので、抜擢されたというより、海外流出しないように先に唾付けちゃった、というのが正しいかも。
ぼくもちょこっとお話しする機会がありましたが、おーーーこの世の中にこんな頭のいい人がいるのかー、とびっくりしましたよー。
上田さんは久留米大付設高校出身で、東大理科Ⅲ類に進学したんですが、高校時代の先生から「上田君は東大ではもったいない」と言われたそうです。
理科Ⅲ類は医学部進学コースで、合格者は100人弱しかいないんですよ。
その中でもトップだったんですねー。

今日ぼくは午後からREHSE研究会http://www.oshimalab.k.u-tokyo.ac.jp/link/REHSE/index.html に参加するため東大本郷へ行きました。
東大もここ数年で、どんどん新しい研究棟が建てられています。
あのボロボロだった東大病院も、すっかりきれいな建物になっちゃいました。
赤門隣でも工事が始まっていました。
工事名を見てみると「伊藤国際学術研究センター」とありました。
家に帰ってネットで調べてみたら、イトーヨーカドーの会長さんからの寄付で造っているだそうですhttp://gateway.todai-alumni.jp/2009/03/post-587f.html 。
つまり寄付。

東大も国立大学法人化して、国からの交付金はどんどん減らされています。
国からの予算はじり貧状態なんです。
東大は国立大学総予算の10%も与えられているといっても、何とか自前で稼がねばならないと必死なんです。
特に理系の研究はお金が必要です。
国から与えられる研究費は、教授でも年100万円足らず。
これじゃあ何もできません。

そのため東大は今、寄付集めに奔走しているそうです。
2020年までに2000億円の寄付を集め、それを基金として運用し、研究や教育に注ぎ込む計画。
で、OBに声をかけまくって寄付をしてもらっている。
東大OBは各界で重要な地位に就いている人が多いわけで、収入もそれなりにあるから、寄付してくれる確率も高い。
2010年現在、すでに400億円集まっているそうです。

お金だけでもだめです。
東大ブランドを維持するためには、優秀な学生を確保しなくてはなりません。
特に理系では大学院生は重要なマンパワーです。
大学院生の質と量で、理系の研究は量質とも決まっちゃうんです。

そこで東大はこんな施策を始めています。
家庭の経済状態のよくない学生、具体的に言うとサラリーマンなら年収400万円以下の家庭の学生は、学費免除にしているんです。
学費だって大学の重要な収入源です。
だから免除なんかしたくないのが本音でしょう。
でも東大はそれをしちゃうだけの体力があるんですね。
学費免除してでも、優秀でハングリーな学生が欲しいってことです。

それはたぶん近年、学生が開成、灘など私立進学校出身者ばかりになってしまったからじゃないでしょうか。
私立進学校出身者は”おぼっちゃま””おじょうさま”なので、頭はよくてもちょっとハングリー精神に欠ける。
がむしゃらに研究に邁進する学生が減ってしまった。
もうちょっと、多様な学生を求めることにしたんじゃなかなってぼくは思います。

今や国立大学といっても学費は年額50万以上です。
経済的理由で進学できない学生だって多いと思います。
そういう学生を受け入れる度量が東大にはあるんですねー。

ところで、近年東大を卒業して国家公務員になる学生が減っているんです。
大学教育は受益者負担という錦の御旗の元に、学費はどんどんと値上がりし、私立大学との差が縮まりました。
受益者負担であるなら、東大卒の学歴を自分のためだけに使うのは合理的です。
公務員なんかより稼げる外資系企業に就職するのは当然です。
まして近年の公務員バッシング。
給料も安く、尊敬もされない仕事に誰が就くと言うのでしょうか。

国立大学の学費が安く、経費のほとんどが税金でまかなわれていた頃の学生は、意識もそれなりに違っていたと思うんですよ。
自分の学歴は自分の力だけで得られたものじゃない。
税金を払ってくれた多くの人たちの付託の元に得られたものだって。
そういう意識があれば、多少大変でも国民のために働こうという学生もいたんじゃないかって思います。
学費免除を受けた学生が、その恩を返したいって意識を持ってくれたらなーって思います。

蔭山英男『娘が東大に合格した本当の理由』小学館新書¥740-から引用します。

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ある統計によると、東大は世界ランキング16位(2006年)だ。
しかし東大より上野ランキングの大学のうち、13の大学がアメリカ、二つの大学がイギリス。
つまり、非英語圏の大学で東大はトップである。(119p)
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なんだかんだといっても東大はなかなかのものです。
学生も勤勉でまじめ。
日本の大学に行くならやっぱり東大だよなーって思います。

我が子たちが大学生になる15年後、ぼくは65歳です。
75歳までは現役で働くつもりではいますが、年収は大きくダウンしていることでしょう。
でも大丈夫。
東大は年収400万円以下で学費免除なんですから!


写真は東大本郷キャンパスのマンホール。
マンホールに「東京帝国大学」の刻印があるのも、面白いね。

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