2008年10月14日火曜日

自分というリソースを活かせ!

こんにちは
 
ぼくの仕事は、大規模研究施設の建設の監督員です。
数億、数十億円の規模の建物を造っています。
値段は高いけど、大規模施設の監督員はある意味ラクチンなんです。
だって、値段の高い施設の施工は一流会社の一流社員がやってくれるんですから。
なので、あまり細々したことまでやらなくても、原則的なルール決めだけすれば、工事はきちんと進んでいきます。
 
大規模施設が完成した後、研究が始まるときに、小さな工事の必要が発生します。
研究者がここにコンセントが欲しい、とか、実験装置を置いたらここが暗くなっちゃったので照明を追加したい、とか。
そういう小工事も担当するんです。
小工事だから工事費も小額です。
 
ところが、こういう小工事の監督をするときにこそ、実力が露呈してしまうものなんです。
細々したところまできちんと指示してやる必要があるからです。
段取りをしっかりしてやらないと、いい工事をしてもらえないのです。
 
以下は数年前にぼくの部下に送ったメールです。
小工事を担当してもらったんですが、何度も何度も現場に足を運んだり、施工業者を呼びつけたりしていた。
それを注意したものです。
 
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○○さん!
 
安い工事に何度も手間をとる意義がぼくには分かりません。
誰も彼も無責任だから、何度も業者さんを呼ぶことになってしまうのだと思います。
こういう仕事の仕方は止めてください。

施工に伴う発注者側の事務手間は、通常工事費の10%程度です。
本件で言えば、15万円の工事だとして、15000円。
○○さんの時給を2500円とすれば、6時間。
だから6時間程度で、施工前の現地調査、施工の立ち会い、完了の検査、支払い処理までやらなくちゃいけません。
 
同様に、施工者さんの事務手間も諸経費率が20%くらいなんですから、やっぱり10%くらいにしてあげないと、利益が出ません。
打ち合わせなどで経費をたくさん使ってしまうと、施工費の方で節約することになってしまいがちです。
それは悪い結果を導きます。
打ち合わせも必要なことですが、やりすぎるのはよくないことなんです。
いい仕事をしてもらうためには、きちんと利益の出るような段取りにしてやる必要があると思います。

つまり、発注者も施工者もその仕事に見合った労力(質と時間)でやらないと、ペイしないわけです。
安い簡単な仕事に長時間かけてしまうと、時間当たりの賃金は安くせざるを得ません。
その人は質の悪い人ということになってしまい、どんどん安くなってしまうわけです。
自分を安売りしないように。
もっとコスト意識を持っていただきたい。
たぶん「いい仕事をしたい」という意識が強くて、このような段取りになってしまうのかと思います。
いい仕事をしたいという気持ちは大切です。その点は、感謝します。
しかし、いい仕事をするために無限に時間とコストを使えるわけではありません。
コストパフォーマンスが最適になるように仕事をするのが「技術」なんだと思います。
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仕事が増えたとき、慣れない仕事をするとき、たいていの人はそれを「時間」でカバーしようとします。残業してやっつける。
つまり手間暇時間をかけることによって、解決しようとするわけです。
確かにそういうことも必要です。
でも常に時間で解決しようとすると破綻します。
だって、人間が働ける時間は限られているからです。
集中して最適なパフォーマンスで仕事ができる時間は、せいぜい一日12時間くらいじゃないでしょうか。8時間労働の50%増しが限界です。
それ以上の時間は、効率よく働けず、健康にも悪い。
時間による解決法は、5割り増しくらいまでしか効果がないのです。
 
ではどうするか。
自分の「能力」を上げるのが一番いい。
限られた時間で、より多くの仕事をこなすためには、能力を上げるしかありません。
で、能力は限られた時間でこなすから上がるものなんです。
残業でやっつければいいや、と思っていると、能力は上がらないんです。
なるべく残業しないでやっつけるぞ、と思ってやると、能力は上がっていく。
結果として残業したとしても、頑張った分だけ能力は確実に上がる。
 
で、能力には限界がありません。
もちろん、一足飛びに能力は上がりませんが、時間のように5割り増しで限界になることはない。
10割り増し、20割り増しだって可能です。
特に若い人なら、意識して努力すればガンガン能力は上がっていきます(元々が能力低いからね^^;)。
残業代を稼ぐ、なんてちんけな考えで仕事をしていると、能力は上がっていきません。
 
そしてその差は40代ではっきりと顕れるものだと、ぼくは思っています。
40代にもなって、役職も着いているのに、残業が多く、つまり手間暇時間で仕事をしている人は、能力が低いまま歳だけとってしまった人だと言えます。

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