こんにちは
今年も職場で開催された「電気取扱安全講習」の講師を務めさせてもらいました。
この講習は労働安全衛生法で定められた講習で、研究者自らが実験盤に電線を接続する場合など、安全確実に作業できるようにするためのもの。
労働災害の防止ですね。
毎年の講習でぼくが必ず話すことは、
安全のABC理論
というものです。
ABCとは、
A 当たり前のことを
B バカにしないで
C ちゃんとやる
ということです。
事故は、自己流、無手勝流から発生するものです。
こうした方が合理的、という自己流が事故を招きます。
人間というのは自分にうぬぼれていますから、決められた作業よりちょっといい考えを思いつくと、そっちをやってみたくなっちゃうんですよね。
決められた作業方法が面倒くさく、馬鹿馬鹿しいやり方に思えてしまう。
ところが、たいていの場合それが仇となって事故を生み出すのです。
決められた作業方法には、ちょっと不合理に思えても、そのやり方はこれまでの失敗、事故から得られた教訓が盛り込まれている。
急がば回れ、ではありませんが、その方が安全なんです。
ちょびっと作業方法を合理化して事故になるより、手間がかかっても安全に作業を進めた方が、長い目で見ると仕事は早く終わり、合理的なんです。
労働安全衛生法施行規則という法令には、こうした安全に関するマニュアルが詰まっています。
たとえば、脚立の天板には乗るな、なんてことまでこの法令には書いてあります。
脚立の一番上に乗ると確かに危険。
人間は仕事で必要なら、あるいは上司、先輩から命令されれば、危険な作業もしてしまうものなんです。
労働安全衛生法という法令は、労働者自らが危険作業をしないようにするためだけでなく、上司、先輩など使用者側が危険作業を労働者にさせないためのものでもあるのです。
それを防ぐ。マニュアルを遵守すれば、まず事故は起きないのです。
電気取扱安全講習も、こうした安全のためのマニュアルを「知らせる」目的で行うものだと思っています。
マニュアルがあることを知っていれば、自己流、自己判断をしなくてすみます。
ある作業をするとき、何となく危ないなと思ったら、マニュアルを確認する。
そうしてもらえれば、確実に安全は担保されるんだと思うのです。
知らなきゃ、やっちゃいますからね。
ぼくのメインの仕事、工事監督にもマニュアルが存在します。
国土交通省でまとめた、「共通仕様書」や「施工監理指針」です。
分厚い本なので、全体を通読したことはありませんが、必要な都度その部分を読むようにしています。
たとえば、工場出荷前検査に立ち会うときは、出荷前にはどんな検査があるのか調べます。
これらの本にはちゃんとそれが書いてあるからです。
ぼくは意外とマニュアル主義者なんです。
マニュアルには過去の経験と知恵が詰まっています。
それは失敗の歴史です。
それを学んでおくことは、失敗を防ぎ、未来の確実性をより高めます。
あまりにマニュアルに拘泥するのもいけませんが、無視するのはもっとよくない。
無知と無視は紙一重で、不勉強による無知は無視と同じです。
マニュアルを知っていて、それを現実に合わせてアレンジできるのが、技術者の実力だと思うのです。
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