2008年8月30日土曜日

力を発揮してもらうために

こんにちは

ぼくの仕事のひとつは、新しい研究施設を造るときの「工事監督」です。
実際に工事をするのは、ゼネコンやサブコンの人たちです。
その人たちにいい仕事をしてもらうのが、工事監督の最大の役目だと思っています。

いい仕事をしてもらっていい施設を造ってもらう。
そのために、

 「最も力を発揮してもらえる条件を整える」

ことが大切だと考えています。

人には得手不得手があるのは当然です。
得意なことなら短時間によい成果をあげられますが、不得意なことは時間をかけた割にはいいものができない。
それどころか不得意なことを無理してやると、それをやるために時間と労力を取られ、得意なことをやる時間と労力と気力まで削がれてしまいます。
それではいい仕事はできなくなってしまいます。
だから、ゼネコンやサブコンの担当の方に決して無理な注文をしないように気をつけています。

もちろん時間に余裕があるときなら、不得意なことでも将来役に立つスキルなら、不得意なことを得意なことに変えるために、将来有望な若手の人ならあえてやるということもいい。
でも、今回限りの仕事で将来も役に立つものでなければ、習熟する必要はありません。
そういうことは、ぼくが肩代わりしてしまったりします。

たとえば発注者へ提出する書類の作成なんかそうやっちゃいます。
工事担当者は技術屋さんですから、あまり作文が得意ではありません。
たった1枚、A4書類を書くのに、一晩徹夜で悩んだりしちゃうんです。
無駄ですよねー。
こういうときは、ぼくがさっさと文案を作ってあげちゃいます。
ぼくなら30分もあればできちゃいます。
だって同じような書類を何度も作っているわけですから。

その分、施工図を描くとか現場作業に立ち会うとか、彼らの得意な技術分野での仕事に集中してもらえます。
技術者だってプライドがありますから、自分の得意分野でそうそう下手なことはしません。
結局はいい仕事をしてくれることになるんです。
それはぼくやぼくの会社の利益になることです。
もちろんゼネコン担当者やその会社の利益になります。
win-winの関係になれるんです。

でね、不得意なことを強要すると、それが「言い訳」にもなってしまうんですよ。
不得意なことをやらされたから、現場をちゃんとやることができなかったんだ。
いい仕事ができなかったのは、無理な注文をする方が悪いのだ、と。
これは双方損です。

だからいい仕事をしてもらうためには、あれもこれもと要求しない。
その人が最も力を発揮してくれることに限定してお願いする。
肩代わりできることはしてあげる。
その代わり彼らのやる仕事に妥協しない。
ぼくはそう考えているのです。

優しいようでコワイでしょー。

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