2010年10月20日水曜日

読書の効用

こんにちは

今ぼくは子ども向けにスパコンの授業を考案している最中。
子どもたちに楽しんでもらうためには、きちんと基礎から勉強して、プリミティブな話をした方がいいんです。
『CPUの作り方』『ブール代数入門』なんて本をまたまたごっそりと買い込んで、バリバリ読んでいます。

板倉聖宣さんから教えてもらったことですが、何事も狭いある分野で一流になるためには、その分野の専門書を10万円分読むといいんです。
ぼくもこれまでいろいろな分野で実践してきました。
実践して分かったのは、10万円分の本の内1/3読破するとプロたちの話していることが理解できるようになり、2/3読破するとプロと互角に仕事ができ、全部読破すると自分がリーダーになれるってこと。
仕事はオンジョブトレーニング(OJT)も大事ですが、それだけじゃダメ。
基本から学ぶチャンスを逃すからです。
OJTだけの人は、経験を裏付ける理論を学んでいないので、応用が利かない。
すごく仕事が表面的になりがちなんですよ。
仕事をしつつ本を読み、理論と実践を合致させるのがいいんです。

昨日の課長代理研修で、3分間スピーチの演習がありました。
これをチャンスにして、考案中のスパコン授業のさわりをやってみました。
NOT回路の作り方をちょこっと。
研修参加者は事務系の人が多く、理系でも電気専門者はいませんでしたが、とってもウケました。
これなら小中学生にも楽しんでもらえそうだ、と実感しました。
うれしー。

ぼくが教員だった頃の後輩で、大変な読書家がいました。
主に教育書を読んでいましたが、教育雑誌などほぼ全誌講読していたと思います。
ところが、授業の方はさっぱり上手くならない。
ある時その後輩から相談された答えが、すっかりある本に載っているのを思い出しました。
「あれ?君もあの本読んでるはずじゃなかったっけ?」

本の読み方にはどうも二通りあるようです。
<娯楽のための読み方>と<実用としての読み方>。
娯楽のための読書なら、あ~面白かった、でいいわけです。
読み終わった後に何も残らなくてもかまわない。
でも、実用のための読書なら、読後に自分の行動が変わらなくちゃ。
先の後輩は、実用としての読書が出来ていなかったんですね。
それではいくらたくさん本を読んでも、授業は上手くなるわけがありません。

では、実用としての読書をするにはどうしたらいいのでしょうか。
それは、読んだらすぐ自分で出来ることはないか、実行できることはないかを考え、即実行に移してみる。
実行して上手くいったなら、「技」として身に着くまで何度も繰り返してやってみる。
もちろん上手く行かないこともあるでしょう。
そういう時は、自分に縁がなかったと思って諦めるのもいい。
いったん自分でやってみた結果、それを諦めるのもひとつの「実用」なんだと思うのです。
とにかく、本を読んだら即やってみる。
それが実用的読書なんだと思います。

先日、近所の公民館で斎藤孝さんの講演会があったので聞いてきました。
斎藤さんは読書の定義を次のように言っていました。

 「読書とは他者を自分の中に受け入れることである」

だから、古典を読む意義があると斎藤さんは言います。
古典の中には何十人、何百人の人の人生が入っています。
1冊読むだけで、それが自分の中に入ってくるわけです。
自分の中に受け入れた他人の人生を、自分の人生に重ね合わせる。
それが自分の行動を変えていく原動力になるんだと思います。

狭い世界に生きている人ほど、その中以外の世界を知ろうとしません。
自分と違う人とつき合うのを嫌がったり、排除したりします。
たとえ自分の意見や行動が間違っていたとしても、かたくなに変えようとしなかったりします。
最近の子どもにいじめなど排他的な行動が多いのは、一つには読書体験が少ない、ということからくるものでもあると思います。
読書によって他人を自分の中に受け入れてきた人は、現実でも他人を受け入れる素地が出来てきます。
いろいろな人がいることを、いろいろな状況がありえることを理解できるようになる。
つまり、読書によって自分の<容量(キャパシティ)>が大きくなるんだと思います。

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