2008年8月30日土曜日

戦略と戦術を区別する技術

こんにちは

前便で「戦略と戦術を区別せよ」と書きました。
ある方から「それは分かるんだけど、どうも戦略と戦術の区別の仕方が分からない」という返事をもらいました。
よろしい、お教えしましょう。

ぼくはこんな風にやっています。
今やっている仕事を、自分の言葉で再定義してみるんです。
その時のフォーマットは、

 ○○のために、△△する

というもの。
この○○に入るのが戦略=目的、△△に入るのが戦術=手段になります。
たとえば、設計趣旨を伝えるために、施工図をチェックする、という具合です。

だいたいの仕事は、戦術なんです。
手段に相当することを日々やっているわけです。
その時、戦略も意識しておくことが大切だと思います。
戦略を意識することなく、戦術だけ実行していると、道を間違えます。
意味のない無駄な作業をしていたり、方向を間違えてしまいます。

戦略を意識すると、方向を間違えることがありません。
ゴールが分かるので、安心して戦略に集中することができます。
もし戦略が分からないまま戦術に拘泥していると、どこがゴールか分からないので集中することができません。
どこまでやればいいのか、いつまでやればいいのか、どの程度の品質が必要なのか、戦略が分かるからこそ見えるものだからです。

中山治『ひとり勝ち社会を生き抜く勉強法』洋泉社\1500-から引用します。

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方法論は大切ですが、それはあくまでも手段にすぎません。
この種の方法論に凝りすぎる人はじつは例外なくろくな業績がない人なのです。
はっきり言うと、ユニークなものを生み出せないからこそ方法論に夢中になるわけです。
私はこれを「方法論の罠」と呼んでいます。
肝心の研究に見通しが立たないからこそ、方法論に夢中になるのです。
いわば一種の現実逃避なのです。(93p)
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何か仕事を始めるとき、それを

 ○○のために、△△する

に言い直してみることです。
○○に入る言葉を明確に言えるかどうか。
もし言えないとしたら、それは無駄な仕事である可能性が高い。
戦略が分からないまま戦術にだけ取り組むと、不合理に時間と労力を浪費してしまうのです。

もちろん自分だけで思いつかない場合もあるでしょう。
そういう場合は、同僚なり上司なりに聞いてみるのもいい。
明確に答えてもらえたら、その仕事はやるに値するものだと分かります。
不明瞭な答えしかもらえないなら、たいした仕事じゃないのです。
テキトーに仕上げればよろしい。

方法論の罠に陥らないために、戦略を明らかにすることが大切だと思っています。

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