2008年8月30日土曜日

古本のプレゼント

こんにちは

ぼくは自分で言うのも何ですが、なかなかの読書家です。
毎月20冊~30冊、金額にして2万円~3万円本を買います。読みます、じゃなくて。
「一流のサラリーマンになるためには給料の5%は本代に使え」と言われています。
ま、何とかその基準はクリアしているようです。
一流のサラリーマンかどうかは別にして。はははは。

雑多なジャンルをあれこれ読んでいます。
どんな風に本を選んでいるかというと、きっかけを掴んでいるんですよ。
人から勧められたり、書評で興味を持ったり。
今日も新聞に文科省科学審議官坂田さんのインタビューが載っていて、本の紹介が書いてあったので、すぐ注文しました。
ちなみに坂田さんは、元理研スパコン担当理事だった方です。
一緒に仕事をして尊敬できる方でしたから、その方が勧める本なら先ずは読んでみようと思ったわけです。
そして読んでおもしろければ、その著者の本をぜーんぶ読む。
そんな読書法を続けているんです。

で、読み終わった本はどうするか。
気に入ったフレーズを抜き書きします。パソコンに入力する。
そして資料として保管しておきたいものは、我が家の本棚へ。
そうじゃないものは、以前はブックオフで売り払っていました。
でも最近は身近な人にあげちゃうことにしています。
迷惑かもしれないけどね。
でもそれがあげた人の読書のきっかけになればって思っているのです。
ブックオフで安い金に換えるより、そっちの方がいいかなって思ったのです。

ぼくは一緒に仕事をしている人と雑談をよくします。
やっぱり家族や子どもの話が多い。
今一緒にXFEL工事をやっている人とおしゃべりしていたら、彼のお子さんはとても勉強好きだって。将来お医者さんになりたいとのこと。
じゃーこの本をプレゼントしよう、って思って、読み終わった糸川先生の本を「お子さんにどうぞ」と言ってプレゼントしました。
彼からこういうお礼のメールをもらいました。

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糸川博士の本「人生に消しゴムはいらない」 有難うございました。
子供に読ます前に私が先に読んで、自分の未来を考えたい思います。
子供が読んで感想を聞いて見たいと思いますが、話してもらえるか疑問ですが
親子の会話の一環にさせていただきます。
どうも有難う誤差います。
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嬉しいですねー。
子どもが中学生くらいにもなると、なかなか親子の会話が成立しなくなってきます。
特にお父さんはね、共通の話題が少ないから。
本をきっかけにして、お子さんと対話ができるといいですね。
斎藤孝『読書力』岩波新書\700-から引用します。

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(高校の時の)小倉勇三先生という国語の先生が、学期の終わりだったか、文庫本をたくさん持ってきて、教卓の上にどさっと並べた。
そして、「どれでもいいから一人一冊好きなものを選んで持っていっていいよ」と言ったのだ。
みんな教卓に群がって本を選んだ。
本をプレゼントされたときにうまくいかないケースは、もらった本がもう一つ趣味に合わないと言う場合だ。
この「好きな本一冊持っていっていいよ」方式は、自分で本を選ぶことになるので、選ぶ側の意志が反映されているプレゼントのスタイルであった。
基本的に選ばれた文庫本だったので、質の高位ものばかりであった。
高校生たちが自主的にはあまり買いそうもない本もたくさんあった。
私がそのとき選んだのは、世界的数学者の岡潔の『春宵十話』(角川文庫)という本だった。
岡潔は関数において世界的な業績を成した数学者だが、文学、哲学の造詣も非常に深い。
天才的な直感力を生かした鋭い批評が特徴だ。
小林秀雄との対談『人間の建設』(新潮社)という本もある。
その本は内容のレベルが高く、私には非常に刺激的だった。
その機会なくしては出会うことのない本であった。
今でも私の目の前の本棚にはその本がある。
その本を見るたびに、高校時代のその本のプレゼントの授業のことを思い出す。
これも、私の読書を加速させてくれた一つの大切なきっかけだった。(p196-197)
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ぼくも教え子たちに時々本をプレゼントしてきました。
手紙をもらったりしたとき、その返事に本を同封して送ったりしました。
彼らが高校生くらいの時は『ぼくは勉強ができない』とか『アルジャーノンに花束を』なんか贈った記憶があります。
自分で本を選ぶだけだと、なかなか読書の幅が広がらないものです。
幅を広げるには、他の人からきっかけをもらうといいんです。
読書の幅が広がれば、人間の幅も広がって、人生の幅も広がっていくんだと信じています。
ぼくはそう思って、教え子達に本をプレゼントしてきたんです。

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