2010年10月30日土曜日

部下がいてよかった


こんにちは

今月はじめ、ぼくの直属の部下となる若者が配属されました。
ぼくと同じく、電気設備が専門です。
ということは、同じセクションに同じ役割の者は二人必要ないわけで、そろそろぼくも転勤なんでしょうね。
そういえばぼくも今の職場に入ったとき、直属の上司は電気設備担当でしたが、3ヶ月で異動していきました。
となると、ぼくも早ければ来年1月、遅くとも4月には異動することになるのは確実。
なので、短期間でぼくのノウハウを伝えるべく、若者をビシバシ鍛えています。

昔の軍隊では、兵隊には何をすべきかあれこれ具体的に指示し、下士官には目標だけを与え、その目標のために具体的に何をいつしていくべきかは下士官に任せていたそうです。
つまり戦略を与え、戦術は任せるわけです。
そうやって下士官、つまりやがては上官になる人物を育てていたんだそうです。
それが一番効率的な人の育て方なんですよ。
そんなことを知ったので、ぼくも試しにやってみているわけです。

やってみるといろんなことが見えてきました。
自分で何もかもやっているときは、我流でやってしまっていたり、何となく出来ちゃったりしていたことがたくさんあることがわかりました。いわゆる<暗黙知>ですね。
十分言語化、知識化されておらず、技術といえるところまで行っていない。
部下が仕事の途中でつまずいたり引っかかるのは、たいていそういうところです。

部下がつまずいたところを教えると、ぼく自身の仕事の仕方にあった「あいまいさ」を反省する機会になるのです。
そういう部分をしっかりと言葉で説明できるようにすると、ぼく自身がポリッシアップされるのが実感されます。
その意味で、部下に教えることによって自分が教えられているんですね。
部下がいてよかったなあ、って思います。

そんな視点で周りを見てみると、部下の扱いの上手い人はその人自身の仕事の仕方も上手かったりします。
部下を持たないで年だけとっちゃったおじさんは、やっぱり仕事が下手。
これは、会社の組織という制度的に部下がいるいないじゃないですね。
制度的に部下がいても、部下に教えよう、部下を育てようという気のない人は成長しない。
たとえ制度的に部下がいなくても、誰かを育てようとしている人はその人自身も成長している。

三田紀房『会社に左右されない仕事術』講談社¥1300-にもこうありました。

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そしてなにより、人は「教えるとき」にこそ成長するのだ。
もっと具体的にいうと、これから働き盛りを迎えて会社を牽引していく20代の社員を飛躍的に成長させるには、新人教育がいちばんの特効薬なのである。
真っ白な新人に仕事を教えようとすれば、先輩社員はあらためて「仕事」を考えることになる。
これまで感覚的に捉えてきた仕事を、頭の中で整理して言語化しようとする。
新人を叱るときにも、あらためて初心に戻ることができる。
「教える」という行為の中には、自分ひとりでは気づくことができない発見が山のようにあるのだ。(102p)
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組織には若者が必要なんですね。
やっぱり会社の主戦力は中堅社員です。
鍛えるべきは中堅社員のはず。
じゃあどうやって鍛えるのか。
それは若者に教えることによってなんです。
教えることで、その中堅が鍛えられる。
そうすると会社全体のレベルが上がるんです。

同書にはこうも書いてありました。

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だから、「新人教育は他者に任せて、仕事や社会常識を身につけた人のみを中途採用する」という採用方針も、あくまで短期的な戦略にとどめるべきだ。
赤ちゃんの誕生もなく、新人を教える機会もない組織は、やがて企業としての体力が目減りしていくだけだろう。(102p)
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今は即戦力、即戦力と言って、中途採用を多くして、若者を自社で教育することを節約する風潮がありますね。
確かに、すぐ人が必要な部署には即戦力が必要です。
でもそればっかりじゃ、組織は衰退していくんです。
教える、という手間のかかる作業がなくなってしまうからです。
社員教育は、手間はかかるけど効果がある方法なんです。
それは新入社員を鍛えるだけじゃなく、中堅のレベルアップにこそ効果がある。
ぼくもあと3ヶ月か半年、たっぷり鍛えられたいと思います!


入社してまだ数週間なのに、あちこち連れ回して、忙しくさせています。
忙しいから、身体で覚えるんですよねー。

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