X線自由電子レーザー施設の建設が大詰めです。
今は設備工事の施工図のチェックを集中してやっています。
施工図とは、設計図を職人さんにそのまま渡しても細かいことがわからないので、職人さんが施工するために必要な情報を盛り込んで、詳細にした図面です。
で、発注者の監督員であるぼくは何をチェックするかというと、設計意図と合致しているかどうかを見るのです。
たとえば、こういうことです。
X線自由電子レーザーの場合、加速器は振動を嫌いますから、マシンを置く場所の基礎と、屋根を支える基礎はそれぞれ独立させています。
屋根の振動が、マシンへ伝わらないようにしなくちゃいけない。
たとえば電線を配線する場合、電線をマシンを置く場所にサポートさせるのか、屋根にサポートさせるのか、注意しなくてはいけないのです。
両方にまたがってサポートをとる場合、屋根の振動がマシンに伝わらないように、そこで力学的に縁を切るように施工する必要があります。
その部分で電線に遊び、余裕を作っておくんですね。
それは、マシンに振動を与えず良質なビームを保証する、という設計意図、目的があるからです。
設計意図、目的に合致しているなら、あとは施工する人にお任せするようにしています。
それ以上の細かいことは言わない。
だって相手は施工のプロなんですから、目的だけきちんと示してやれば、後は任せても大丈夫なんだからね。
設計意図、目的だけチェックするので、施工図チェックは短時間で終わります。
100枚くらいの図面でも1日でチェックできるわけです。
設計意図、目的は「戦略」です。
戦略とはゴール。
発注者の監督員の仕事は、施工者に明確なゴールを示すことだと心得ているのです。
施工の細かな部分は「戦術」です。
戦術とは手段。
ゴールに至るための「方法」「やり方」なんです。
戦術はその道のプロに任せればいい。
戦略がしっかり共有できていれば、戦術は自ずと決まっていきます。
発注者がごちゃごちゃ意見しなくてもいいものなのです。
古海忠之・城野宏『獄中の人間学』知致出版\1400-から引用します。
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古海 人間が協力して仕事をする上で、戦略と戦術を分けることが非常に大切なんだね。
やり方だけでケチをつけることが多いわけだが、やり方はそれぞれ違うんだからね。(148p)
城野 協力というのは意見の一致点を見いだすことだと思います。
つまり戦略上の合意点。
ところが一般的に議論というと、相違点ばかり見つけて、相手をやりこめるのが議論だと思っている。
戦術的な相違で、あいつは駄目だという結論を下してしまう。
戦術的な細則はどうでもいいことで、発展させるという戦略上の共通目標さえあれば、本来意見というのはだいたい一致するもので、なぜそうできないかといえば、その人間は戦略と戦術を分離して考えていないから、取り違えることになるように思えてならない。(149p)
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戦略と戦術、それを峻別することが大切だと思っています。
それを混同してしまうから、無駄な作業をしてしまうのです。
打ち合わせも長くなってしまうのです。
施工図のチェックも、施工者と一緒にやるといいです。
チェックしながら繰り返し戦略を伝えるんです。
こことここは基礎が違うから縁切りしてね、と何度も言う。
何度も繰り返して戦略を伝えることによって、確実に戦略が共有されてきます。
すると、施工者が次に同様な施工図を描くときに間違えなくなります。
よって、チェックもスムーズに進むようになり、合理的になっていくのです。
よって、チェックもスムーズに進むようになり、合理的になっていくのです。
毎度毎度、ヘンテコな施工図が提出されてくるとしたら、それは戦略が見えないからなんです。
ちゃんと戦略を伝えてやれば、お互い無駄作業がなくなるのです。
戦略なしに戦術だけ議論してしまうから、打ち合わせも長くなり、その割に成果も出ないのです。
方向も分からずに、やり方だけ決めたって意味がないってことです。
もし、打ち合わせが長くなってしまっていて、それを何とかしたいと思っているなら、一度「戦略」と「戦術」を混同していないか、チェックしてみるといいですよ。
ちゃんと戦略を伝えてやれば、お互い無駄作業がなくなるのです。
戦略なしに戦術だけ議論してしまうから、打ち合わせも長くなり、その割に成果も出ないのです。
方向も分からずに、やり方だけ決めたって意味がないってことです。
もし、打ち合わせが長くなってしまっていて、それを何とかしたいと思っているなら、一度「戦略」と「戦術」を混同していないか、チェックしてみるといいですよ。
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