2008年12月26日金曜日

まずは「できる!」と言ってみろ

こんにちは

ぼくは次世代スーパーコンピュータ開発の末席にも加わっています。
ぼくの役目は、スーパーコンピュータを入れる建物とコンピューターの電源、空調、つまりインフラの建設。
今、神戸で建設中ですが、もう楽しくて楽しくて仕方ありません。

この仕事に企画段階から関わらせてもらいました。
予算獲得、立地選定から、国家プロジェクトがどんな風に進められるのか見ることができたんです。
いい経験をさせてもらっています。

その中で、文部科学省などのキャリア官僚の人たちとも話をする機会がありました。
世間では高級官僚に対するバッシングがありますが、ほとんどの人たちは誠実で精力的なんです。
自分や自分の省庁の利益を考えているなんてことはなく、やっぱり国のことをまじめに考えて実行しているんだという印象を強く持ちました。

特に文科省からこのプロジェクトの事務方のリーダーとして来ていただいた方に、強く影響を受けましたね。
その印象は「おーー、ここまで図々しいかー!」です(笑)。
図々しいと言っても悪い意味ではなく、とてもさわやかな潔さなんですね。
自然法則と法律と倫理に反しない限り何だってできる、という雰囲気なんです。
ネガティブなところが微塵もない。
いいものをつくろう、いいことをしていこうという情熱を感じました。

この世には2種類の人間がいると思います。
困難に出会ったとき、

 ・できない、無理だと最初に言ってしまう人 
 ・できる、やってみようと最初に言う人

です。
ぼくらサラリーマンは時々上司から無理難題(と思える)仕事を命令されることがあります。
その時、最初にどう言ってしまうかで結果が違ってきます。

できない、無理だと最初に言ってしまう人は、できない理由、無理である条件を考え始めてしまうのです。
つまり、ネガティブなことに時間と労力を使う。
アレコレ検討した結果を数日後に上司に報告するわけです。
でもたいてい上司は「そうか、わかった」とは言ってくれませんよね。
だってその仕事をやりたいんですから。
必ずや部下の報告の穴やアラを指摘してきます。

そしてまた部下はできない条件を探し始め、そうこうしているうちに時間だけが過ぎていきます。
上司も最後にはしびれを切らして「いいからやれ!」と厳命を下すことになる。
しかし時すでに遅く、その仕事を完成させるにはあまりにも時間が足らない状況になっています。
だからものすごい仕事密度を要求される割には成功確率も低くなっているのです。

それで失敗したら「ほら、早くからやっていればできたかもしれないのに」と言われます。
たとえ成功しても「ほらできたじゃないか。最初からやれると言えばいいのに」と言われます。
どっちにしろ悪い評価で、これじゃあ苦労の甲斐がありませんよ。
損な人生だと思います。

それに比べて、できる、やってみようと最初に言う人は、できる理由、できるための条件を考え始めます。
つまり、ポジティブなことに時間と労力を使えるのです。
同じ法令集を見たって、ネガティブな条件を探す場合と、ポジティブな条件を探す場合では視点が違いますから、そこから発見するものも違ってきます。
こうすればできる、この条件さえクリアできればできる、という情報を得ることができるのです。
その下準備の時間もたっぷりありますから、自ずと成功確率も上がってきます。
着手する時期が早ければ早いほど、成功確率が上がるのはものの道理です。

たとえ失敗したとしても「あれだけ準備をして時間をかけてもダメだったんだから、最初から無理な仕事だったのだ」と上司が思ってくれる可能性もかなりあります。
ほとんどの仕事に成功している人がたまに失敗しても、容認されることはままあることです。
「あいつがやってもダメだったんだから、誰がやってもだめだったろう」と。
ですから、失敗しても評価が下がることがないのです。

金出武雄『素人のように考え、玄人として実行する』PHP\1500-から引用します。

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物事を押し進めようとする時、やりとげる前に「できないこと」をいろいろ想像していては前に進まないのである。
最後までやり遂げるから知識も増える。
私はやってみることをためらう学生にこう言う。

 「この問題が解ける方法があれば、それをやってくれ。 
 しかし、解く方法を君はわからない。私もわからない。  
 とするならば、ダメだと思われる方法をやってみたほうが賢明ではないか。 
 最後までやり切れば失敗のパターンがわかるはずだ」

と。
この方法では解けない。
解けないのはなぜか?ということがわかれば、解けなくさせている根本的な理由がすこしはわかる。
そうすれば、「なるほど、ここがキーなのだ」ということがわかってきて、その問題を正面から解決する方法が見えてくるのである。
つまり、困難点をエクスプリシット(陽に明示)することが大切なのである。
どんな問題でも難しい。何が難しいかわからないが、難しいということはわかっている。
まずやってみて、「なるほど、これは難しい」「これを難しくしているのはこれだ。
ここができないから難しいのだ」ということがわかることは、問題を解いたり、研究するうえでの大前提なのである。
また、困難に直面しているのは、自分のアプローチが問題の本質から外れていて、そこから派生した難しさに突きあたり、どんどんのめり込んでしまった結果であるというケースもある。
それも、実際にやってみなければわからない。
ぐたぐた思い悩んでも仕方ないことである。(61-62p)
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とにかくやってみること。
とにかく「できる」と言ってみること。
とにかく「やってみます」と言ってみること。

もしかして今日が御用納めの方が多いと思います。
今年もお世話になりました。
来年、ぼくも今年にも増して「さわやかな図々しさ」を身に着けていきたいと思っています。
え?いやだな~って??
あはははは。

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