2008年9月3日水曜日

現場に行こう!

こんにちは
 
先日、SPring8内の変電所にXFEL専用特高変圧器を増設する工事をしました。
工事は無事完了したのですが、既設改修なので既設に問題が出ると困る。
復電した翌日の午前中くらいは様子を見るために待機しておかなくてはなりません。
何か不具合があったら陣頭指揮して解決しなくちゃなりませんし、迷惑をかけた方々へ誤りに行く役目もあります。
だから工事が終わったらすぐ帰るってわけにはいかないのです。
それが監督員の責務です。
 
で、半日様子見をするとしても、まあたいていは何の問題もないわけです。
時間がもったいないので、待機時間中にスパコン施工スタッフにSPring8を見学してもらいました。
SPring8の管理運営をしているJASRIの方にお願いして、普段入れない加速器やビームラインが収納されているトンネル内も案内していただきました。
SPring8は理研と原研(当時)との共同事業で建設をしたので、理研施設は自分で造ったのでよく分かってますが、原研が造った施設は見たことがなかった。
ぼくにとっても嬉しいチャンスです。
原研の造ったリニアック、シンクロトロンも見られて、とても楽しかったし、勉強になりました。
 
見学後、スパコン施工スタッフからこんなお礼のメールをもらいました。
 
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昨日はありがとうございました。
スプリング8を施工させて頂いたのは、私の元上司で、現在は四国支店にいらっしゃいます。
先輩方の施工された所を見るのは、なかなか楽しいといつも思っています。
苦労された所、なにか参考になる所がないか探して見ています。
今回は、フレキの材質、接続方法、配管の変な角度の接続方法等参考になりそうです。
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やっぱりプロですから、見れば得るものがあります。
特に自分の会社の先輩が造ったものだと愛着も湧きますから、じっくりと見ることになる。
そこから得られる情報は膨大なものになるはずです。
プロは現場から学んでいくものなんだとぼくは思っています。
彼らを案内したのは大正解でしたよ。
きっとスパコンもいい施設に造り上げてくれると確信しました。

大久保幸夫『ビジネス・プロフェッショナル』ビジネス社\1400-にこうありました。

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プロにとっては、実践が大事です。
現場で何が起こっているのか、何が問題になっているのかを知らなければ実践はできません。
そのために、観察、実験ということを徹底的にやります。
新しい現象をつぶさに見る。間近に見る。
そしてそこから何かを感じる。
これが良質な学習になります。
すでに考えるための知識や論理構造は頭の中に入っていますから、そこに新たな現場情報をインプットすれば、思考回路が回り始めて、さまざまな答えや疑問を生み出していくのです。
答えは次に実験で検証されます。
疑問は次の研究テーマとなり、多くの学習を誘引します。(151p)

バンデューラ(社会心理学者、スタンフォード大学教授)は、「社会的行動の学習は直接教化を受けなくても対象を観察するだけで発生する」とする「観察学習」の理論を構築しました。
プロ意識を高めるためにもこの「観察」が欠かせないのです。(103p)
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実務者としてのプロの実力を示す方程式は、
 
 実力=知識×経験^2
 
です。
プロは「すでに考えるための知識や論理構造は頭の中に入って」いるので、ものを見ればそれが分かるんですね。
 
そういえば電気技術者協会の見学会に参加するのは、きちんと試験で資格を取った人ばかりなんです。
電気主任技術者免許は実務経験だけでも取れるのですが、こういう人は見学会に参加してこない。
なぜなら、見ても分からないから。
分からないから面白くない。
人は面白くない場所に自主的には行かないものなのです。
技術職に限らないと思いますが、自席に座っているだけで現場に行こうとしない人は、やっぱりプロじゃないんだと思います。
 
分かるから現場に行く。
現場に行くから知識が増える。
知識が増えればまた現場を見たくなるんです。
プロはそうやって自分の実力を上げていくわけです。
知識が増え、経験が増し、実力が上がるので、プロは現場が好きなんです。

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